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2018年!ドラフト最強名鑑

2018年!ドラフト最強名鑑

2018年!ドラフト最強名鑑


99人中 99人表示

わたなべ ゆうたろう 投手
渡辺勇太朗
190cm 87kg/右投右打
浦和学院高(埼玉県)
球速帯 140~149Km けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 スライダー/カーブ/スプリット/ツーシーム
コントロール率 67%
エンゼルス・大谷翔平(元日本ハム)をお手本にしてきたという。実に上手にマネ できていると思う。〈いい人〉をお手本にした。これだけのサイズで、〈本家〉瓜二 つのボディーバランスと前に乗っていける体重移動。それだけでもすばらしい。特に、テークバックと腕の振り が両肩の線の内側でなされるメカニズム。これなら体力アップに球威・球速が比例して上がっていけるから、伸 びしろも大きい。ピンチにも、速球とタテのスライダー、ツーシームで自信を持って挑む覇気が頼もしい。
たとえば、今年の〈ドラ1候補〉にな っている大学生投手の4年前と比べると、 この投手の〈今〉のほうが間違いなくずっと上。なので あれば…という選択でも、ぜんぜんおかしくない。奮投 したのがこの春と夏だけ。微かな〈不安〉もあるが。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部

よしだ こうせい 投手
吉田 輝星
176cm 81kg/右投右打
金足農業高(秋田県)
球速帯 138~152Km けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 スライダー/カットボール/カーブ/スプリット/チェンジアップ
コントロール率 62%
筋がいい。今春の県大会で初めて見た投手なので、その前2年のことはわからない が、投手としての〈行儀〉をどこかできちんと教わっている。バント処理からのスナ ップスローの鮮やかさ。左膝を上げた時につま先が下がり、リラックスした姿勢がとれ、背中に入らないテーク バックだからきれいな前振りのタテ軌道が描けている。 現状140キロ前半でも、ボディーバランス抜群のフォームだ。体力アップとグラブサイドの使い方を覚えたら、 そんなに苦労せずに150キロのラインをクリアできる。
こじんまりまとまり過ぎている…そう いう声も聞こえる。そうは思わない。きちんとしているだけだ。コントロール、守備、けん制、 クイック…実戦力が高いから、早い時期にファームで実 戦経験を積みながら体力アップを図れる。ならば、プロだ。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部

ふるや たくろう 投手
古谷 拓郎
183cm 77kg/右投右打
習志野高(千葉)
球速帯 137〜145キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 スライダー/カットボール/ チェンジアップ/スプリット
コントロール率 64%
筋がいい。今春の県大会で初めて見た投手なので、その前2年のことはわからないが、投手としての〈行儀〉をどこかできちんと教わっている。バント処理からのスナップスローの鮮やかさ。左膝を上げた時につま先が下がり、リラックスした姿勢がとれ、背中に入らないテークバックだからきれいな前振りのタテ軌道が描けている。現状140キロ前半でも、ボディーバランス抜群のフォームだ。体力アップとグラブサイドの使い方を覚えたら、そんなに苦労せずに150キロのラインをクリアできる。
こじんまりまとまり過ぎている...そういう声も聞こえる。そうは思わない。きちんとしているだけだ。コントロール、守備、けん制、クイック...実戦力が高いから、早い時期にファームで実戦経験を積みながら体力アップを図れる。ならば、プロだ。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部

ぎぼ しょう 遊撃手
宜保 翔
171cm 70kg/右投左打
KBC学園(沖縄)
50mタイム 5.8秒
スローイング 走塁力
守備力 勝負度胸
パワー 実践力
見るからに〈沖縄〉の少年だ。おそらく野山を駆け巡り、海で泳いで自然の中で培われた柔軟で敏捷な運動神経。遠投116m、立ち三段跳び8m87、塁間走3秒6...きゃしゃに映るユニフォーム姿でも、投げれば〈144キロ〉までマークする抜けた瞬発力。非力なわけがない。本能任せでプレーしているようで、タイミングの始動が早く、全身でリズムをとりながら包むようにボールを呼び込めるあたり〈ワザ〉もある。インパクトゾーンの長いアベレージヒッター。教わったことの吸収力は高い。
エース4番でやってきた選手だが、先を考えたら〈二塁手〉で時間をかけて仕込んだら、面白い存在になりそう。タイプ的には〈まずアマ〉だが、二塁手を育てられる指導者が在野には少ない。カルチャーショックは大きいぞ。覚悟してプロへ。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部

たなか のりひこ 投手
田中 法彦
172cm 81kg/右投右打
菰野高(三重)
球速帯 142〜152キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 種 スライダー/カーブ/スプリット
コントロール率 51%
2年秋の県大会で〈150キロ〉をマークして注目され、その後も登板のたびに140キロ後半を続けて、東海地区No.1の剛腕と評価する。上背はなくても体はエネルギーの塊。どっしり踏み込んで、リリースの一瞬に溜めた力を爆発させるメカニズムだから、見るからに「剛腕」。150キロなど普通に投げられる。力めばいくらでもスピードを出せる感覚があるのだろう。速いボールを投げようとし過ぎて、棒球を痛打。損な場面もしばしば。通算29弾のバッティングを見ても、楽しみな馬力の持ち主だ。
インパクトで押し込んで打者を圧倒したいタイプだが、フィールディングやスイングを見ると野球が上手い。春は体が正面を向いてボールが上ずっていたが、夏は〈半身〉を取り戻し修正能力もある。一生懸命の「野球小僧感」も将来性だ。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部

のむら ゆうき 三塁手
野村 佑希
186cm 95kg/右投右打
花咲徳栄高(埼玉)
50mタイム 6.5秒
スローイング 走塁力
守備力 勝負度胸
パワー 実践力
清宮幸太郎が卒業して苦しんだのが早稲田実業・野村大樹ならば、西川愛也(現・西武)がいなくなって苦労したのが、この野村佑希かもしれない。西川の後を打っていた昨季は、自分の〈線〉でのびやかに打っていた。それが、西川が卒業して4番になった途端、〈4番〉を演じようとし始めた。そんなふうに見えた。引っぱって放物線を描こうとする「無意識の意識」。体が開いて外は引っかけるし、内には詰まる。プロに進んで無用の気負いがなくなれば、昨季の状態に戻れる。期待は大きい。
2年生の頃の打球は、高く舞い上がってなかなか落ちてこなかった。いつ落ちてくるのか...ようやく落ちてくるのが外野スタンド。そんなホンモノの「長距離砲」の弾道を描ける高校生など、そうはいない。今のプロ野球にいない「大型三塁手」に。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部

のむら だいじゅ 三塁手
野村 大樹
172cm 80kg/右投右打
早稲田実業高(東京)
50mタイム 6.4秒
スローイング 走塁力
守備力 勝負度胸
パワー 実践力
野村大樹あっての清宮幸太郎。「清宮あっての野村」だったと思う。今季の野村大樹は苦しんだ。清宮卒業後の「早実」をオレが背負って立たねば!の意識と気迫が、彼のスイング軌道をちょっと遠回りさせていたように見えた。本塁打を!の無意識の意識が引っぱり傾向のドアスイングに、タイムリーを!の意欲が投球を追いかける結果に。夏に敗れた最後の試合で、レフト場外とライナーの2弾。意地を見せて67弾でピリオドを打った。今年の右打ち高校生野手ではNo.1の打撃技術と見る。
あまり語られないが、この選手の三塁守備力は一級品だ。走者なしではきちんとライン際を締めながら、三遊間に意識を置けるポジショニングと、回転抜群の送球の精度の高さ。再び清宮幸太郎とのクリーンアップを...そんな妄想がよぎる。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部

いなばやし はやと 三塁手
稲林 隼人
177cm 77kg/右投左打
益田東高(島根)
50mタイム 6.4秒
スローイング 走塁力
守備力 勝負度胸
パワー 実践力
今夏甲子園でそのスイングスピードと「振れる力」に目を奪われた。志望届は出ていないが、ドラフト指名の実力ありとここに挙げた。実は県大会決勝を映像で見ていた。体に近いボール、決して〈失投〉ではないその1球をひと振りのフルスイングで捉え、バックスクリーンへの放物線にしてみせた。「できるヤツ!」の衝撃が体を貫いた。そして本番。全く同じスイング。全身の柔軟なしなりと背中を叩くほどの猛スイングで甲子園の右中間突破。重なったのは金本知憲(元阪神監督)選手だ。
バッターボックスで投手を見据える面構えがいい。バットを構えた姿に〈雰囲気〉のある選手はチャーミングだ。インパクトの瞬間まで顔がボールを追えるから、体が開かず存分に力を凝縮できる。守備ワークも堅実。4年後の成長を楽しみにしたい。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部

おばた りゅうへい 遊撃手
小幡 竜平
180cm 73kg/右投左打
延岡学園高(宮崎)
50mタイム 6.2秒
スローイング 走塁力
守備力 勝負度胸
パワー 実践力
フィールディングは〈本物〉。外野からの返球を投手に戻すちょっとしたスローでも、きちんと右手に高さを作って投げられる心がけ。初回の最初のプレーでカットプレーのロングスローを〈ストライク〉でビシッときめ、アウトにできる打球は前でも後ろでも強い。スーパープレーはなくても、任せて安心!プロ受けする遊撃手だ。〈低め〉にツボを持つバッティング。タイミングが合えば、その低めを右中間最深部にまで運べる意外な長打力。その細い体でどうして...ミステリアスな潜在能力を持つ。
女性的な線すら感じるスマートな体形。鍛えるほどに筋肉量が乗ってくるタイプではないのかも。今の体力、筋力ではプロでの勝負は大丈夫か。体が大きくなれるのか、なれないのか。大学で、様子を見ながら進路を模索するほうが得策では。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部

おおた りょう 遊撃手
太田 椋
181cm 73kg/右投右打
天理高(奈良)
50mタイム 6.0秒
スローイング 走塁力
守備力 勝負度胸
パワー 実践力
昨夏甲子園、2年生のこの選手のフィールディングを見て、「大会No.1遊撃手」と決めていた。球団の〈好み〉もあるだろうが、こういう選手が本物の「ショートストップ」だと思う。とんでもないスーパープレーはしなくても、投手が「打ち取った!」と思って振り向いた打球はそつなくさばき、二遊間、三遊間の球際に強い。報徳学園・小園遊撃手とは対照的なタイプ。決して派手な存在ではないが、いてくれなくては困る存在。宮本慎也(元ヤクルト)、田中広輔(広島)が重なって見える。
好打者でも、小園海斗のような〈怖さ〉を感じない打が心配だったが、この夏にかけてぐっと実戦力アップ。風もないのに右中間に放り込める怖さを見せて、チャンスに長打でタイムリーを打てる。3年目からレギュラーでもおかしくない。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部

こぞの かいと 遊撃手
小園 海斗
178cm 78kg/右投左打
報徳学園高(兵庫)
50mタイム 5.7秒
スローイング 走塁力
守備力 勝負度胸
パワー 実践力
〈外野手〉にしたら、プロ野球史に残るような選手になる!確かに、抜群のボディースピードを持って、誰にもできないようなスーパープレーも見せてくれるかもしれないが、反面、動きのスピードにハンドリングがついていかなかったり、制御しきれなかったり、いわゆる〈ポカ〉も多いのかも。「U18」でフッとそんな心配が湧いた。芝生の切れ目付近で深く守るのも、広いエリアを縦横に動き回りたい潜在欲求の表れではないか。最適性は〈センター〉だ。本人は怒るかもしれないが...。
「U18」の壮行試合で、ドラ1確実の日体大・松本航の膝元150キロ近い速球をライトにライナーでたたき込んだ一撃。〈30弾〉の資質を見た。快足・強打...「トリプル3」の夢が広がる。遊撃手として評価が高いが、実態は「バットマン」だ。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部

ねお あきら 遊撃手
根尾 昂
177cm 75kg/右投左打
大阪桐蔭高(大阪)
50mタイム 6.0秒
スローイング 走塁力
守備力 勝負度胸
パワー 実践力
入学時から大きな期待を背負って注目を浴び、それでもジワジワと成長を続けて、とうとう高校球界のトッププレーヤーに。「常勝・大阪桐蔭」の中核としてプレッシャーもものすごかったはずなのに、それをエネルギーに還元して自らの〈糧〉にしてきた。頭が下がる。すごいヤツだな...と実感したのが「U18」だ。直前までの甲子園で選手たちクタクタだった中で、根尾だけが甲子園と全く変わらないテンションで実戦に臨み、結果を出してみせた。その心身の強靭さはなんだ!〈傑物〉が現れた。
まず選手として大成してほしいが、その後、指導者、GM、球団社長...最後はプロ野球コミッショナー。日本の野球界のリーダーにまでなってほしいほどの〈器〉の大きさを感じている。そうした意味合いも含めて、10年に一度の逸材と見る。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部

なかがみ たくと 遊撃手
中神 拓都
174cm 82kg/右投右打
市立岐阜商業高(岐阜)
50mタイム 5.9秒
スローイング 走塁力
守備力 勝負度胸
パワー 実践力
投手としても全国上位の実力。低めの速球が這うように伸びて見える高校生は、今年でいえば、好調時の吉田輝星(金足農)ぐらい。軽く腕を振っているようで、重量感満点の捕球音もこの選手の非凡さを象徴している。そんなメカニズムを遊撃手としてのスローイングにも反映して、いい感じの〈脱力スロー〉でも一塁手のミットに糸を引く。投げる姿は打つ姿。軽く振り抜いているようで120m級の放物線を放ち、引っぱった猛烈ファウルの直後に、ライト線にライナーで運ぶ変わり身も。
プロでは「三塁手」かもしれないが、バッティングが突出しているだけに、1年目からファームで勝負になる。初球からスタートをきれる観察力と思い切り、横に逸れたパスボールで本塁突入できる敏捷性。機動力という〈意外性〉も兼備。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部

ますだ りく 遊撃手
増田 陸
178cm 80kg/右投右打
明秀日立高(茨城)
50mタイム 6.2秒
スローイング 走塁力
守備力 勝負度胸
パワー 実践力
自分の「パワーポイント」を持ったバッティングができる。最も力の入るポイントまでボールを呼び込み、そこで目一杯ボールをしばく。レベルに振って強烈なバックスピンをかけるから、ライナーも放物線もなかなか落下しない。それがこの選手の〈長打力〉だ。右方向への飛距離が出せるし、タイミングが合えば、内角速球にも鋭く体を回転させて引っ張りも効く。ここまでは遊撃手だったが、彼の〈本能〉は広い場所で走り回ることのほうに向いていると見る。外野手として打を存分に伸ばせ。
アマチュアで満足しているような雰囲気じゃない。プロ野球しか仕事場はない。そういう選手だ。通用するしないは本人次第だが、バットで勝負できる資質は十分。あとは、彼のガッツと野球小僧精神。矢野謙次(日本ハム引退)の後継ができた。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部

ゆあさ れいと 中堅手
湯浅 麗斗
187cm 88kg/右投右打
生光学園高(徳島)
50mタイム 5.8秒
スローイング 走塁力
守備力 勝負度胸
パワー 実践力
このサイズで、50mを5秒台で走れる右打ちのスラッガーなら、間違いなくどの球団も追う。徳島には、同じタイプで小田倭(富岡西高・187cm92kg・右投右打)という「走れて長打力もある大型スラッガー」がいて、共にこの夏予選では、持ち味のパワーを発揮した。グリップが思い切り前で出るフォローの大きな豪快スイング。均整抜群の体躯と、大きなストライドでぐいぐい距離を伸ばしていくベースランニング。塁間を駆け抜ける瞬発力もあって、右打ちの外野手では全国5指に入る。
足が速いし守備力も高いから、ファームでも出場機会は多いはず。ただし、1打席で結果を出せるタイプじゃない。ならば、最初から4打席、5打席使ってもらえる〈環境〉でクリーンアップとしての感性を養ってほしい。「志望届」は出さず。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部

なかやま しゅん 中堅手
中山 瞬
180cm 82kg/右投右打
創志学園高(おかやま)
50mタイム 5.8秒
スローイング 走塁力
守備力 勝負度胸
パワー 実践力
1年秋に初めて見た時は、とんでもない選手になれると思った。2年前の高田萌生(巨人)、昨年の難波侑平(日本ハム)、今年のチームにも金山昌平(一塁手)と逸材排出の創志学園だが、いやいやそんなもんじゃない、根尾昂(大阪桐蔭)クラスの選手になれると大きな期待がふくらんだものだ。タイミングが合った時のレフト方向への打球は、外国人選手のような見えないほどのスピード。近い距離の返球はブレがちだが、バックホームのダイレクト返球の強肩に5秒台の足。素材は間違いない。
まだ野球が粗い。飛び抜けた身体能力を野球という〈競技〉に、まだ十分に生かせていないのが現状だろう。人と競争する段階まで行っていない。自分の基本技を地道に磨いてほしい。〈サバイバル〉に参戦するのは、それからのほうが向いている。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部

ふじわら きょうた 中堅手
藤原 恭大
181cm 77kg/右投左打
大阪桐蔭高(大阪)
50mタイム 5.7秒
スローイング 走塁力
守備力 勝負度胸
パワー 実践力
根尾昂あっての藤原恭大だったのか、藤原恭大あっての根尾昂だったのか。たとえば今夏甲子園、根尾のバックスクリーン弾の直後、藤原が今度はレフトスタンドへ、打った瞬間!のホームラン。根尾の一弾を見て、「それ以上の打球を!」と藤原が狙って打ったのでは...。そんな余計な憶測までしたくなるような、2人の逸材の見事な〈相乗効果〉だった。いつでもカットできる高さを保って、まっすぐに伸びてくるバックホームはプロでも上位だろう。スリーベースメーカーを目指せる快足も兼備。
わずかな心配はある。タイミングのとり方が曖昧で、トップの浅いテークバック。木のバットで内角の140キロ台が大丈夫なのか?先頭打者としての打席でも、二死2塁でも、ベンチを見たがるのは〈依存心〉の表れなのか。杞憂に終わりそうだが。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部

まんなみ ちゅうせい 中堅手
万波 中正
190cm 89kg/右投右打
横浜高(神奈川)
50mタイム 6.3秒
スローイング 走塁力
守備力 勝負度胸
パワー 実践力
1年夏に横浜スタジアムのバックスクリーン直撃弾で驚かせてくれて、そこからが長かった。横浜高の中軸として注目、期待され、〈結果〉が欲しかったのだろう。さんざんボールを追いかけて、顔の高さの速球を空振り、足元のショートバウンドにも空振りの今春は、さすがに「ここまでか...」と思ったが、それがこの夏〈別人〉に変身。再度、横浜スタジアムのバックスクリーンを直撃すると、あと1mで場外の特大弾も。自分のゾーンで待ち構え、コンパクトなスイングで見事に振り抜いてみせた。
力んで気負って崩しかけた「甲子園」だったが、なかった。〈病み上がり〉を割り引けば十分合格点。このサイズでも守りに大味な面もなく、本気で取り組めば「スター」になれる大器。毎年出てくる選手じゃない。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部

かなやま しょうへい 一塁手
金山 昌平
182cm 83kg/右投左打
創志学園高(岡山)
50mタイム 6.5秒
スローイング 走塁力
守備力 勝負度胸
パワー 実践力
この夏の予選がすごかった。決勝までの5試合連続弾は大会記録。とりわけ準決勝では、「隠れドラ1候補」引地秀一郎(倉敷商)の目測147キロ、決して失投じゃない、低めに指のかかった速球を持ち上げて、広い広いマスカットスタジアムの右中間中段に持っていったから驚いた。昨秋、練習試合で見ているはずなのに印象がないのは、ほとんど力感が伝わってこない、独特の〈軽打〉のようなスイングスタイルのせいだろう。だから凡打が続くと記憶に残らない。ある意味、不思議な打者だ。
一塁は外国人で…そんな<言い伝え>はウソになりつつある。12球団の半分以上が和製一塁手だ。追い込まれても左前安打で逃げられるバットコントロール。長打力もアベレージも期待できるバットマンの逸材。出場機会の豊富な大学で磨きを。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部

たみや ゆあ 捕手
田宮 裕涼
176cm 73kg/右投左打
成田高(千葉)
50mタイム 6.0秒
スローイング 走塁力
守備力 勝負度胸
パワー 実践力
地肩が強すぎないのがいい。ムダのない動作で回転のいい送球をきちんとベース上にきめようとする意識が、スピーディーで高精度なスローイングに。ショートバウンドか...の送球がそこからホップするように見える。低めの捕球時にも上体が動かず、ストライクに〈見せる〉キャッチング。バッティングカウントで、打者の足元に構えられる配球も。守備力は「甲子園」でも目立ったはず。春は迷い迷いの打撃も、今夏予選ではふっ切れた。背中を立てしっかりトップをとってのフルスイングだった。
盗塁もできて、余裕で三塁打にできる俊足も兼備。もし進学したら、春から「1番・捕手」で活躍できるイメージが簡単に作れる。ならば、高いレベルの「東都」で存分に実戦経験を。繰り返しになるが、捕手は実戦のマスクでのみ上手くなれる。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部

いしばし こうた 捕手
石橋 康太
180cm 86kg/右投右打
関東一高(東京)
50mタイム 6.3秒
スローイング 走塁力
守備力 勝負度胸
パワー 実践力
1年生の12月に左ヒザ半月板損傷手術。およそ半年のブランクの後の成長カーブがすばらしい。オーバースイングを自ら戒めるようなコンパクトなスイング軌道から、ノンパワーに見えるスイングで驚くような飛距離や打球スピードを発揮。スローイングも同様のノンパワー感なのに、糸を引くような送球をベースの上にポンと置ける。サウスポー相手でもスタートがきれて、捕手のわずかなファンブルで三塁を奪う〈行き足〉の鋭さ。今夏予選は気負いが目立ったが、春の〈事実〉があるからよい。
去年の中村奨成(広陵高→広島)とはタイプは違うが、隠し持っている捕手として資質はまったくヒケをとらないと見る。捕手の姿から漂うムード、捕手しかできそうもない(失礼!)特別なオーラ。「絵に描いたような捕手」になれる素材だ。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部

どい かつや 捕手
土井 克也
180cm 76kg/右投右打
唐津商業高(佐賀)
50mタイム 6.3秒
スローイング 走塁力
守備力 勝負度胸
パワー 実践力
1年夏に甲子園出場、1打席だけでもスイングの鋭さが記憶に残り、今春、練習を見に行った。大勢の選手たちの中でも、パッとわかる〈存在感〉。木のバットでも、自然なスイングからセンター、ライト方向への打球がぐんぐん伸びていく。今夏予選の準々決勝、強打を警戒し外に構えた捕手の頭の高さに速球が入る。インサイドアウトのスイングでさらっと振り抜いた打球がライトスタンドへのライナー弾に。さらに終盤には、スライダーに崩されながら今度は豪快に左翼弾。進境が光った。
結局「届け」は出さず。それでいいと思う。間違いなく、総合力では全国クラスの捕手だが、〈抜けたもの〉がない。総合力勝負の選手に必要なのは、多くの実戦経験を重ねて得られる「試合上手」の要素だ。股関節、ヒザ、足首に一層の柔軟性を。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部

かつまた あつし 投手
勝又 温史
180cm 78kg/右投左打
日大鶴ケ丘高(東京)
球速帯 141〜152キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 カットボール/スプリッ ト/カーブ
コントロール率 57%
左腕の外角速球に詰まったように見えた打球が軽くレフト頭上を超え、低め速球をバックスクリーン前に。抜群のヘッドスピード+技術の「清宮タイプ」。熱中症で倒れて間もないのに、炎暑の中で躍動感あふれる投球で、走者を置いたセットからも140キロ後半。この夏は「関東No.1右腕」と評価されるまでに劇的変身。この選手の〈エネルギー〉は驚異だ。昨年の今頃は135キロ前後のスピードで、きちんとした変化球も投げられなかった。この年ごろの潜在能力は、まったく計り知れない。
投打の逸材。スイングスピードと長打力、ボールを捉える感覚も間違いなく一級品。私なら「打」を取る。よくいる「俊足好打」じゃない。プロでクリーンアップを打てる素質の持ち主だからだ。丁寧に打つ意識に目覚めれば、さらに進化できる。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部

かきこし けんしん 投手
垣越 建伸
183cm 92kg/左投左打
山梨学院高(山梨)
球速帯 136〜146キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 クロスファイアー/スライダー/カー ブ/カットボール/チェンジアップ
コントロール率 63%
今年の春先、強打・東海大相模を見事な緩急と両サイド低目への投げ分けで7回2安打ピシャッと抑え、5月の関東大会では右打者の内角を鋭い角度のクロスファイアーでえぐってみせた。テクニックと球威。両面を見せてもらって、「全国No.1左腕」か...の期待で迎えた今夏予選と甲子園。腕の振りにいつもの〈怒り〉が見えず、どこかかばっているような投げ方にちょっとガッカリ。チーム関係者に訊けば、「背筋痛」とのこと。休めば治ることを願いながら、やはりポテンシャルはNo.1左腕だ。
関東大会前後、140キロ後半まで上がった球速。それで、スライダーとチェンジアップが放射線状の球筋を作り、ジワーッと持ってきてビヤッと腕を振るをリズムで投げられたら、かなり攻略困難な左腕になる。山本昌投手(元中日)が重なる。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部

すぎもと こうき 投手
杉本 幸基
181cm 76kg/右投右打
大垣日大高(岐阜)
球速帯 141〜144キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 スライダー/カーブ/ チェンジアップ/フォーク
コントロール率 55%
修行恵大との二本柱でチームを牽引。しなやかな腕の振りと独特の落差を持つフォークの「修行」も非凡だが、私には、少々粗けずりでも、「杉本」の躍動感と運動量抜群の投球フォームに豊かな将来性を感じる。伸びやかなテークバックからダイナミックな腕の振りの軌道は、〈本格派〉そのもの。5、6イニングのロングリリーフでもコンスタントに140キロ前半マークのエンジンと、速球と同じ腕の振りのスライダーが将来性の〈基盤〉になれる。勝負球のチェンジアップの〈揺れ〉も魅力だ。
タテのスライダーとチェンジアップ...使える変化球が2種。これは大きなアドバンテージ。100球超えてから〈MAX〉を出せるスタミナも獲得。筋力を乗せていけば、ぐんぐん加速できそうなフォームという〈伸びしろ〉も大きな強み。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部

みやわき れん 捕手
宮脇 廉
179cm 85kg/右投右打
鹿児島城西高(鹿児島)
50mタイム 6.5秒
スローイング 走塁力
守備力 勝負度胸
パワー 実践力
「フライボール革命」というのがハヤリになっている。あくまでもレベルスイングで、その代わり渾身のスイングスピードでボールの下半分を狙って振り抜き、打球に放物線としての飛距離を与える。人並み以上のスイングスピードとミートの技術が必要な「特殊技術」だ。この選手のスイングスタイルがまさに〈これ〉だろう。300キロ近い背筋力だというから、プロでもトップクラスの〈怪力〉。飛ばす力はもちろんだが、変化球でも下半身の粘りでセンター方向へ痛烈に持っていける幅もある。
バッテリーを組む小峯新陸(2年)も188cmの長身から140キロ前半の速球で勝負の本格派だが、この投手の持ち味の〈速球〉を上手に生かした配球も光る。ただの「力持ち」じゃない。野球カンの鋭さ、泰然自若としたムード...プロ向きと見る。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部

ましこ きょうすけ 捕手
益子 京右
178cm 80kg/右投右打
青藍泰斗高(栃木)
50mタイム 6.4秒
スローイング 走塁力
守備力 勝負度胸
パワー 実践力
レギュラーマスクをかぶったのが昨秋の新チームから。今は中日の成長株No.1・石川翔を何度も見に行った昨春、昨夏はプレーを見ていないわけだ。昨年の須藤悠真(現立正大)もキビキビした所作の好捕手だったが、その後にこんなに強肩捕手が隠れていたとは...。カットできる高さで敏捷な二塁送球ができて、一瞬の判断力も的確。鋭い野球カンを持っている。通算23弾とはいえ、インパクトの精度には猛勉強が必要で、スイングスピードも物足りない。捕手としての〈筋〉の良さは一級品だが...。
〈打〉を買われてドラフト候補に挙がる高校生捕手が多い中で、ディフェンス能力がキラリと光る数少ない存在。これだけすぐれた野球センスなら、出場機会のより多い大学で実戦経験を積んだほうが上手くなれるのでは。捕手は何より実戦体験だ。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部

ひきち しゅういちろう 投手
引地秀一郎
187cm 85kg/右投右打
倉敷商業高(岡山)
球速帯 138〜151キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 スライダー/カーブ/ フォーク
コントロール率 64%
中学軟式ですでに130キロ後半、昨春140キロ後半をマークして早い時期から大型本格派の大器として期待されたが、昨年までは投げてみないと...粗けずりぶり。それが今春、重心がスッと沈めるフォームになって一気に球筋が安定。安心して腕が振れて、145キロ前後の速球もスライダー、フォークも、打者の手元での〈生命力〉を帯びてきた。今夏も炎熱の県大会で、初回から飛ばして終盤さらに球威アップ、9回に3者連続三振の心身のタフネスも立証。一気に「ドラフト上位候補」に台頭した。
左半身が機能するようになれば…はっきりとした<伸びしろ>を残しながらも素質は全国クラス。スライダーは間違いなく一級品。グラブを〈見える高さ〉で引きつけるように使えれば体の開きも改善され、もっと楽にタテ軌道で腕が振れるはずだ。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部

つるた かつき 投手
鶴田 克樹
180cm 95kg/右投右打
下関国際高(山口)
球速帯 138〜146キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 スライダー/カーブ/ ツーシーム/スプリット
コントロール率 66%
2年連続の夏の甲子園で、すっかり〈投手〉らしくなっていて驚いた。アベレージ140キロ前半の速球とそんなに球速の違わないスプリットを右打者に、ツーシームを左打者の外角低めに集め、スライダー、スプリットをカウント球でも使える。延長10回に〈144キロ〉を外角低目に、変化球を低めにきめられる心身のスタミナも立派なものだ。スイングではあっさり体が正面を向くのに、投球では半身を保って踏み込める。この1年、相当努力したはず。自分自身を成長させた〈痕跡〉があちこちに。
走者一塁のセットで長く持てる。球速で圧倒するタイプじゃないが、試合を作れる「勝てる投手」になれる資質は見えている。尻上がりにパワーアップできる「先発タイプ」は、今のアマ球界に意外と数少ない。1年目からファームで投げられる。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部

いちかわ ゆうた 投手
市川 悠太
184cm 78kg/右投右打
明徳義塾高(高知)
球速帯 138〜146キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 スライダー/シュート/ スプリット/ツーシーム
コントロール率 59%
「U18壮行試合」の先発立ち上がり粉砕が妙に気にかかる。まさかの夏予選敗退から1ヶ月、いったんはしぼんだ気持ちを立て直して臨んだつもりでも、体がついてこなかった...一時的なものと解釈したい。肩を持ちたくなるほど〈センバツ〉がよかった。3月にサイドから145キロを両サイドに投げ分けられる高校生はまずいない。ネット裏からでもホップして見えるスライダーなど、〈魔球〉に見えた。逆に、右打者の胸元、膝元を突けるシュートも財産。〈持ちネタ〉的には文句ないのだが...。
センバツの出来に戻れれば...まだ言っている。セットポジションで、ゆっくりと両腕を下ろし、止めるタイミングをわからなくして、走者のスタート意欲を消し去る技術。へんなとこ、達者なワザを見せて、なんとも玄人受けするヤツだ。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部

きむら そうた 投手
木村 颯太
177cm 78kg/右投右打
佐賀商業高(佐賀)
球速帯 138〜146キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 スライダー/カーブ/チェンジ アップ/スプリット/ツーシーム
コントロール率 57%
投げっぷりが「球道くん」中西清起(元阪神)に似てるなぁと思う。クイックに近いリズムで、どっしりと体重移動してくる力感十分のフォーム。内角を突ける攻撃的投球で、胸元はホップする体感。気合い任せにガンガンくるだけじゃない。5種の変化球のすべてでストライクがとれる器用さは、この投手の大きな〈意外性〉。特に140キロ前半の速球と同じ腕の振りで投げ込むスプリットとチェンジアップは、変化点が近くプロでも使える球筋とみる。全体の〈ゾーン〉がボール2つ下がってくれば。
「OK !」を出したが、プロ志望届を出さなかった。私が好きな投手だから、あえてここに挙げた。試合終盤、球威が落ちてくるところで「高目傾向」が災いし捕まることも。最終回に〈MAX〉が出せるような持久力を、大学4年間でぜひ。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部

とごう しょうせい 投手
戸郷 翔征
186cm 75kg/右投右打
聖心ウルスラ高(宮崎)
球速帯 141〜149キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 スライダー/フォーク/ ツーシーム/シュート
コントロール率 44%
昨夏甲子園で〈2年生〉のこの投手を見た時、肩の故障で消えてしまうのでは...と心配した。思い切り背中方向へ引っぱるテークバック。そこから強引なまでに強烈な腕の振りで、スリークォーターの角度から投げ込む。見ていて怖いようなフォームだが、肩甲骨の可動域が異常に広いのだろう、大きな故障も聞かず今夏の「U18壮行試合」での激投に驚いた。初回途中から緊急救援の5イニング1/3で5安打2失点も9奪三振。「ジャパン」相手に、一歩も引かぬ堂々の勝負根性に惚れた。
表情、態度が「投手」だ。すべての変化球で猛烈に腕が振れるのも魅力。典型的な〈荒れ球〉でもゾーンの中で荒れているから打者は辛い。タイプでいえばDeNA・平良拳太郎。ベース上で激しく動くスライダー、ツーシームは使える。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部

まつい よしや 外野手
松井 義弥
190cm 89kg/右投左打
折尾愛真高(福岡)
50mタイム 6.2秒
スローイング 走塁力
守備力 勝負度胸
パワー 実践力
昨年の6月、ある雑誌の取材でグラウンドの練習に伺った時の〈衝撃〉は忘れられない。打撃練習で両翼96mの右中間フェンスの向こうの土手を次々に超えていく打球は130m級。シートノックでは遊撃と右翼をこなして、「130後半が出ますから...」と監督さんが教えてくれて、ブルペンで投げてもらったら、140キロ前半が続いた。こいつは逸材だ...と思ったのは、それらのプレーがすべて〈サマ〉になっていたから。これだけのサイズがあって、走攻守の動きにぎこちなさや大味感がまるでない。
今夏甲子園での〈再会〉でも、ボディーバランス抜群の送球、走塁とコンパクトなスイングを見せてくれたが、同時に気負い過ぎからバッティングがパニック気味に。マジメ過ぎるぐらいの性格が災いしたのか。プロなら、もっと厚かましくてよい。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部

みやがわ かんし 外野手
宮川 寛志
177cm 70kg/右投左打
奈良大付高(奈良)
50mタイム 6.0秒
スローイング 走塁力
守備力 勝負度胸
パワー 実践力
今夏甲子園、益田東・稲林のスイングスピードにも驚いたが、この選手のバッティングにも強烈に惹かれた。稲林同様、志望届を出していないが、あえてここに挙げる。センター右のゴロのヒットに中堅手が追いつけない。すばらしい打球スピードだ。ファウルでもバットからグリップが離れないのは、タイミングが合っている証拠。そのタイミングのとり方がゆったりと柔らかく、非凡な匂いがする。次の打席、チェンジアップ系に崩されかけながらライトスタンドへ。余裕があったから驚いた。
左腕のスライダーを外に流されても、軸がブレないスイングは見事な技術。捕手がショートバウンドを止めて見失っている隙に三塁を奪うカンの鋭い走塁といい、ライトから走者の三進を阻止できる強肩といい、大学なら即レギュラーで活躍できる。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部

やました こうた 外野手
山下 航汰
176cm 78kg/右投左打
健大高崎高(群馬)
50mタイム 6.3秒
スローイング 走塁力
守備力 勝負度胸
パワー 実践力
昨年の春、この選手のを初めて見た時、「清宮に似てるなぁ...」と思った。後ろから前に大きく振り抜かれるレベルスイングの美しい軌道。打球は高く上がっているのに、振り終わりのグリップの位置は〈肩〉の高さにあって、決して高くない。ボールを存分に叩けている証拠だ。高校通算75弾でも、打者としての本質は「中距離打者」と見る。ファーストストライクをいとも簡単にジャストミートできる精度の高さ。プロで10年3割が打てて、首位打者にもなれる。そこまでの素質の持ち主だ。
バッティングはプロで定位置を獲得できる資質を持つが、一方で「ディフェンス」にどれだけ自分の問題として興味を抱けるか。動けない野手じゃない。走る姿の身のこなしも鮮やかだし、肩も悪くない。懸命に取り組んで〈名手〉にも挑め。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部


わかやま あおと 投手
若山 蒼人
188cm 85kg/右投右打
中部学院大(広島・崇徳高)
球速帯 132〜137キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 スライダー/シンカー
コントロール率 61%
大学2年でアンダーハンドにしたと聞いて驚いた。昨日きょうのアンダーの身のこなしじゃない。足上げから、沈み込みながら しっかり踏み込んで、潜ったままでしなやかに腕を振る。潜れているから両肩の線の延長線上で右腕を振れる。これほどのサイズのアンダーにして、このボディーバランス!てっきり〈もともと〉のアンダーだと決めつけていた。軸足が長くプレートに付いているのが、そのまま「球持ち」に。数字は130キロ前半でも、打者の体感速度は140を超えているはず。間違いなく〈逸材〉だ。
まず、タイプとして稀少価値。瞬発力に持久力...体力アップを図りながらクイックを覚え、勝負球に〈沈む系〉を1つ覚えて、2年目から一軍ローテでもおかしくない。体の左右の切り返し鮮やかな一塁牽制のアクションに抜群の野球センスが光る。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部

ひらかわ ゆうた 投手
平川 祐太
171cm 72kg/右投右打
国際武道大学(東海大浦安高)
球速帯 140〜146キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 スライダー/カーブ/カット ボール/スプリット/シンカー
コントロール率 68%
国際武道大の「三本の矢」とも言われた投手陣三本柱のうちの〈一本〉。上背はなくても、半身の姿勢を保ったまま大きく踏 み込んで、一気に体の左右を切り返す投球フォームには「武田久(日本ハム)だわ...」。思わずつぶやいてしまった。身長はなくても、球筋に〈角度〉を感じる典型。左打者の胸元、ヒザ元の速球で三振が奪え、140キロ前半の速球を見せてスプリットを沈ませ、シンカーを沈ませておいて速球を速く見せ、打者を差し込む。昨秋以降の実戦力アップ著しく、伸びしろも十分。
球種によって腕の角度が微妙に変わる青野善行も面白いし、変化球の制球に長けた伊藤将司(志望届提出)も使い勝手がよさそうだが、ピッチングという「仕事」が出来るのは平川と見る。タイミングを外す緩急を持ち、向かっていく覇気が頼もしい。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部

なかむら としや 投手
中村 稔弥
178cm 84kg/左投左打
亜細亜大学(長崎・清峰高)
球速帯 138〜143キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 スライダー/カットボール/カー ブ/スプリット/チェンジアップ
コントロール率 62%
亜細亜大で12勝(10月17日現在)は〈勲章〉だろう。毎年のようにプロ入りする投手陣の中で、長い期間ローテーションで投 げ続けた事実の積み重ねだ。何よりハートがいい。〈亜細亜〉らしい投手だ。去年まではハートで投げていた印象だったのが、今季は投球に〈根拠〉が見えてきた。スプリットに新兵器のチェンジアップが加わり、打者が待ちにくくなっている。もともと左打者には非常に見づらい軌道だし、クロスファイアーの球筋もきびしい。持ち球の威力で打者を圧倒できるレベルに達した。
マウンドに上がったら、試合が終わるまで降りるつもりはありません!そんな言葉通り、覇気と闘志が投球にみなぎる。走者を背負って、スプリットでファウルを打たせてカウントをとれ、左打者の懐に全力投球で142キロ。〈技術〉の裏付けも。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部

かわせ こうさく 投手
川瀬 航作
182cm 84kg/右投右打
京都学園大学(米子松蔭高)
球速帯 138〜146キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 スライダー/ツーシーム スプリット
コントロール率 52%
左足を後ろに蹴り上げる反動で前に大きくリフトアップ。やや前傾姿勢でインステップし、サイドハンドから豪快に腕を振る。その「インステップ」が、打者にとっては打ちにくい角度になり、本人にはパワーロスになっているような気も。こういう〈個性〉が難しい。球速帯140キロ前半の速球と見分けのつきにくい「高速スプリット」が130キロ後半。速い変化で打ち損じを誘う投球スタイルだ。1イニングのリリーフなら、今の球種を磨けばいいだろう。先発志向なら、打者をのめらせる球種をぜひ1つ。
ここ数年、パタッと出なくなったサイドとアンダー。それが、昨年は専修大・高橋礼(ソフトバンク2位)が出て、今年は東日本国際大・粟津、中部学院大・若山にこの川瀬。「流れ」が出来つつあるのはプロの需要があるから。乗ってみる手だ。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部

いずみ けいすけ 投手
泉 圭輔
188cm 83kg/右投右打
金沢星稜大学(金沢西高)
球速帯 141〜146キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 スライダー/カーブ チェンジアップ
コントロール率 72%
大学で野球を続けるつもりはなかったんです...よかったね、続けていて。間違いなく、「人生」が変わろうとしている。抜群のピッチングセンスは入学時から輝いて、2年からほぼエース格で3年間奮戦しながら、大きな故障もない代わりに、大きな〈勲章〉もまだ手にしていない。「素材」といえば素材だが、素質なら、「東洋」「日体」の次のレベルだ。雨の中の0対0でも、淡々と飄々と、フラットに丁寧に投げ続ける。大学から始めた筋トレで140キロ後半まで上げてきたが、本人、自信の持ち味は「角度」だ。
長い手足を無理なく柔軟にしならせたフォームは将来性抜群。両肩のラインの内側で動作していて故障の心配なし。今はリーグのレベルが味方して、失投を打ち損じの場面も。痛い目にも遭いながらスクスク伸びていくイメージしか浮かばない。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部

ちょう いっせい 捕手
長 壱成
181cm 76kg/右投右打
駒澤大学(智辯和歌山高)
50mタイム 6.5秒
スローイング 走塁力
守備力 勝負度胸
パワー 実践力
あまり話題にならないが、かなり優秀なセンスと身体能力を持った捕手だと思う。守備ワークに長けたプロの素材と見る。シ ートノックの三塁送球、二塁送球がホップして見え、ショートバウンドを吸い上げるように捕球し、そのまま低く伸びる送球で二盗を刺したプレーなど、下半身の柔軟な粘り、捕球→送球のスピードと正確さ共、プロ仕様のスローイングだ。投手が気分よく投げられるための気遣いも心掛けているようで、だんだん「捕手」が面白くなってきているのではないか。光って見える。
一級品の強肩なのに力任せにならない。右手を引いて投げるアクションロスもなく、二塁ベースの上にボールをポンと置けるさりげなさもプロっぽい。プロに進んでもよい捕手だ。守備が上達すれば、捕手は不思議とバッティングも上手くなる。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部

しろがね こうた 投手
白銀 滉大
181cm 76kg/右投右打
駒澤大学(千葉・柏日体高)
球速帯 142〜149キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 スライダー/カットボー ル/ツーシーム
コントロール率 26%
リーグ戦登板は3年生になってから。ほとんどが試合終盤のストッパーだが、サイドハンドから強烈な腕の振りに指のかかり が負けてない日は、打者の胸元にホップしてくるように見える145キロ前後が打者のスイングを圧倒する。速球の軌道でまっすぐに来て、ベース上で変化するカットボールも使えるし、左打者の外にスッと沈むツーシームが投球の幅を広げている。ただ、あれもこれも、〈ストライク〉が入れば...の話。基本、構えたミットには来ない。その荒れ球が結構打ちにくい武器になることも。
ブルペンでは球道が暴れていても、救援のマウンドに上がるとストライクゾーンにガンガン。そんな日もある。練習より本番、並みの打者より強打者...よりテンションが上がる内面なのかも。サイドからの剛球はゾーンに入りさえすれば使える。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部

うるしばら たいせい 投手
漆原 大晟
182cm 83kg/右投右打
新潟医療福祉大学(新潟明訓高)
球速帯 142〜151キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 スライダー/カーブ シュート
コントロール率 37%
絶対的エースとして君臨していた左腕・笠原祥太郎(現・中日)が2年上。偉大な先輩の奮戦ぶり、練習ぶり、成長と苦労...すべて見てきて、学習してきたはずだ。1年秋にリーグ戦で「連続11奪三振」。派手なスタートを切ったわりに、その後、今春までの防御率が4点に近い。確かにイニング単位で投球に波があるし、もっと言えば、打者1人単位で投げるボールの質が変わる。うわっ!と声が出るような140キロ後半もあれば、スッと垂れるのがわかるようなストレートも。そこに妙な魅力がある。
まったくの「素材」である。世間的な身分は「大学生」でも、野球的には「高校生」。そう考えれば、間違いなく能力は高い。今の実戦力では社会人でも〈育成系〉だろう。ならば、プロの食事とトレーニングで鍛え、タテの変化を身につけよう。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部

すなが えつし 投手
須永 悦司
190cm 95kg/右投右打
桐蔭横浜大学(桐蔭学園高)
球速帯 139〜150キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 スライダー/カーブ/ チェンジアップ
コントロール率 56%
〈大器〉だけに、時間をかけてじっくり仕上げた。昨秋から本格的に登板を始めて、今春リーグ戦では「エース格」として奮投。4勝2敗、防御率1.25で「最優秀投手賞」を獲得。長いリーチをくねらせながらゆっくりと踏み出して、なかなかボールを離さない。球持ちがよく、特に右打者の外角低目への速球の角度は一級品。140キロ前半でも空振り三振が奪える〈球筋〉の難しさ。指にかかった時の、腹に響く捕球音に球質の重さが。上体だけの投球、変化球の精度...今の課題がそのまま〈伸びしろ〉だ。
...という前に、名門・JR東日本への進路が内定していた。先発で凡打に打ち取りながら長いイニングっていうより、全力で3人抑えてこい!の方が気合いが入ります。本人そう言うように、剛速球でねじ伏せるリリーフ役に適性がありそうだ。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部

しみず のぼる 投手
清水 昇
180cm 80kg/右投左打
國學院大學(帝京高)
球速帯 138〜150キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 スライダー/カーブ/カットボー ル/チェンジアップ/ツーシーム
コントロール率 69%
きちんと投げられるのに、もう一つ詰めが甘くて〈殻〉を破れないじれったさが抜け、最後の秋に来て、ようやく「エース」 らしくなった。150キロに届いた速球の質が、まず良くなった。投球に〈軸〉ができて、安心して投げている印象。もともと制球力の確かさは一級品。中学時(駿台学園中)で投球を受けたことがあるが、オーバーハンドの中学生でこんなに低目に集められて抜け球のない投手はちょっといない。正直、驚いたものだ。強烈なプロ志向。それがここまで実力を引っぱり上げたのかも。
いつも感心するのは、実戦以外の場面でも全く手を抜かないこと。ダグアウトからはいちばん声が聞こえてくるし、シートノックの球拾いでも常に打球を追う。無類の野球小僧。プロのサバイバルで残るのは、こういう〈オタク〉みたいなヤツだ。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部

おおた ひかる 捕手
太田 光
178cm 77kg/右投右打
大阪商業大学(広陵高)
50mタイム 6.0秒
スローイング 走塁力
守備力 勝負度胸
パワー 実践力
今春までの7季のうち6回のリーグ優勝に、レギュラー捕手として貢献。1年春からの全ての試合で先発マスクをかぶってき た。「経験値」がものを言うポジションだけに、この〈事実〉が大きな武器になるはず。昨年の大学選手権で4三振を食らった天理大の好左腕・森浦大輔(2年)から、今年の大学選手権ではやられたチェンジアップを右方向へ二塁打を2本。きちんと学習して〈手〉を打ってきた。インサイドアウトに徹したスイングスタイル、左腕攻略だけでなく打の基盤として有効だ。
春先から痛めていた右肩が〈故障〉の段階に、今秋リーグ戦は「2番DH」で出場。地肩は問題ないが、以前から気になっているスローイング時の足首、ヒザのこなしの硬さ。「肩投げ」は故障再発の原因にもなり、修正してからのプロでも。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部

あわつ かいと 投手
粟津 凱士
178cm 76kg/右投右打
東日本国際大学(山形・山本学園高)
球速帯 137〜147キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 スライダー/カーブ カットボール/ツーシーム
コントロール率 63%
この球威と打ちにくさなら、リーグ戦で防御率0点台は当然。むしろ、今年の大学選手権で完封を含む13イニング2/3無失点の〈結果〉のほうが実力と見るべきだろう。ゆっくりと踏み込んで来て、そこから猛烈なスピードで腕を振る。フォームの緩急がまず買える。140キロ前後でも、指にかかった時の強さ抜群の速球には〈剛〉が付く。ツーシームでも腕の振りが緩まず、全力投球しているのに両サイドの投げ分けが効いて、速球に放射線状の球筋を作れる。持ち球のレベルは十分プロ級。
〈勝負野球〉は高校で終了のはずだった。理由はどうあれ、続けてよかった。今が一番野球が面白いのではないか。プロでいえば、ヤクルトの抑え役だった高津臣吾、今なら秋吉亮。プロの食事とトレーニングでどんな〈変化〉を見せるのか、楽しみばかりだ。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部

うめつ こうだい 投手
梅津 晃大
187cm 93kg/右投右打
東洋大学(仙台育英高)
球速帯 138〜153キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 スライダー/カーブ カットボール/フォーク
コントロール率 58%
これだけの大器が4年秋に「初勝利」とは。常勝・仙台育英で甲子園登板経験なく、満を持してのはずだった今春も左足首に打球を当てて離脱。事実上、今秋が〈デビュー〉に。前から大きく見えるのは骨格が大きいから。雄大な体躯と、テークバック〜腕の振りが両肩の延長線上で行なえる理にかなった上体のこなしが何よりの将来性。豪快に投げ下ろすスタイルと何となく〈高目傾向〉の投球に、良くも悪くも九州共立大時の大瀬良大地(現広島)が重なる。潜在能力は〈3人〉の中でNo.1。
右肩周りの動きは理想的。これで、前に体重が乗って、グラブサイドの動きが効いてくれば...。ほぼ肩周りだけで投げても常時145キロ前後のパワーは、間違いなくプロでローテ候補だ。1年、2年は本人、指導者お互いに辛抱、その先で笑おう。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部

よねみつ なぎ 遊撃手
米満 凪
170cm 70kg/右投左打
奈良学園大(敦賀気比高)
50mタイム 5.8秒
スローイング 走塁力
守備力 勝負度胸
パワー 実践力
昨年、宮本丈(ヤクルト6位、遊撃手)、村上海斗(巨人7位、外野手)の取材に伺ったグラウンドで、ほんとは彼らを一生懸命見 なければならないのに、当時、二塁を守っていたこの選手の動きが気になった仕方がなかった。今年の大学選手権では1試合4盗塁に右中間弾。早くから「プロ一本!」を表明。東京ドームの試合前のキャッチボールで、ものすごい勢いのビームスローを繰り返していたのも「見せてやる!」の意気込みからに違いない。キラキラッと光って見えて、「やっぱり!」と心躍ったのだが...。
そこからのもうワンプッシュがほしかった。たとえば、今秋リーグ戦での大暴れ。体の近くを速球で突かれると、次の投球にバットを構える姿に〈おじけ〉が見えた。こんなもんじゃない!社会人の熾烈な勝ち抜きで、野球に〈怒り〉の注入を。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部

ささき けん 投手
佐々木 健
178cm 80kg/左投左打
富士大学(青森・木造高)
球速帯 140〜147キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 スライダー/カーブ カットボール/フォーク
コントロール率 67%
「リーグ戦9連覇」、今春は継続の危機だった。エース格の左腕・鈴木天翔(4年・向上)のヒジ故障。そのピンチを救ったのが村上英(4年・宇都宮南)との左右の両輪だった。大学選手権で7イニングのロングリリーフ。左腕独特の大きく割れるカーブに、ストライクゾーンから沈むカット。クロスファイアーの角度が魅力的なのは、腕の振り自体の角度としなりが抜群だから。軸足がリリースの瞬間までプレートにこだわって、最後のケリが効いて溜めた力がすべてボールに乗っかる。筋がいい。
先頭打者を打ち取った直後に四球、すばらしいフォークをきめた後に死球。ピッチングに〈幼さ〉が残るが、狙ったポイントに投げる能力自体は決して悪くない。実戦経験を積めば積むほど、比例して〈実戦力〉も上昇するタイプ。2年目からローテで。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部

いとう ゆきや 二塁手
伊藤裕季也
181cm 90kg/右投右打
立正大学(日大三高)
50mタイム 6.2秒
スローイング 走塁力
守備力 勝負度胸
パワー 実践力
なんだか、頼もしいヤツが現われた。今夏は「侍ジャパン大学代表」のレギュラーとして活躍、甲子園後の「高校ジャパン」 との壮行試合では、ケガをしている足を引きずりながら、大阪桐蔭高・柿木蓮の〈145キロ〉をバックスクリーンへ放り込む「はなむけ」の一発。続く今秋のリーグ戦も、いまだ本調子にない足を気遣いながらも、チャンスに長打のタイムリーの打てる勝負根性。一塁しか...の印象とは異なり、外野の芝生の切れ目で守って、無難に打球を処理する意外性も。「野球上手」だ。
なんだか、落合博満(元ロッテほか)さんのようなムードを感じている。落合さんも、ああ見えて、二塁も三塁も上手かった。投球に逆らわず、自分のイメージする方向へ〈MAX〉の打球をさりげなく飛ばす。故障完治すればプロの対象に。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部

むこやま もとき 外野手
向山 基生
184cm 83kg/右投右打
法政大学(法政大二高)
50mタイム 6.0秒
スローイング 走塁力
守備力 勝負度胸
パワー 実践力
1980年代、彼のお父さんも社会人球界を代表する外野手だった。名門・熊谷組のクリーンアップをつとめた強打の左打者。 その〈DNA〉をかなり色濃く継承している。守備力なら即戦力...というよりも、一軍でもいきなり上位の守備力と見る。前で守れて後ろの打球にも強く、際どい打球を最後まで顏(目)が追えているから〈球際〉が強い。非常に正確なバックサードにバックホーム。柔軟でバランス抜群の身のこなしだから、投げ損じほぼなし。スマートなユニフォーム姿もグラウンドに映える。
足も速い。内野ゴロでも全力疾走、〈行き足〉が鋭い。あれだけ指にかかったロングスローができる瞬発力なら、非力なわけがない。切るようなスイング軌道さえ修正すれば。ボールを〈点〉で捉える形だと、タテの変化全盛のプロは苦しい。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部

しまうち そうたろう 投手
島内颯太郎
180cm 77kg/右投右打
九州共立大学(福岡・光陵高)
球速帯 139〜147キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 スライダー/チェンジ アップ/スプリット
コントロール率 65%
全くの無名校から、〈全国〉の舞台でも強豪チームのエースに。それだけの勝負根性は持っている。「腕の振り」なら出色の存在。ヒジが打者方向へ突き刺さるように繰り出されても、手首はまだ頭の後ろに残ったまま。この「しなり」が145キロ前後のスピード以上の「強さ」を生む。試合前半のすばらしい勢いが、後半に急激にしぼんでしまう「心身の体力不足」はあるが、たとえば1イニング限定で投げさせた時の「爆発力」には、ものすごく興味がある。本格的な野球は大学から。伸びしろの塊だ。
振り抜いた右手の先が、脇の下から背中まで届くほどの腕の振りのわりに、球筋が安定しているのは才能。大腿部とふくらはぎが太く足首が締まっているのは強靭なバネの持ち主。「持久力」よりは「瞬発力」タイプ。後ろの3人の一角を狙え。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部

やまもと たかひろ 投手
山本 隆広
172cm 82kg/右投左打
関西大学(大阪・桜宮高)
球速帯 138〜150キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 スライダー/カーブ/チェンジ アップ/ツーシーム/フォーク
コントロール率 68%
2年時からリーグ戦で「パワーピッチャー」の片鱗を現し、昨秋は強打の近畿大相手にパーフェクトゲームを達成...と順調にレ ベルアップを続けながら、春先につまずいた。阪神二軍とのオープン戦で右ヒジ剥離骨折。絶好の〈就活〉の機会に頑張り過ぎてしまったのか...9月半ばにリーグ戦復帰は「不幸中の幸い」だった。とにかく「野球上手」。万が一、〈投〉に限界があっても、野手で十分見通しが立つだけの総合的な野球センスの持ち主だ。抜群の敏捷性に50m6秒0のバネ。投打共にプレーの勢いが光る。
もちろん、「投手」だ!打者の懐を強烈な速球でえぐって平然としている勝負根性は買いだ。145キロ前後まで戻った速球。〈数字〉 より渾身の腕の振りが戻るかどうか...。フィジカルが回復すれば、腕を振る怖さはヒョイっとクリアできる。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部

まつもと わたる 投手
松本 航
176cm 85kg/右投右打
日本体育大学(明石商業高)
球速帯 139〜154キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 タテのスライダー/カットボール カーブ/スプリット/ツーシーム
コントロール率 72%
この投手の「炎上」を見たことがない。リーグ戦、全国の舞台、ジャパン...どんな状況で見ても、想定通りかそれ以上の投球をやってのける。そのコンスタントさがすでに「プロ」の域だ。先発の立ち上がりから、抑えの効いた速球が150キロ前後。140キロ近いツーシーム、スプリットでサッと勝負し、球数少なくチェンジに持ち込む。クイック、けん制に隙がなく、捕手が構えたミットに70%以上決められる制球能力もプロ級。自在に操れる変化球を3種以上。他の候補にない〈実戦力〉だ。
速球の質が抜群だから、多彩な変化球が実戦力になる。低めの〈高さ〉がわからないほど〈伸び〉を感じる低めの速球。松本ほど、低めの回転がほどけない速球を投げられる投手はいない。いつもフラットなマウンドさばき...新人王候補の一番手。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部

くりばやし りょうじ 投手
栗林 良吏
178cm 80kg/右投右打
名城大学(愛知黎明高)
球速帯 141〜153キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 スライダー/カーブ/カットボール/ ツーシーム/チェンジアップ/フォーク
コントロール率 65%
フォームも変わったが、ピッチングの内容も変わって、最後の秋にグッと台頭。あっさり体を開いて投げていたのが、〈胸〉をなかなか見せなくなった。そのぶん、タメが効いて球持ちもよくなり、リリースでの指のかかりが安定。外を狙った速球がシュート回転して中に...が減少。バチッとボールを切れている。速球の質がよくなってフォークも覚え、この秋は狙って三振を奪える投手にグレードアップ。昨秋までの勝負球・タテのスライダーだって一級品。〈上位〉にふさわしいスキルを獲得し始めている。
春の状態なら「ちょっと待った!」だった。間違いなく上昇カーブにある。今が〈旬〉だ。身長のわりに長いリーチ、高校時は遊撃手としてもマークされた野球上手。「投げる」だけじゃない。フィールディングをはじめ、もっと上手くなれる選手だ。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部

あずま ゆうすけ 投手
東妻 勇輔
170cm 76kg/右投右打
日本体育大学(智辯和歌山高)
球速帯 141〜150キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 スライダー/カットボー ル/スプリット
コントロール率 55%
クール、フラット、コンスタント...の松本航と日体大の2本柱を組むのが、ヒート、最大値...の東妻だ。先発して6回、7回試合を作って...というタイプじゃない。イニングの頭から上がり、ガンガン飛ばしてアウト3つ取ってこい!それで持ち味を発揮するタイプ。猛烈な腕の振りから150キロ近い速球もあるが、速球以上の腕の振りから140キロ前後の高速スライダーとスプリットを、もっと実戦で使ってもよい。課題、宿題いろいろあるが、大学球界屈指のパワーピッチャーではある。
これだけ優秀な持ち球がありながら、割りとあっさりタイミングを合わされるのは、スッと抜いたボールがないから。角度が乏しいタイプだけに詰まらせるだけじゃ限界あり。「遅い系」は意外と難しい。社会人の厳しいトーナメントでもうひと勉強だ。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部

かいの ひろし 投手
甲斐野 央
186cm 81kg/右投左打
東洋大学(東洋大姫路高)
球速帯 143〜159キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 スライダー/カーブ/カットボー ル/ツーシーム/スプリット
コントロール率 63%
今春までの「東都3連覇」に〈守護神〉として貢献。特性が見えたのが、今夏の「日米大学野球選手権」だ。13イニングと1人に24奪三振、防御率ゼロ。振ってくる野球に対する〈威力〉の大きさを証明した。コンスタントに150キロ前後の球速と、カウント球にも勝負球にも使える必殺スプリット。〈速い系〉を投球の軸に、スッと抜いたカーブも挟める。1つだけ注文をつけたいのが、ちょっと猫背のマウンドの立ち姿。胸郭を大きく広げ真上から見下ろすように立てば、それだけで威圧感に。
走者を背負ったセットポジションからも、150キロ台の速球と135キロ前後のスプリットを投げられる投手はアマ球界に甲斐野だけ。時として、代わりばなに連続四球の〈ムラ〉はあるが、速球の猛烈なスピンはスプリット以上の必殺兵器。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部

かみちゃたに たいが 投手
上茶谷大河
181cm 85kg/右投右打
東洋大学(京都学園高)
球速帯 137〜152キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 スライダー/カーブ/カットボー ル/チェンジアップ/スプリット
コントロール率 64%
今春リーグ戦、特に最初の1ヵ月の投球は「すばらしい!」のひと言。背格好、投球フォーム、球種までオリックス・西勇輝そっくりの大奮投。チームを背負って投げる「エース」の矜持をにじませながら、昨年までわずか5イニングのリーグ戦経験とは思えない投げっぷりは見る者の心を揺さぶった。腕を叩きつけるように投げる145キロ前後の速球と、同様の猛烈な腕の振りからスライダー、スプリット、チェンジアップを投げ込み、〈本物〉の緩急で東都の強打者たちをねじ伏せてみせた。
春の大奮闘の〈疲れ〉が、この秋、投球に見え隠れ。そこが心配。春はトップの位置で右手に〈高さ〉があったが、秋はやや低い所から押して投げていないか。打者がビビッておらず捉えられる場面も。それでもなんとかしのぐ〈強さ〉はさすが!
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部

おじま かずや 投手
小島 和哉
175cm 76kg/左投左打
早稲田大学(浦和学院高)
球速帯 135〜146キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 スライダー/カーブ/カットボー ル/ツーシーム/チェンジアップ
コントロール率 66%
東京六大学の「背番号10」。キャプテンナンバーを背負ったエースピッチャーだ。チームの結束に心を配りながら、自分の仕事にも集中して〈必勝〉のマウンドに上がる。これ以上の「人生勉強」はない。打たれた、抑えた...より、今季のこの「経験値」は貴い。今秋、法政敗戦後の立教戦に見せた渾身の完封劇でリーグ戦20勝。節目を抑えられるのも実力の一端だ。音もなくキュッと動くカットボールの変化は鋭くなったが、140キロ後半に達した速球は、まだ実戦で打者を圧倒する迫力にない。
高校ドラ1候補の「最後の姿」を見られる国体を振って、スカウト部長以下4人で見に来ていた球団もいたほど「気になる存在」には違いない。ただ、完封の試合でも姿が大きく見えないし、ボールも大きく見えない。社会人でパワーアップを。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部

たかはし ゆうき 投手
高橋 優貴
178cm 74kg/左投左打
八戸学院大学(東海大菅生高)
球速帯 140〜152キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 スライダー/カーブ/チェンジ アップ/スクリュー/フォーク
コントロール率 61%
持ち球のレベルの高さはすばらしい。左打者からは視界から消える体感のスライダー、右打者の外に沈むスクリューボールに、140キロ近い高速フォーク。この左腕にしか投げられない鋭い角度のクロスファイアーは、140キロ前半でもバットを粉砕できる。いくつもの〈財産〉を駆使して、今秋リーグ戦で富士大・多和田真三郎(現・西武)の「299奪三振」のリーグ記録をクリア。先発だと、セーブした投げ方をしてバランスを崩すことも。三振を奪えるボールを複数持っているのは何よりの強みだ。
1イニング限定なら、1年目の巨人・戸根千明のような剛腕的投球でねじ伏せてくれるのではないか。首を振って投げる場面も減り、いきなり四球...のようなリスクも払拭しつつある。1人や2人出したってよい。〈0〉で抑えるのが仕事だ。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部

しょうずい ゆうや 外野手
正随 優弥
181cm 90kg/右投右打
亜細亜大学(大阪桐蔭高)
50mタイム 6.2秒
スローイング 走塁力
守備力 勝負度胸
パワー 実践力
2年生、3年生の4シーズン、この時のバッティングには魅力があった。〈金属打ち〉のロスの大きなドアスイングから、〈インサイドアウト〉のスイング軌道を身につけて、持ち味のレフト方向への長打力に加えて、ライト方向へのタイムリーを再三放って成果を証明してみせた。この2年間のリーグ戦で、放ったホームランが7弾。忘れられないのは3年秋、国学院大の左腕・山岡投手から奪った左中間上段への放物線は、木のバットでこんなに飛ぶのか...と、驚くよりあきれるような飛距離だった。
その〈剛打〉が、最終学年になって、ちょっとバランスを失っている。見た感じよりずっと、走れて守れて、肩も強い選手。社会人なら遠からずレギュラーを奪える実力者だ。プロの外野手のボーダーは高い。磐石の自信を胸に、2年後に。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部

とくもと けんたろう 外野手
徳本健太朗
177cm 75kg/右投左打
青山学院大学(龍谷大平安高)
50mタイム 5.7秒
スローイング 走塁力
守備力 勝負度胸
パワー 実践力
外野守備力とベースランニングに関しては、辰己涼介(立命館大)に近い実戦力を持った外野手と楽しみにしていたのだが、5月2日、春のリーグ戦中にフェンス激突捕球で足首を骨折して手術。今秋は〈慣らし運転〉として、途中出場や9番でリーグ戦に。返球を受けた内野手がタッチプレーをしやすいようなスローイング、相手野手のアクションロスをどん欲に突いていく走塁。ただの強肩、俊足だけじゃない。「実戦力」の裏づけありで抜群の身体能力を発揮すれば、十分プロの素材なのだが。
ボールを選び過ぎてしまう〈クセ〉はプロでは致命傷に。「災い転じて福...」ではないが、せっかく名門社会人が門戸を開けて待っていてくれるのなら、2年間しっかり〈ワザ〉を磨こう。「勝てる身体能力」に変身した姿を都市対抗で見たい。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部

くすのき けんじろう 外野手
楠 研次郎
180cm 83kg/左投左打
富士大学(東海大相模高)
50mタイム 6.0秒
スローイング 走塁力
守備力 勝負度胸
パワー 実践力
入学直後から即レギュラーに起用され、見るたびに進化してきた事実に、まず頭が下がる。4年8季あれば、調子停滞や故障もあって当然なのに、ここまで4割台を3回、唯一ベストナインを逸した2年春ですら3割2分台をマークしていた「Mr.コンスタント」。スローイング能力、守備範囲は学生球界トップクラスで盗塁もできる。辰己(立命館大)のような激しいプレースタイルじゃないから一見地味に見えるが、過不足のない安心感、破綻のなさは、むしろ1年間長丁場の「プロ向き」と見る。
今季引退の千葉ロッテ・福浦和也選手のような、息の長い、ムラなく打っている頼りになる存在になるんだろうと楽しみにしていたら、早々に東京ガス就職を決めた。彼なりの人生観、世界観があってのことだろう。社会人での動向に注目したい。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部

わたなべ よしあき 遊撃手
渡辺 佳明
179cm 74kg/右投左打
明治大学(横浜高)
50mタイム 6.2秒
スローイング 走塁力
守備力 勝負度胸
パワー 実践力
あまり派手な活躍はしていないようで、実は打線のつなぎ役として、こんなに有機的に機能している選手もいない。この選手の「野球カン」には舌を巻く。フルカウントは投手の方にプレッシャー...それを見抜いて、失投をヒットになるコースに弾き返す。状況を見定め、自分に有利になるような打ち方を選択する。ムダに燃え過ぎない、ムダに力まない。すでに〈プロ仕様〉のバッティングを実践。いつのまにかレギュラーになっている選手だ。
今春、三塁手から遊撃手に。正直、大丈夫かな...?と思った。一塁手が転がすゴロを、腰を二つに折って拾った。うわっ...と思った直後、正面の打球を見事な身のこなしでさばいて見せた。ヒザも足首も、柔軟に機能していた。それ以降、見るたびに守備が上手くなっていく。抜群の「野球カン」だ。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部

あいざわ りょうすけ 外野手
逢澤 峻介
175cm 77kg/右投左打
明治大学(岡山・関西高)
50mタイム 5.8秒
スローイング 走塁力
守備力 勝負度胸
パワー 実践力
2年生でレギュラーになった頃は、ヤンチャな野球に魅力があった。ちょっと前の高山俊(15年阪神1位)にも負けない快足と強肩を誇示するような、時として見せびらかすような「大きな野球」は見ていて痛快でもあった。昨季〈4番〉に抜擢された時は、一生懸命4番らしく打とうと右狙いのオーバースイングになって、バッティングを崩しかけたことも。痛い目にも遭いながら、野球が〈大人〉になってきたら、この選手の実戦力は一気にプロのレベルに上がるはず...。そんな期待値まで、あともうひと息か。
プロのレギュラー外野手は、3割と一級品の守備力が当たり前。あっさり打ち損じ、あっさり送球ミス...は命取りに。激戦トーナメントの社会人で精度アップを。スピードや強さより、高いレベルでは正確さが優先。それを実感してからでも。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部

とんぐう ゆうま 捕手
頓宮 裕馬
183cm 97kg/右投右打
亜細亜大学(岡山理大付高)
50mタイム 6.0秒
スローイング 走塁力
守備力 勝負度胸
パワー 実践力
それまでの〈一発屋〉から、3年春に打が一変。空振りしても体勢が崩れない。変化球でタイミングを外されても、ヒザが割れずに柔軟に反応し、頭が動かないから結構芯で捉えてスタンドまで持っていってしまう。2年時までは見たことのない中堅方向の猛烈なライナーは、深く守っている中堅手が動く間もなくフェンス直撃に。プロ級のパワーに加えて、とっさに柔らかく反応するワザを持つ。〈打つだけ〉のように見えて、相手野手の動きに隙が突いて先へ進める〈機動力〉という意外性も兼備。
山川、中村(西武)、アジャ井上(千葉ロッテ)を追走できる存在。「本塁打王」という高い志を抱いて、プロへ進もう。役割は「バットでチームに貢献」。捕手じゃなくても。「一塁手」としてのスピード反応、肩、器用さも問題なしと見る。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部

たつみ りょうすけ 外野手
辰己 涼介
180cm 74kg/右投左打
立命館大学(兵庫・社高)
50mタイム 5.7秒
スローイング 走塁力
守備力 勝負度胸
パワー 実践力
何度も驚かされた。50m 5秒7の快足でセンター前を二塁打にし、遠投125mの鉄砲肩は、低く伸びたバックホームがミットの面を上に向けて捕りにいった捕手の手首に当たった。飛び抜けた身体能力が野球の能力に〈昇華〉されている。打撃だって、柔軟性と強靭さを兼備した〈天才型〉。そのスリムな体でなんで?...と驚く猛烈なスイングスピードで、2年時の「日米野球」で151キロの速球をバックスクリーンに放り込んだ。見た感じは秋山翔吾(西武)でも、本質は「ミニ・ギーター」だ。
身体能力、野球センスは全く問題なし。チームによっては、今すぐでも外野の一角を奪えて、「1番打者」だって十分あるし、他を大きく引き離して「新人王」。ぜんぜん夢じゃない。あとは〈縁〉。固いご縁に結ばれた球団に進めることを、心から祈る。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部

なかがわ けいた 二塁手
中川 圭太
180cm 75kg/右投右打
東洋大学(PL学園高)
50mタイム 6.2秒
スローイング 走塁力
守備力 勝負度胸
パワー 実践力
「PL」がこんなことになる直前の大阪大会で、「まだこんなに上手いのが残ってたんだ...」と思わず唸ってしまった。当時は、体もプレーもひ弱さが残る〈好選手〉だったが、1球でピシャッとライト前にエンドランをきめる〈野球上手〉。それがここまで大きな存在になろうとは...。今岡みたいになってきた。阪神が強かった頃の二塁手、そしてポイントゲッターだ。「東洋」の偉大な先輩である。守って〈足元〉が強い。右手側の痛烈なゴロを、ボディーバランスを崩さずバックハンドでさばき、一、二塁間の打球をスライディングキャッチで捕らえて一塁に刺すスピードと安定感。右方向への打球が伸びるから、左翼満塁弾も打てる。
選手だとみる。実戦力は非常に高い。飛び抜けたものがないという人もいる。私は〈三拍子〉のバランスがとてもよい
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部

すずき そら 投手
鈴木 天翔
185cm 80kg/左投左打
富士大学(神奈川・向上高)
球速帯 139〜147キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 横スライダー /チェンジアップ
コントロール率 67%
速球勝負できる大型変則サウスポー...昨季はそんな表現をしていた。〈前例〉の少ない興味深いタイプ。140キロ前半のスピードがあって、左打者にはストライクのスライダーにも腰が退ける。スリークォーターの角度から、左打者の足元に沈ませるチェンジアップ。間違いなく〈1位〉と踏んでいたら、この春、ヒジを痛めていったん戦列から離れた。それがよかった。今秋は「復活」の兆しが見える。エンジン全開の時期に比べれば、よくて〈6割〉か。それでも、実戦で140キロ後半が時折り。回復途上だ。
有力左腕が枯渇状態の今年のドラフトだ。おそらく2位か3位で指名されてプロへ進むのだろうが、本当は「もうひと勉強」のいい機会なのでは。ノーステップから二塁走者を刺す絶妙なけん制に加えてクイックも教わり、2年後に〈1位〉で。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部

なかやま しょうた 一塁手
中山 翔太
186cm 90kg/右投右打
法政大学(履正社高)
50mタイム 6.5秒
スローイング 走塁力
守備力 勝負度胸
パワー 実践力
タイミングが合った時の雄大な放物線は、学生球界トップクラスの長距離砲であることは間違いない。右打ちの大砲は稀少価値だが、〈本物〉の大砲になるにはまだ宿題も多い。まず、確かな〈トップ〉を作りたい。トップがとれれば、変化球を追いかけることも減り、自分のゾーンで投球を待ち構えられるはず。振り遅れの空振りを怖れるな!むしろ、ノメった打ち損じを恥じよう。そんなに器用なタイプじゃない。時間をかけて少しずつ覚えていくタイプだろう。時間かけて覚えたことは一生忘れないものだ。
渾身のスイングにヘルメットが飛んで、たとえ凡打でも丸坊主の頭で一塁へ全力疾走。三振に、エラーに、悔しさ、無念さを全身で表現できる開けっぴろげの人柄。時間をかけて根気強く、ファンに長く愛される新井貴浩(広島)みたいな人気者に。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部

やまがみ だいすけ 投手
山上 大輔
182cm 88kg/右投左打
立命館大学(立命館宇治高)
球速帯 140〜147キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 スライダー/カットボー ル/カーブ/スプリット
コントロール率 69%
3年時は春4勝1敗、秋4勝0敗、平均防御率1.30。今春は防御率は2点台も5勝をあげてリーグVに貢献。長い期間、コンスタントな成績をあげてきた事実は、それ自体「実力」だ。すべての球種でストライクがとれ、四球を出さない。変化球でカウントを作って速球を速く見せて打者を差し込む術を持つ。〈派手〉な要素はなくても「勝てる要素」はいくつも。大きなブレのないコントロールと打者のタイミングを外そうとする意識も旺盛で、球威だけに頼らない〈投手〉としての仕事が出来る。
低め速球の質のよさなら日体大・松本航と双璧。加えて、隠し持っている心の〈キバ〉。見た目よりずっと向かっていく気力と覇気を持つ。例えば、大谷智久(千葉ロッテ)...こういう投手が「いつの間にか」投手陣の一角を担っていたりする。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部


わたなべ かずや 捕手
渡辺 和哉(25)
176cm 85kg/右投右打
JR東日本(専修大)
50mタイム 6.5秒
スローイング 走塁力
守備力 勝負度胸
パワー 実践力
大学入学前に右肩関節唇修復手術を受けて、大学時はほとんど〈DH〉で出場。社会人2年目から捕手に戻り、5年間のマス クブランクがあったのに、今季は実にキビキビと何よりイキイキと、「レギュラーマスク」を務めた。もともと高校時から〈鉄砲肩〉の部類。それを振り回すことなく、きちんと丁寧にベース上に〈乗せる〉スローイングができる。大学時から、強靭なリストとヘッドスピードは一級品だ。今は試合の中で、気負いやズレを修正しながら、4打席、5打席の中で〈仕事〉ができる打者に。
ブランクは長かったが、捕手の〈匂い〉が抜けていない。ある意味、〈天性〉の捕手だ。高卒2、3年目の若い投手と組み、決して難しいことを要求しない配球でノビノビ投球させる。たとえば下位を打って本塁打が打てる〈怖さ〉は魅力だ。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部

ばんどう ゆうご 投手
板東 湧梧(23)
180cm 75kg/右投右打
JR東日本(徳島・鳴門高)
球速帯 138〜147キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 カーブ/カットボール チェンジアップ/フォーク
コントロール率 66%
正直、今年あたりそろそろ...ぐらいに考えていた。同じように高校からの入社組の後輩たち、山口裕次郎(大阪桐蔭)、太田龍(れいめい)、西田光汰(大体大浪商)...次々に実戦で台頭してくる中で、はっきりしない投球がこの夏の都市対抗予選まで続いたからだ。それが本戦で一変したのはセガサミー・森脇亮介と同じパターン。およそ5イニングのロングリリーフ。真タテのカーブは空振りが奪えて稀少価値。145キロで内角を突ける技術とチェンジアップの揺れ。3種の緩急と制球力が光る。
何か心に思いを秘めたような投げっぷりだった。予選までは、こんなに決然とした腕の振りじゃなかった。きちんとボールをグラブに隠したフォームの始動が、以降の全身連動をスムースに。高校時からの端正なマスクが〈闘う男〉のそれに変貌。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部

もりわき りょうすけ 投手
森脇 亮介(26)
173cm 67kg/右投右打
セガサミー(日本大)
球速帯 138〜148キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 フォーク / カーブ
コントロール率 65%
バックスピンの効いた快速球に、落差の大きなフォーク。せっかく一級品の持ち球がありながら、昨季まで、いや今夏都市対 抗予選までは、今一つ吹っきれなかったのが、都市対抗の本戦になってドーンと開花。完投しても、終盤まで140キロ後半をキープしながら、速球と同様の強烈な腕の振りからフォークを〈ストライクゾーン〉にきめて2勝をあげ、社会人4年目での急台頭をアピールした。ほぼ、真っすぐとフォークの2球種に絞った潔い投げっぷり。遅れてやって来た〈熱い季節〉をグイッとつかめ。
100球超えたあたりで、一度球道が上ずる。都市対抗でもそのタイミングで下位打者に放り込まれており、猛烈な腕の振りの遠心力に、握力、腕力が負けてしまう場面もあった。1イニング限定の中継ぎが効果的。〈必殺兵器〉は何よりの強みだ。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部

きた りょうた 捕手
喜多 亮太(23)
176cm 73kg/右投右打
セガサミー(敦賀気比高)
50mタイム 6.2秒
スローイング 走塁力
守備力 勝負度胸
パワー 実践力
2人いた年長の捕手が引退とコンバートで、登録の捕手が2人だけに。しかも、2年目捕手・木村天響(宮崎・富島高)の進境が著しい。〈勝負所〉の1年間を緊張感の中でレギュラーマスクをかぶったはず。ハッとするような左投手のショートバウンドを、機敏なフットワークで吸収捕球して、そのまま二塁送球。これまでは見られなかった球際の〈執念〉。進境がそのままプレーに現われている。強肩と柔軟なスローイングは高校時から。徹底して〈勝負球〉で押せるこだわりも自信の現われだ。
プロの140キロ台を強烈に弾き返せるまでの〈瞬発力〉にはなっていないが、ファーストストライクを迷いなく振り抜いていく意欲が芽生えたのは大きな進歩だ。柔軟性と強さは両立しにくい。持ち味の〈しなやかさ〉を武器にプロへ。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部

つじの たけひろ 捕手
辻野 雄大(24)
179cm 80kg/右投左打
ホンダ(白鷗大)
50mタイム 6.0秒
スローイング 走塁力
守備力 勝負度胸
パワー 実践力
1年目の昨季は岡山大会、今季は東京スポニチ大会に四国大会。公式戦で優勝体験を重ねながら、オフには海外試合で貴重な 実戦経験を積んで、見るたびに〈いい匂い〉のする捕手に進化中。多士済々の投手たちとバッテリーを組み、負けられない試合をリードしてきた経験値は、むしろプロのファーム2年間より高い。指をひっかけて外に抜けたスライダーを横っ飛びで捕球し盗塁を刺せる敏捷な守備ワーク。逆に盗塁をできる足を持つ捕手は稀少価値。左中間を三塁打にできる快足の持ち主だ。
今季〈2番〉を打ったのは、攻めのバリエーションを期待されて。小技、進塁打、エンドラン...多様に機能。タイプとしては、巨人・小林誠司に近いだろうか。捕手がいないドラフト。意外に上位で名前を呼ばれる可能性も。実力派の隠し玉だ。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部

きなみ せいや 遊撃手
木浪 聖也(24)
178cm 78kg/右投左打
ホンダ(亜細亜大)
50mタイム 5.9秒
スローイング 走塁力
守備力 勝負度胸
パワー 実践力
「亜細亜」という薬は〈社会人〉になってから効いてくるのか...。卒業した後のステージでぐんと頭角を現わす亜細亜大OBは多い。大学当時はミートの上手い打者だったのが、社会人2年でインパクトの打球音が別人のよう。動きの大き過ぎないタイミングのとり方で、快適に投球を捉え、気分良さそうにスイングしている。踏み込んで一瞬待って変化球を捉える技術。打の一連の動きに、下半身の粘っこい連動がすごく効果的に機能して、同様のメカニズムでフィールディングもそつなくこなす。伸びた!
打球を拾って、即投げられる。当たり前のことができる内野手が、実は今なかなかいない。スーパープレーはしなくても、身のこなしにクセがなく、守備範囲の打球はそつなくアウトにする。プロの〈投手受け〉するタイプの遊撃手とみる。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部

たきなか りょうた 投手
瀧中 瞭太(24)
180cm 88kg/右投右打
ホンダ鈴鹿(龍谷大)
球速帯 141〜152キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 カットボール/カーブ フォーク
コントロール率 63%
腕の振りの運動量はすごかったが、いかにも上体のパワーに頼ったフォーム。大学1年時に右ヒジの手術。再発しないか心配 になるほど強引なフォームだったのが、今季はきっちり〈半身(はんみ)〉の体勢で踏み込み、体重移動が効いた下半身主導のフォームに変わっていた。球持ちがよくなって、コンスタントに145キロ前後の速球で空振りが奪えるようになり、今夏都市対抗では、リリーフの打者8人から〈3連続〉を含む6三振を奪って無失点に。カットボールの鋭い変化が併せワザとして効果的に。
持久力より瞬発力。短時間の中で発揮できる馬力を感じる。110キロ前後のカーブもあるし、フォークでのめらせることも。速球にこだわり過ぎなければ、短いイニングの中継ぎで働ける。ファーストストライクがとれるようになったのが収穫だ。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部

すぎやま かずき 投手
杉山 一樹(21)
192cm 91kg/右投右打
三菱重工広島(駿河総合高)
球速帯 142〜153キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 スライダー/カーブ スプリット
コントロール率 53%
無名の高校生が社会人に進み、理想的な〈ストーリー〉で3年目を迎えた。体作りと社会人球界になじむための最初の2年間。 その間に、体重移動を利用した投球フォームを身につけつつある。まさか「補強」で出てくるとは思わなかった今夏の都市対抗では、リリーフでデビュー。153キロにまで達した剛速球ほぼ一本のピッチング。あれだけの巨体で前に乗って投げてこられると、打者にとってはそれだけで威圧感になる。ドームのあの緊張感と喧騒の中で、平然と投げられたのが何よりの収穫だ。
急ぐことはない。ストライクにはなるが、構えたミットにきめられる制球力はまだだし、長いイニング投げられる心身のスタミナだって、まだ未知数。さらに実戦経験を積んでけん制、クイック...出来ることを増やし、プロへは胸を張って。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部

ぬくみず かい 投手
温水 賀一(24)
179cm 75kg/右投右打
大阪ガス(九州産業大)
球速帯 136〜146キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 スライダー/カットボール/カー ブ/フォーク/チェンジアップ
コントロール率 73%
大学3年で肩を痛めて、4年時に〈投〉を封印。それがよかった。1年目の昨季はリリーフ役としてトーナメントの厳しさを 体感しながら、冬にフォームを改善。体重移動を覚えて球持ちがよくなり、制球力が劇的にアップ。初回から両サイド高低を攻められ、特に低め集中の能力が高く、走者を背負っても持ち球に自信を持って悠然と投げ進む。優勝した今夏都市対抗では、半身で踏み込んできた時の「コントロール率」はほぼ100%。多彩な持ち球すべてでカウントがとれ、クイックの速さも一級品だ。
右打者の外のカットボール、左打者の足元へのチェンジアップ。プロでも使える変化球はいくつもあるが、肝心の速球の〈強さ〉を養って万全の態勢でプロへ進もう。25、6歳でプロなら即戦力でハマらないと。あと1年、さらにパワーアップを。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部

ちかもと こうじ 外野手
近本 光司(24)
170cm 70kg/左投左打
大阪ガス(関西学院大)
50mタイム 5.8秒
スローイング 走塁力
守備力 勝負度胸
パワー 実践力
大学3年で肩、ヒジの故障で投手から外野手に。そこを起点に野球人生が変わる。社会人1年目からレギュラーに定着、2年目の今季は都市対抗で橋戸賞と首位打者を獲得する大活躍で、一気にドラフト候補に台頭した。強肩ではなくても抜群の精度を持つスローイング能力、小柄でも東京ドームの天井に届かんばかりの瞬発力と都市対抗逆転弾の勝負度胸。スタートの技術にオリジナリティを発揮する盗塁技術。リードオフマンタイプの外野手としての能力を満載して、ドラフト指名を待つ。
「社員として手放したくない」とチーム関係者が惜しむほどの人間性。チームリーダーになれる人材だろう。近くで見ると小柄でも、野球自体はパワフル。〈伝説〉の選手になりつつあるが、日本ハムの1番打者で鳴らした島田誠選手が重なる。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部

ながた まさてる 外野手
長田 雅輝(24)
181cm 86kg/右投右打
ジェープロジェクト(北海道東海大)
50mタイム 6.4秒
スローイング 走塁力
守備力 勝負度胸
パワー 実践力
前にも後にも一度しか見たことのない選手。その代わり、ビビッときた。今春の日立大会、初回いきなり6点を先取された直 後、先頭打者としてレフト94mのスタンド中段にライナーでたたき込んだ。渾身のフルスイング。決して感情的なやけくそスイングじゃなかった。むしろ、負けじ魂が凝縮したような「なにくそスイング」。唸ったのは、次の打席だ。フォークの落ち際をとっさに拾って「ワザあり!」の鮮やかセンター前に。いずれも最初のひと振り。「代打男」の資質を見た。
なんてことないレフトライナーを落球する程度の心もとない守備力だ。あくまでも〈バットマン〉として、この名鑑に挙げる。75点平均の〈三拍子ぞろい〉より、実戦ではよほど使える選手だったりするのが、野球の興味深いところだ。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部

しいな じゅん 外野手
椎名 潤(24)
182cm 87kg/右投右打
新日鉄住金広畑(富士大)
50mタイム 6.0秒
スローイング 走塁力
守備力 勝負度胸
パワー 実践力
富士大当時、多和田(現・西武)を見に行った試合のシートノックで、外野からの見事な返球に見入っていた。真上から意識的にスピンをかける腕の振りで、エイッ!の力みがなく、逆にリリースでバチンと切るようなスローで球道が安定。〈プロ仕様〉のスローイングが、さらに精度アップ。驚いたのは、スイングに決然とした思いきりが生まれたこと。滞空時間の長い放物線で、130m級の飛距離。しかも1試合であわや2弾。四球の続いたあとの失投を、1球で仕留める勝負度胸も根づいた。
強肩はプロ入りした瞬間に、12球団トップクラスの仲間入りだろう。足もあるし、打も急上昇。「25人」の中にスッとハマれる球団なら、1年目から結構いい働きができると見る。行き先次第。25歳でファームではモチベーション維持が...。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部

ささがわ こうへい 外野手
笹川 晃平(24)
184cm 83kg/右投右打
東京ガス(東洋大)
50mタイム 6.0秒
スローイング 走塁力
守備力 勝負度胸
パワー 実践力
〈社会人の水〉に慣れる前から、なじむ前から、最初から「不動の4番」で強豪の4番だから当然厳重警戒されて、誘い球中心 の投球に苦労しながら、こちらから見ると、いつも「欲求不満」のバッティングだったように見える。今年だって、春先のスポニチ大会など相手が小手調べだ!と勝負してくる試合では、見事な長打力を発揮。これが夏に近づき、都市対抗予選から本戦になると、全球誘い球、全球変化球...のような攻められ方の中で、やはりかなり苦しんだ。身体能力なら高校時代からお墨付きだ。
「社会人の4番」より、むしろ「プロのクリーンアップ以外」のほうが実力発揮の場になるのでは...。そんな妄想をしている。勝負してさえもらえれば...本人、そんな無念さがあったのでは。「1番センター・笹川」なんて、すごく見てみたい。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部

なばため つばさ 投手
生田目 翼(24)
176cm 84kg/右投右打
日本通運(流通経済大)
球速帯 142〜155キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 カーブ/スライダー カットボール
コントロール率 58%
155キロまで届いた剛速球ほぼ一本で「全国準V」に輝いた大学時。その代わり大事な肩を痛め、社会人1年目は〈養生〉 優先で過ごす。今季の変わり身がすごい。本戦以上の〈修羅場〉といわれる二次予選で完封と8回無失点の快投。東京ドームでの先発では、気負ってボールが中に入ったが、予選で見せてくれた緩急と低めへの意識は、学生当時には見られなかった変身ぶり。それでも、〈剛〉の部分では150キロ近くマークして、スケールダウンにならずに新味をアピールしてみせた。
この剛腕が110キロ前後のカーブに力を借りるとは思わなかった。そこがいい。打者を差し込むことばかり考えていた学生時代。前でのめらせる面白さに気づき、見えている野球の視野が倍にも広がったはず。これで〈沈む系〉を1つ覚えたら...。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部

たかはし ふみのり 投手
高橋 史典(25)
182cm 82kg/右投右打
SUBARU(立正大)
球速帯 142〜149キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 カットボール/スライダー チェンジアップ/スプリット
コントロール率 70%
2年目の昨季から主戦格で都市対抗はじめ大きな大会でも奮投。プロ数球団から調査書も届いていたが指名漏れに。そこからぐっと粘り腰を見せてくれるのか、それともガクッと折れてしまうのか...〈前者〉だった。都市対抗予選の10イニングでわずか1四球(1失点)の安定感の中で11奪三振。さらに〈本戦〉で輝いた。同点の9回からの延長戦4イニング1/3のロングリリーフで7奪三振無四球の渾身の投球を展開。「オレを忘れるな!」。叫びが聞こえるような〈牙〉をむいた熱投だった。

リリーフの初球から140後半を続けられるパワーと、その快速球で両サイドを投げ分けられる技術に一級品のスプリット。ここまでは昨季と変わっていない。加わったのは「闘える心」。決して燃え過ぎず、それでいて腹をくくった投球ができる。

とみやま りょうが 投手
富山 凌雅(21)
178cm 82kg/左投左打
トヨタ自動車(九州国際大付高)
球速帯 137〜141キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 スライダー/チェンジアップ/カーブ
コントロール率 66%
甲子園のマウンド経験こそあっても、絶対的エースでもなかった高校生投手が、「トヨタ」のような強豪に入り、2年目の秋に東京ガス相手に試合後半までノーヒットピッチングというのは、才能以外の何物でもない。相手のすごさがわかっていないのかもしれないが、物怖じせずに堂々と勝負を挑んでいく姿勢は頼もしい。初球がストライクになるし、スライダー、チェンジアップでタイミングを外してファウルを打たせてカウントを作る技術も。何よりの武器は、初速・終速差の小さな速球だ。
クロスファイアーで足元を突かれれば見送りの三振すら奪える圧倒的球威だ。ガンの数字は137、8キロなのに、おそらく145キロ前後の体感速度のはず。元中日・山本昌投手の球筋がそのまま重なる。腕の振りが〈若武者〉だ。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部

ほり まこと 投手
堀 誠(24)
186cm 84kg/右投右打
NTT東日本(立正大)
球速帯 136〜144キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 スライダー/カーブ/チェンジアッ プ/カットボール/ツーシーム
コントロール率 77%
黒木優太(オリックス)と同期の立正大で、この大型右腕の潜在能力が最も魅力的だった。これだけのサイズで、フォームのボディーバランス抜群。長身から投げ下ろすのに、速いボールを投げようとし過ぎない、強く投げようとし過ぎない。自然な連動が生み出す体重移動を利用し、気負わず丹念にコーナーを突く。雄大なスケールも感じるし、腕のしなりが球持ちのよさを生んでリリースが見にくいから〈体感速度〉が速い。多彩な変化球も駆使し、社会人1年目には都市対抗で若獅子賞を獲得した。
リリースの瞬間に、溜めたパワーを全てボールに乗せる技術がある。立て続けに空振りの三振を奪うこともあるが、本質は走者を出してもなかなか失点しないタイプ。変化球の種類も多いだけじゃなくストライクがとれる。貴重な先発型右腕だ。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部

たかはし たくみ 投手
高橋 拓巳(24)
176cm 75kg/左投左打
日本生命(桐蔭横浜大)
球速帯 138〜148キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 スライダー/チェンジアップ/カッ トボール/ツーシーム/スプリット
コントロール率 68%
ピッチングの巧さと制球力は大学時からキラッとしていた。とにかく、打者にひと息つかせるようなボールを投げない。外すボールもゾーンをよぎるようなドキッとさせる技術。スライダー、チェンジアップで追い込んで、一転、速球、速球で差し込んでみせる。その逆も可能だ。今季は〈テクニック〉に速球のスピードが加わった。ニュートラルな腕の振りなのに145キロ前後。持ち味の緩急にさらに厳しさが加わって、一段と手の焼けるサウスポーに。特に左打者にとっての球筋の見にくさも高ポイントだ。
ここに来てチラッと聞こえてきた肩の痛み。スピードが上がって、これまでにない無意識の負担が体にかかっているはずだ。ケアすべきはケアをしっかり。どっちにしても、プロ入りすれば〈即現場〉の期待大。ドンと来い!の体を今のうちに。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部

さいとう ゆきや 投手
齋藤友貴哉(24)
184cm 91kg/右投左打
ホンダ(桐蔭横浜大)
球速帯 143〜150キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 スライダー/カーブ チェンジアップ
コントロール率 55%
やはり今年のドラフト上位候補に推される高橋拓巳(日本生命)と控えだった大学時、ブルペンでの速球のヌッターッと来る粘っこい勢いに目を奪われた。腕の振りの〈円弧〉の大きさが違う。その膨大な〈遠心力〉が、剛速球のものすごいエネルギーを生む。その遠心力に腕力が負けてないうちは、指にかかった140キロ後半の破壊力がバットを粉砕。真横にふっ飛ぶ体感のスライダーとチェンジアップが〈箸休め〉に。球威で勝負!もいいが、ストライク、ボールがはっきりでは試合のテンポに害になる。
緊迫の場面で〈入ってしまう〉ことがある。集中とは違う。捕手のミットしか見えなくなるような瞬間。一生懸命過ぎて高校生のような幼さが顔を出す。あくまでも〈9人〉の中の1人という感覚を忘れずに。「猛球」は社会人No.1なのだから。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部

かつの あきよし 投手
勝野 昌慶(21)
183cm 83kg/右投右打
三菱重工名古屋(土岐商高)
球速帯 142〜151キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 スライダー/カーブ/カット ボール/ツーシーム/フォーク
コントロール率 59%
無名の高校生投手が社会人強豪に進み、1年目の都市対抗から〈先発〉でマウンドへ上がったから驚いた。期待の〈大器〉だ。楽しみにしていたら、昨季は5月の公式戦でヒジを痛めてしまった。そして〈勝負〉の今季、フォームを変えてきた。左足をポンとついたら、そこで猛烈に右腕を振り下ろす。そんな〈強引さ〉が体重移動と入れ替わった。本人、「パワーピッチャー」と自身を位置づけ、あくまでその線を目ざすと意気込む。勝手に動く145キロ前後のクセ球が放射線状に内外角を突く。
投げている時の横顔、マウンド上でのムードとシルエット...巨人・菅野智之投手にすごく似ている。21歳とは思えないふてぶてしいマウンドさばき。変化球に〈必殺兵器〉を1つ、できればタテの変化を覚えたら、「後ろの3人」に適役では。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部

おかの ゆういちろう 投手
岡野祐一郎(24)
180cm 84kg/右投右打
東芝(青山学院大)
球速帯 137〜145キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 スライダー/カーブ チェンジアップ/フォーク
コントロール率 72%
スライダー、フォークの使い分けと制球の達者な試合を作れる投手だった聖光学院当時から、大学2年でスピードが140キロ 後半に急上昇。体のシルエットも別人のように逞しくなって、東芝入社即エース格として奮投。カーブ、チェンジアップを球種に加え、投球の軸にしている「外角低目」にも強さが加わった。タイミングを外そうとする意識、低く集めようとする意識...投手としての天性を強く感じる。守備ワークの一瞬の判断力や、セットで長く持って走者をつり出して刺せる技術も一級品だ。
ジャストミートされた後、打者を追い込んでから、ボールがどんどん低くなる。痛打で走者を出しても、スライダーと速球...2球で追い込める立ち直りの頼もしさ。「剛球150キロ!」、そういうタイプじゃないから地味だが、間違いなく実力者だ。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部

やまのべ かける 二塁手
山野辺 翔(24)
170cm 72kg/右投右打
三菱自動車岡崎(桜美林大)
50mタイム 6.0秒秒
スローイング 走塁力
守備力 勝負度胸
パワー 実践力
桐蔭学園ではなかば控え。地道な努力を懸命に積み重ねてここまで成長。大学で二塁を守っていた頃から、地味でも「いい野 球」をする選手だった。すごいと感動するのは実戦での「とっさ力」。遊撃手が弾いたボールを拾って、前の走者を三塁で刺す。際どい打球に捕球点まで顔がついていく球際の強さ。追い込まれても難しいスライダーに食らいついてライト前に運び、同様の場面で、相手投手の勝負球147キロを外野フェンスまで。初球から完璧なスタートがきれ盗塁できる実戦力も大きな魅力。
小柄だから非力感があったが、失礼しました、今季は公式戦で10弾近い〈力感〉と勝負強さを発揮。都市対抗でも「トヨタの補強選手」という違和感や過剰な緊張感まったく感じさせず、のびのび堂々のプレーぶり。すっかり〈第一人者〉に。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部

つげ せな 捕手
柘植 世那(21)
175cm 77kg/右投右打
ホンダ鈴鹿(健大高崎高)
50mタイム 6.5秒
スローイング 走塁力
守備力 勝負度胸
パワー 実践力
〈先代〉の飯田大裕捕手がプロに進み、2年目で強豪社会人のレギュラーマスクにすっぽりハマった。とてもじゃないが、高校から2年目の新米捕手(失礼!)とは思えない貫禄と風格。都市対抗だって、シートノックの最初から「10年表彰」のような落ち着きが、逆にちょっとイヤだった。ムダに急がない、動かない...今夏都市対抗、ドラフト候補・平尾奎太と組み、〈内容〉が変化球ばっかり...と不評が飛び交う中で、こうも球持ちが浅いと真っすぐをゾーンで使うのは怖いよな...十分に納得だった。
これだけのキャリアとセンスを兼備した捕手を、ファームや控えでは勿体ない。即レギュラーを狙うためにあと1年かけてインサイドアウトのスイング軌道を身につけ、「怖い打者」になってからのプロ入りを。捕手の人材枯渇状態だけに有効活用を。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部

うすい いさむ 投手
臼井 浩(24)
168cm 74kg/右投左打
東京ガス(中央学院大)
球速帯 138〜148キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 タテのスライダー/横スラ イダー/フォーク/カーブ
コントロール率 68%
1年目からエース格として平然と投げたマウンド度胸。ピンチの場面や強打者相手の〈本気モード〉のボールのすごみが抜群 だ。速球以上の猛烈な腕の振りからのスライダー、フォークに、今季は落差の大きなカーブを加えて〈緩急〉のメリハリが一段と効くようになった。今夏都市対抗、トヨタ自動車を向こうに回して2点に抑えて完投、9三振を奪いながら1四球に。チームを背負って投げられるヤツ。この打者なら、こう攻めて、こう打ちとって...読めている落ち着きは〈2年目〉とは思えない。
170cm前後の右腕でプロで成功している投手の〈共通項〉は、生きた速球と意外な角度、そして大きなものを倒そうとする無類の闘争心だ。すべて揃っているうえに、両サイドを出し入れできる技術を持っているのは、貴重な〈ポイント〉に。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部

ほった あきら 投手
堀田 晃(24)
180cm 83kg/右投右打
西濃運輸(大阪学院大)
球速帯 142〜148キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 スライダー/チェンジアップ
コントロール率 66%
昨季、1年目のシーズンを通した活躍もさることながら、今季にかけて長い期間コンスタントに実力発揮した事実。さらに、今夏都市対抗予選で強敵ぞろいの「東海」で先発の24イニングを自責点1に抑えた事実。本戦では、気負って力んでフワフワ投げていたが、普通なら〈炎上〉のある状況で、先発の4イニングをなんとか2点にしのいで後につないだ。果敢に向かっていく覇気のすばらしさ。145キロ前後の速球にとタテのスライダーとチェンジアップ。3種類だが、その〈3種〉が生きている。
チームでは先発で投げてきたが、この投手をたとえば1イニング限定で投げさせた時の〈爆発力〉を活用したい。長いイニングのペース配分より、「目の前の3人、やっつけてこい!」...そんなミッションの方が燃えられるタイプと見ている。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部

ひらお けいた 投手
平尾 奎太(24)
188cm 85kg/左投左打
ホンダ鈴鹿(同志社大)
球速帯 138〜143キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 タテのスライダー/横スライ ダー/チェンジアップ/カーブ
コントロール率 53%
実は、今季の社会人投手で、最も期待していた投手が吉川峻平(元パナソニック)とこの左腕。これだけのサイズを持つサウ スポーで変化球の制球力が高く、低めに丹念に投げられる投手は珍しく、特に右打者の外角チェンジアップ、左打者へのクロスファイアーとスライダーと角度と制球は〈即戦力!〉の根拠だった。それが、今季はどこかバランスを崩している。タメの効いた踏み込みをしていたのが、あっさり〈胸〉を見せて投げているので、球持ちが浅く変化球が早く曲がっている。試練の2年目に。
ほんとのところ、社会人から野球人生が始まった投手だろう。そういう意味では、「実力」が安定するまでに、さらに時間と勉強が必要なのかもしれない。困った時に速球で勝負できるような〈体感速度〉を身につけたい。打ちにくい左腕に。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部

さかもと こうしろう 投手
坂本光士郎(24)
181cm 74kg/左投左打
新日鉄住金広畑(日本文理大)
球速帯 141〜148キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 スライダー/チェンジ アップ/ツーシーム
コントロール率 54%
昨春入社直後から夏前までは、「今ドラフトがあったら間違いなく上位」と〈みんな〉が口を揃えて推したほどの球威とピッ チングの勢いだったが、補強で出場した都市対抗のリリーフで打ち込まれて、今春まで長く混迷が続いた。ようやくこの秋口から、本来の速球の〈強さ〉を取り戻し、オープン戦でも登板のたびにスカウトたちが集結。立ち上がりの力みと制球のパラつきは相変わらずだが、バランスがきまった時の145キロ前後のクロスファイアー。これを投げられる左腕はそうはいない。
確かに今年のドラフトは「左腕枯渇」の状況だし持ち球の優秀さも一級品だが、まだ〈未知数〉が多すぎる。プロでは中継ぎかもしれないが、それでも社会人で試合終盤まで飛ばせるぐらいの体力は必要だ。あと1年、辛抱と勝負のあと1年を。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部



わたなべ ゆうたろう 投手
渡辺勇太朗
190cm 87kg/右投右打
浦和学院高(埼玉県)
球速帯 140~149Km けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 スライダー/カーブ/スプリット/ツーシーム
コントロール率 67%
エンゼルス・大谷翔平(元日本ハム)をお手本にしてきたという。実に上手にマネ できていると思う。〈いい人〉をお手本にした。これだけのサイズで、〈本家〉瓜二 つのボディーバランスと前に乗っていける体重移動。それだけでもすばらしい。特に、テークバックと腕の振り が両肩の線の内側でなされるメカニズム。これなら体力アップに球威・球速が比例して上がっていけるから、伸 びしろも大きい。ピンチにも、速球とタテのスライダー、ツーシームで自信を持って挑む覇気が頼もしい。
たとえば、今年の〈ドラ1候補〉にな っている大学生投手の4年前と比べると、 この投手の〈今〉のほうが間違いなくずっと上。なので あれば…という選択でも、ぜんぜんおかしくない。奮投 したのがこの春と夏だけ。微かな〈不安〉もあるが。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部


よしだ こうせい 投手
吉田 輝星
176cm 81kg/右投右打
金足農業高(秋田県)
球速帯 138~152Km けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 スライダー/カットボール/カーブ/スプリット/チェンジアップ
コントロール率 62%
筋がいい。今春の県大会で初めて見た投手なので、その前2年のことはわからない が、投手としての〈行儀〉をどこかできちんと教わっている。バント処理からのスナ ップスローの鮮やかさ。左膝を上げた時につま先が下がり、リラックスした姿勢がとれ、背中に入らないテーク バックだからきれいな前振りのタテ軌道が描けている。 現状140キロ前半でも、ボディーバランス抜群のフォームだ。体力アップとグラブサイドの使い方を覚えたら、 そんなに苦労せずに150キロのラインをクリアできる。
こじんまりまとまり過ぎている…そう いう声も聞こえる。そうは思わない。きちんとしているだけだ。コントロール、守備、けん制、 クイック…実戦力が高いから、早い時期にファームで実 戦経験を積みながら体力アップを図れる。ならば、プロだ。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部


ふるや たくろう 投手
古谷 拓郎
183cm 77kg/右投右打
習志野高(千葉)
球速帯 137〜145キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 スライダー/カットボール/ チェンジアップ/スプリット
コントロール率 64%
筋がいい。今春の県大会で初めて見た投手なので、その前2年のことはわからないが、投手としての〈行儀〉をどこかできちんと教わっている。バント処理からのスナップスローの鮮やかさ。左膝を上げた時につま先が下がり、リラックスした姿勢がとれ、背中に入らないテークバックだからきれいな前振りのタテ軌道が描けている。現状140キロ前半でも、ボディーバランス抜群のフォームだ。体力アップとグラブサイドの使い方を覚えたら、そんなに苦労せずに150キロのラインをクリアできる。
こじんまりまとまり過ぎている...そういう声も聞こえる。そうは思わない。きちんとしているだけだ。コントロール、守備、けん制、クイック...実戦力が高いから、早い時期にファームで実戦経験を積みながら体力アップを図れる。ならば、プロだ。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部


ぎぼ しょう 遊撃手
宜保 翔
171cm 70kg/右投左打
KBC学園(沖縄)
50mタイム 5.8秒
スローイング 走塁力
守備力 勝負度胸
パワー 実践力
見るからに〈沖縄〉の少年だ。おそらく野山を駆け巡り、海で泳いで自然の中で培われた柔軟で敏捷な運動神経。遠投116m、立ち三段跳び8m87、塁間走3秒6...きゃしゃに映るユニフォーム姿でも、投げれば〈144キロ〉までマークする抜けた瞬発力。非力なわけがない。本能任せでプレーしているようで、タイミングの始動が早く、全身でリズムをとりながら包むようにボールを呼び込めるあたり〈ワザ〉もある。インパクトゾーンの長いアベレージヒッター。教わったことの吸収力は高い。
エース4番でやってきた選手だが、先を考えたら〈二塁手〉で時間をかけて仕込んだら、面白い存在になりそう。タイプ的には〈まずアマ〉だが、二塁手を育てられる指導者が在野には少ない。カルチャーショックは大きいぞ。覚悟してプロへ。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部


たなか のりひこ 投手
田中 法彦
172cm 81kg/右投右打
菰野高(三重)
球速帯 142〜152キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 種 スライダー/カーブ/スプリット
コントロール率 51%
2年秋の県大会で〈150キロ〉をマークして注目され、その後も登板のたびに140キロ後半を続けて、東海地区No.1の剛腕と評価する。上背はなくても体はエネルギーの塊。どっしり踏み込んで、リリースの一瞬に溜めた力を爆発させるメカニズムだから、見るからに「剛腕」。150キロなど普通に投げられる。力めばいくらでもスピードを出せる感覚があるのだろう。速いボールを投げようとし過ぎて、棒球を痛打。損な場面もしばしば。通算29弾のバッティングを見ても、楽しみな馬力の持ち主だ。
インパクトで押し込んで打者を圧倒したいタイプだが、フィールディングやスイングを見ると野球が上手い。春は体が正面を向いてボールが上ずっていたが、夏は〈半身〉を取り戻し修正能力もある。一生懸命の「野球小僧感」も将来性だ。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部


のむら ゆうき 三塁手
野村 佑希
186cm 95kg/右投右打
花咲徳栄高(埼玉)
50mタイム 6.5秒
スローイング 走塁力
守備力 勝負度胸
パワー 実践力
清宮幸太郎が卒業して苦しんだのが早稲田実業・野村大樹ならば、西川愛也(現・西武)がいなくなって苦労したのが、この野村佑希かもしれない。西川の後を打っていた昨季は、自分の〈線〉でのびやかに打っていた。それが、西川が卒業して4番になった途端、〈4番〉を演じようとし始めた。そんなふうに見えた。引っぱって放物線を描こうとする「無意識の意識」。体が開いて外は引っかけるし、内には詰まる。プロに進んで無用の気負いがなくなれば、昨季の状態に戻れる。期待は大きい。
2年生の頃の打球は、高く舞い上がってなかなか落ちてこなかった。いつ落ちてくるのか...ようやく落ちてくるのが外野スタンド。そんなホンモノの「長距離砲」の弾道を描ける高校生など、そうはいない。今のプロ野球にいない「大型三塁手」に。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部


のむら だいじゅ 三塁手
野村 大樹
172cm 80kg/右投右打
早稲田実業高(東京)
50mタイム 6.4秒
スローイング 走塁力
守備力 勝負度胸
パワー 実践力
野村大樹あっての清宮幸太郎。「清宮あっての野村」だったと思う。今季の野村大樹は苦しんだ。清宮卒業後の「早実」をオレが背負って立たねば!の意識と気迫が、彼のスイング軌道をちょっと遠回りさせていたように見えた。本塁打を!の無意識の意識が引っぱり傾向のドアスイングに、タイムリーを!の意欲が投球を追いかける結果に。夏に敗れた最後の試合で、レフト場外とライナーの2弾。意地を見せて67弾でピリオドを打った。今年の右打ち高校生野手ではNo.1の打撃技術と見る。
あまり語られないが、この選手の三塁守備力は一級品だ。走者なしではきちんとライン際を締めながら、三遊間に意識を置けるポジショニングと、回転抜群の送球の精度の高さ。再び清宮幸太郎とのクリーンアップを...そんな妄想がよぎる。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部


いなばやし はやと 三塁手
稲林 隼人
177cm 77kg/右投左打
益田東高(島根)
50mタイム 6.4秒
スローイング 走塁力
守備力 勝負度胸
パワー 実践力
今夏甲子園でそのスイングスピードと「振れる力」に目を奪われた。志望届は出ていないが、ドラフト指名の実力ありとここに挙げた。実は県大会決勝を映像で見ていた。体に近いボール、決して〈失投〉ではないその1球をひと振りのフルスイングで捉え、バックスクリーンへの放物線にしてみせた。「できるヤツ!」の衝撃が体を貫いた。そして本番。全く同じスイング。全身の柔軟なしなりと背中を叩くほどの猛スイングで甲子園の右中間突破。重なったのは金本知憲(元阪神監督)選手だ。
バッターボックスで投手を見据える面構えがいい。バットを構えた姿に〈雰囲気〉のある選手はチャーミングだ。インパクトの瞬間まで顔がボールを追えるから、体が開かず存分に力を凝縮できる。守備ワークも堅実。4年後の成長を楽しみにしたい。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部


おばた りゅうへい 遊撃手
小幡 竜平
180cm 73kg/右投左打
延岡学園高(宮崎)
50mタイム 6.2秒
スローイング 走塁力
守備力 勝負度胸
パワー 実践力
フィールディングは〈本物〉。外野からの返球を投手に戻すちょっとしたスローでも、きちんと右手に高さを作って投げられる心がけ。初回の最初のプレーでカットプレーのロングスローを〈ストライク〉でビシッときめ、アウトにできる打球は前でも後ろでも強い。スーパープレーはなくても、任せて安心!プロ受けする遊撃手だ。〈低め〉にツボを持つバッティング。タイミングが合えば、その低めを右中間最深部にまで運べる意外な長打力。その細い体でどうして...ミステリアスな潜在能力を持つ。
女性的な線すら感じるスマートな体形。鍛えるほどに筋肉量が乗ってくるタイプではないのかも。今の体力、筋力ではプロでの勝負は大丈夫か。体が大きくなれるのか、なれないのか。大学で、様子を見ながら進路を模索するほうが得策では。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部


おおた りょう 遊撃手
太田 椋
181cm 73kg/右投右打
天理高(奈良)
50mタイム 6.0秒
スローイング 走塁力
守備力 勝負度胸
パワー 実践力
昨夏甲子園、2年生のこの選手のフィールディングを見て、「大会No.1遊撃手」と決めていた。球団の〈好み〉もあるだろうが、こういう選手が本物の「ショートストップ」だと思う。とんでもないスーパープレーはしなくても、投手が「打ち取った!」と思って振り向いた打球はそつなくさばき、二遊間、三遊間の球際に強い。報徳学園・小園遊撃手とは対照的なタイプ。決して派手な存在ではないが、いてくれなくては困る存在。宮本慎也(元ヤクルト)、田中広輔(広島)が重なって見える。
好打者でも、小園海斗のような〈怖さ〉を感じない打が心配だったが、この夏にかけてぐっと実戦力アップ。風もないのに右中間に放り込める怖さを見せて、チャンスに長打でタイムリーを打てる。3年目からレギュラーでもおかしくない。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部


こぞの かいと 遊撃手
小園 海斗
178cm 78kg/右投左打
報徳学園高(兵庫)
50mタイム 5.7秒
スローイング 走塁力
守備力 勝負度胸
パワー 実践力
〈外野手〉にしたら、プロ野球史に残るような選手になる!確かに、抜群のボディースピードを持って、誰にもできないようなスーパープレーも見せてくれるかもしれないが、反面、動きのスピードにハンドリングがついていかなかったり、制御しきれなかったり、いわゆる〈ポカ〉も多いのかも。「U18」でフッとそんな心配が湧いた。芝生の切れ目付近で深く守るのも、広いエリアを縦横に動き回りたい潜在欲求の表れではないか。最適性は〈センター〉だ。本人は怒るかもしれないが...。
「U18」の壮行試合で、ドラ1確実の日体大・松本航の膝元150キロ近い速球をライトにライナーでたたき込んだ一撃。〈30弾〉の資質を見た。快足・強打...「トリプル3」の夢が広がる。遊撃手として評価が高いが、実態は「バットマン」だ。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部


ねお あきら 遊撃手
根尾 昂
177cm 75kg/右投左打
大阪桐蔭高(大阪)
50mタイム 6.0秒
スローイング 走塁力
守備力 勝負度胸
パワー 実践力
入学時から大きな期待を背負って注目を浴び、それでもジワジワと成長を続けて、とうとう高校球界のトッププレーヤーに。「常勝・大阪桐蔭」の中核としてプレッシャーもものすごかったはずなのに、それをエネルギーに還元して自らの〈糧〉にしてきた。頭が下がる。すごいヤツだな...と実感したのが「U18」だ。直前までの甲子園で選手たちクタクタだった中で、根尾だけが甲子園と全く変わらないテンションで実戦に臨み、結果を出してみせた。その心身の強靭さはなんだ!〈傑物〉が現れた。
まず選手として大成してほしいが、その後、指導者、GM、球団社長...最後はプロ野球コミッショナー。日本の野球界のリーダーにまでなってほしいほどの〈器〉の大きさを感じている。そうした意味合いも含めて、10年に一度の逸材と見る。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部


なかがみ たくと 遊撃手
中神 拓都
174cm 82kg/右投右打
市立岐阜商業高(岐阜)
50mタイム 5.9秒
スローイング 走塁力
守備力 勝負度胸
パワー 実践力
投手としても全国上位の実力。低めの速球が這うように伸びて見える高校生は、今年でいえば、好調時の吉田輝星(金足農)ぐらい。軽く腕を振っているようで、重量感満点の捕球音もこの選手の非凡さを象徴している。そんなメカニズムを遊撃手としてのスローイングにも反映して、いい感じの〈脱力スロー〉でも一塁手のミットに糸を引く。投げる姿は打つ姿。軽く振り抜いているようで120m級の放物線を放ち、引っぱった猛烈ファウルの直後に、ライト線にライナーで運ぶ変わり身も。
プロでは「三塁手」かもしれないが、バッティングが突出しているだけに、1年目からファームで勝負になる。初球からスタートをきれる観察力と思い切り、横に逸れたパスボールで本塁突入できる敏捷性。機動力という〈意外性〉も兼備。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部


ますだ りく 遊撃手
増田 陸
178cm 80kg/右投右打
明秀日立高(茨城)
50mタイム 6.2秒
スローイング 走塁力
守備力 勝負度胸
パワー 実践力
自分の「パワーポイント」を持ったバッティングができる。最も力の入るポイントまでボールを呼び込み、そこで目一杯ボールをしばく。レベルに振って強烈なバックスピンをかけるから、ライナーも放物線もなかなか落下しない。それがこの選手の〈長打力〉だ。右方向への飛距離が出せるし、タイミングが合えば、内角速球にも鋭く体を回転させて引っ張りも効く。ここまでは遊撃手だったが、彼の〈本能〉は広い場所で走り回ることのほうに向いていると見る。外野手として打を存分に伸ばせ。
アマチュアで満足しているような雰囲気じゃない。プロ野球しか仕事場はない。そういう選手だ。通用するしないは本人次第だが、バットで勝負できる資質は十分。あとは、彼のガッツと野球小僧精神。矢野謙次(日本ハム引退)の後継ができた。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部


ゆあさ れいと 中堅手
湯浅 麗斗
187cm 88kg/右投右打
生光学園高(徳島)
50mタイム 5.8秒
スローイング 走塁力
守備力 勝負度胸
パワー 実践力
このサイズで、50mを5秒台で走れる右打ちのスラッガーなら、間違いなくどの球団も追う。徳島には、同じタイプで小田倭(富岡西高・187cm92kg・右投右打)という「走れて長打力もある大型スラッガー」がいて、共にこの夏予選では、持ち味のパワーを発揮した。グリップが思い切り前で出るフォローの大きな豪快スイング。均整抜群の体躯と、大きなストライドでぐいぐい距離を伸ばしていくベースランニング。塁間を駆け抜ける瞬発力もあって、右打ちの外野手では全国5指に入る。
足が速いし守備力も高いから、ファームでも出場機会は多いはず。ただし、1打席で結果を出せるタイプじゃない。ならば、最初から4打席、5打席使ってもらえる〈環境〉でクリーンアップとしての感性を養ってほしい。「志望届」は出さず。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部


なかやま しゅん 中堅手
中山 瞬
180cm 82kg/右投右打
創志学園高(おかやま)
50mタイム 5.8秒
スローイング 走塁力
守備力 勝負度胸
パワー 実践力
1年秋に初めて見た時は、とんでもない選手になれると思った。2年前の高田萌生(巨人)、昨年の難波侑平(日本ハム)、今年のチームにも金山昌平(一塁手)と逸材排出の創志学園だが、いやいやそんなもんじゃない、根尾昂(大阪桐蔭)クラスの選手になれると大きな期待がふくらんだものだ。タイミングが合った時のレフト方向への打球は、外国人選手のような見えないほどのスピード。近い距離の返球はブレがちだが、バックホームのダイレクト返球の強肩に5秒台の足。素材は間違いない。
まだ野球が粗い。飛び抜けた身体能力を野球という〈競技〉に、まだ十分に生かせていないのが現状だろう。人と競争する段階まで行っていない。自分の基本技を地道に磨いてほしい。〈サバイバル〉に参戦するのは、それからのほうが向いている。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部


ふじわら きょうた 中堅手
藤原 恭大
181cm 77kg/右投左打
大阪桐蔭高(大阪)
50mタイム 5.7秒
スローイング 走塁力
守備力 勝負度胸
パワー 実践力
根尾昂あっての藤原恭大だったのか、藤原恭大あっての根尾昂だったのか。たとえば今夏甲子園、根尾のバックスクリーン弾の直後、藤原が今度はレフトスタンドへ、打った瞬間!のホームラン。根尾の一弾を見て、「それ以上の打球を!」と藤原が狙って打ったのでは...。そんな余計な憶測までしたくなるような、2人の逸材の見事な〈相乗効果〉だった。いつでもカットできる高さを保って、まっすぐに伸びてくるバックホームはプロでも上位だろう。スリーベースメーカーを目指せる快足も兼備。
わずかな心配はある。タイミングのとり方が曖昧で、トップの浅いテークバック。木のバットで内角の140キロ台が大丈夫なのか?先頭打者としての打席でも、二死2塁でも、ベンチを見たがるのは〈依存心〉の表れなのか。杞憂に終わりそうだが。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部


まんなみ ちゅうせい 中堅手
万波 中正
190cm 89kg/右投右打
横浜高(神奈川)
50mタイム 6.3秒
スローイング 走塁力
守備力 勝負度胸
パワー 実践力
1年夏に横浜スタジアムのバックスクリーン直撃弾で驚かせてくれて、そこからが長かった。横浜高の中軸として注目、期待され、〈結果〉が欲しかったのだろう。さんざんボールを追いかけて、顔の高さの速球を空振り、足元のショートバウンドにも空振りの今春は、さすがに「ここまでか...」と思ったが、それがこの夏〈別人〉に変身。再度、横浜スタジアムのバックスクリーンを直撃すると、あと1mで場外の特大弾も。自分のゾーンで待ち構え、コンパクトなスイングで見事に振り抜いてみせた。
力んで気負って崩しかけた「甲子園」だったが、なかった。〈病み上がり〉を割り引けば十分合格点。このサイズでも守りに大味な面もなく、本気で取り組めば「スター」になれる大器。毎年出てくる選手じゃない。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部


かなやま しょうへい 一塁手
金山 昌平
182cm 83kg/右投左打
創志学園高(岡山)
50mタイム 6.5秒
スローイング 走塁力
守備力 勝負度胸
パワー 実践力
この夏の予選がすごかった。決勝までの5試合連続弾は大会記録。とりわけ準決勝では、「隠れドラ1候補」引地秀一郎(倉敷商)の目測147キロ、決して失投じゃない、低めに指のかかった速球を持ち上げて、広い広いマスカットスタジアムの右中間中段に持っていったから驚いた。昨秋、練習試合で見ているはずなのに印象がないのは、ほとんど力感が伝わってこない、独特の〈軽打〉のようなスイングスタイルのせいだろう。だから凡打が続くと記憶に残らない。ある意味、不思議な打者だ。
一塁は外国人で…そんな<言い伝え>はウソになりつつある。12球団の半分以上が和製一塁手だ。追い込まれても左前安打で逃げられるバットコントロール。長打力もアベレージも期待できるバットマンの逸材。出場機会の豊富な大学で磨きを。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部


たみや ゆあ 捕手
田宮 裕涼
176cm 73kg/右投左打
成田高(千葉)
50mタイム 6.0秒
スローイング 走塁力
守備力 勝負度胸
パワー 実践力
地肩が強すぎないのがいい。ムダのない動作で回転のいい送球をきちんとベース上にきめようとする意識が、スピーディーで高精度なスローイングに。ショートバウンドか...の送球がそこからホップするように見える。低めの捕球時にも上体が動かず、ストライクに〈見せる〉キャッチング。バッティングカウントで、打者の足元に構えられる配球も。守備力は「甲子園」でも目立ったはず。春は迷い迷いの打撃も、今夏予選ではふっ切れた。背中を立てしっかりトップをとってのフルスイングだった。
盗塁もできて、余裕で三塁打にできる俊足も兼備。もし進学したら、春から「1番・捕手」で活躍できるイメージが簡単に作れる。ならば、高いレベルの「東都」で存分に実戦経験を。繰り返しになるが、捕手は実戦のマスクでのみ上手くなれる。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部


いしばし こうた 捕手
石橋 康太
180cm 86kg/右投右打
関東一高(東京)
50mタイム 6.3秒
スローイング 走塁力
守備力 勝負度胸
パワー 実践力
1年生の12月に左ヒザ半月板損傷手術。およそ半年のブランクの後の成長カーブがすばらしい。オーバースイングを自ら戒めるようなコンパクトなスイング軌道から、ノンパワーに見えるスイングで驚くような飛距離や打球スピードを発揮。スローイングも同様のノンパワー感なのに、糸を引くような送球をベースの上にポンと置ける。サウスポー相手でもスタートがきれて、捕手のわずかなファンブルで三塁を奪う〈行き足〉の鋭さ。今夏予選は気負いが目立ったが、春の〈事実〉があるからよい。
去年の中村奨成(広陵高→広島)とはタイプは違うが、隠し持っている捕手として資質はまったくヒケをとらないと見る。捕手の姿から漂うムード、捕手しかできそうもない(失礼!)特別なオーラ。「絵に描いたような捕手」になれる素材だ。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部


どい かつや 捕手
土井 克也
180cm 76kg/右投右打
唐津商業高(佐賀)
50mタイム 6.3秒
スローイング 走塁力
守備力 勝負度胸
パワー 実践力
1年夏に甲子園出場、1打席だけでもスイングの鋭さが記憶に残り、今春、練習を見に行った。大勢の選手たちの中でも、パッとわかる〈存在感〉。木のバットでも、自然なスイングからセンター、ライト方向への打球がぐんぐん伸びていく。今夏予選の準々決勝、強打を警戒し外に構えた捕手の頭の高さに速球が入る。インサイドアウトのスイングでさらっと振り抜いた打球がライトスタンドへのライナー弾に。さらに終盤には、スライダーに崩されながら今度は豪快に左翼弾。進境が光った。
結局「届け」は出さず。それでいいと思う。間違いなく、総合力では全国クラスの捕手だが、〈抜けたもの〉がない。総合力勝負の選手に必要なのは、多くの実戦経験を重ねて得られる「試合上手」の要素だ。股関節、ヒザ、足首に一層の柔軟性を。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部


かつまた あつし 投手
勝又 温史
180cm 78kg/右投左打
日大鶴ケ丘高(東京)
球速帯 141〜152キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 カットボール/スプリッ ト/カーブ
コントロール率 57%
左腕の外角速球に詰まったように見えた打球が軽くレフト頭上を超え、低め速球をバックスクリーン前に。抜群のヘッドスピード+技術の「清宮タイプ」。熱中症で倒れて間もないのに、炎暑の中で躍動感あふれる投球で、走者を置いたセットからも140キロ後半。この夏は「関東No.1右腕」と評価されるまでに劇的変身。この選手の〈エネルギー〉は驚異だ。昨年の今頃は135キロ前後のスピードで、きちんとした変化球も投げられなかった。この年ごろの潜在能力は、まったく計り知れない。
投打の逸材。スイングスピードと長打力、ボールを捉える感覚も間違いなく一級品。私なら「打」を取る。よくいる「俊足好打」じゃない。プロでクリーンアップを打てる素質の持ち主だからだ。丁寧に打つ意識に目覚めれば、さらに進化できる。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部


かきこし けんしん 投手
垣越 建伸
183cm 92kg/左投左打
山梨学院高(山梨)
球速帯 136〜146キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 クロスファイアー/スライダー/カー ブ/カットボール/チェンジアップ
コントロール率 63%
今年の春先、強打・東海大相模を見事な緩急と両サイド低目への投げ分けで7回2安打ピシャッと抑え、5月の関東大会では右打者の内角を鋭い角度のクロスファイアーでえぐってみせた。テクニックと球威。両面を見せてもらって、「全国No.1左腕」か...の期待で迎えた今夏予選と甲子園。腕の振りにいつもの〈怒り〉が見えず、どこかかばっているような投げ方にちょっとガッカリ。チーム関係者に訊けば、「背筋痛」とのこと。休めば治ることを願いながら、やはりポテンシャルはNo.1左腕だ。
関東大会前後、140キロ後半まで上がった球速。それで、スライダーとチェンジアップが放射線状の球筋を作り、ジワーッと持ってきてビヤッと腕を振るをリズムで投げられたら、かなり攻略困難な左腕になる。山本昌投手(元中日)が重なる。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部


すぎもと こうき 投手
杉本 幸基
181cm 76kg/右投右打
大垣日大高(岐阜)
球速帯 141〜144キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 スライダー/カーブ/ チェンジアップ/フォーク
コントロール率 55%
修行恵大との二本柱でチームを牽引。しなやかな腕の振りと独特の落差を持つフォークの「修行」も非凡だが、私には、少々粗けずりでも、「杉本」の躍動感と運動量抜群の投球フォームに豊かな将来性を感じる。伸びやかなテークバックからダイナミックな腕の振りの軌道は、〈本格派〉そのもの。5、6イニングのロングリリーフでもコンスタントに140キロ前半マークのエンジンと、速球と同じ腕の振りのスライダーが将来性の〈基盤〉になれる。勝負球のチェンジアップの〈揺れ〉も魅力だ。
タテのスライダーとチェンジアップ...使える変化球が2種。これは大きなアドバンテージ。100球超えてから〈MAX〉を出せるスタミナも獲得。筋力を乗せていけば、ぐんぐん加速できそうなフォームという〈伸びしろ〉も大きな強み。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部


みやわき れん 捕手
宮脇 廉
179cm 85kg/右投右打
鹿児島城西高(鹿児島)
50mタイム 6.5秒
スローイング 走塁力
守備力 勝負度胸
パワー 実践力
「フライボール革命」というのがハヤリになっている。あくまでもレベルスイングで、その代わり渾身のスイングスピードでボールの下半分を狙って振り抜き、打球に放物線としての飛距離を与える。人並み以上のスイングスピードとミートの技術が必要な「特殊技術」だ。この選手のスイングスタイルがまさに〈これ〉だろう。300キロ近い背筋力だというから、プロでもトップクラスの〈怪力〉。飛ばす力はもちろんだが、変化球でも下半身の粘りでセンター方向へ痛烈に持っていける幅もある。
バッテリーを組む小峯新陸(2年)も188cmの長身から140キロ前半の速球で勝負の本格派だが、この投手の持ち味の〈速球〉を上手に生かした配球も光る。ただの「力持ち」じゃない。野球カンの鋭さ、泰然自若としたムード...プロ向きと見る。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部


ましこ きょうすけ 捕手
益子 京右
178cm 80kg/右投右打
青藍泰斗高(栃木)
50mタイム 6.4秒
スローイング 走塁力
守備力 勝負度胸
パワー 実践力
レギュラーマスクをかぶったのが昨秋の新チームから。今は中日の成長株No.1・石川翔を何度も見に行った昨春、昨夏はプレーを見ていないわけだ。昨年の須藤悠真(現立正大)もキビキビした所作の好捕手だったが、その後にこんなに強肩捕手が隠れていたとは...。カットできる高さで敏捷な二塁送球ができて、一瞬の判断力も的確。鋭い野球カンを持っている。通算23弾とはいえ、インパクトの精度には猛勉強が必要で、スイングスピードも物足りない。捕手としての〈筋〉の良さは一級品だが...。
〈打〉を買われてドラフト候補に挙がる高校生捕手が多い中で、ディフェンス能力がキラリと光る数少ない存在。これだけすぐれた野球センスなら、出場機会のより多い大学で実戦経験を積んだほうが上手くなれるのでは。捕手は何より実戦体験だ。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部


ひきち しゅういちろう 投手
引地秀一郎
187cm 85kg/右投右打
倉敷商業高(岡山)
球速帯 138〜151キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 スライダー/カーブ/ フォーク
コントロール率 64%
中学軟式ですでに130キロ後半、昨春140キロ後半をマークして早い時期から大型本格派の大器として期待されたが、昨年までは投げてみないと...粗けずりぶり。それが今春、重心がスッと沈めるフォームになって一気に球筋が安定。安心して腕が振れて、145キロ前後の速球もスライダー、フォークも、打者の手元での〈生命力〉を帯びてきた。今夏も炎熱の県大会で、初回から飛ばして終盤さらに球威アップ、9回に3者連続三振の心身のタフネスも立証。一気に「ドラフト上位候補」に台頭した。
左半身が機能するようになれば…はっきりとした<伸びしろ>を残しながらも素質は全国クラス。スライダーは間違いなく一級品。グラブを〈見える高さ〉で引きつけるように使えれば体の開きも改善され、もっと楽にタテ軌道で腕が振れるはずだ。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部


つるた かつき 投手
鶴田 克樹
180cm 95kg/右投右打
下関国際高(山口)
球速帯 138〜146キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 スライダー/カーブ/ ツーシーム/スプリット
コントロール率 66%
2年連続の夏の甲子園で、すっかり〈投手〉らしくなっていて驚いた。アベレージ140キロ前半の速球とそんなに球速の違わないスプリットを右打者に、ツーシームを左打者の外角低めに集め、スライダー、スプリットをカウント球でも使える。延長10回に〈144キロ〉を外角低目に、変化球を低めにきめられる心身のスタミナも立派なものだ。スイングではあっさり体が正面を向くのに、投球では半身を保って踏み込める。この1年、相当努力したはず。自分自身を成長させた〈痕跡〉があちこちに。
走者一塁のセットで長く持てる。球速で圧倒するタイプじゃないが、試合を作れる「勝てる投手」になれる資質は見えている。尻上がりにパワーアップできる「先発タイプ」は、今のアマ球界に意外と数少ない。1年目からファームで投げられる。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部


いちかわ ゆうた 投手
市川 悠太
184cm 78kg/右投右打
明徳義塾高(高知)
球速帯 138〜146キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 スライダー/シュート/ スプリット/ツーシーム
コントロール率 59%
「U18壮行試合」の先発立ち上がり粉砕が妙に気にかかる。まさかの夏予選敗退から1ヶ月、いったんはしぼんだ気持ちを立て直して臨んだつもりでも、体がついてこなかった...一時的なものと解釈したい。肩を持ちたくなるほど〈センバツ〉がよかった。3月にサイドから145キロを両サイドに投げ分けられる高校生はまずいない。ネット裏からでもホップして見えるスライダーなど、〈魔球〉に見えた。逆に、右打者の胸元、膝元を突けるシュートも財産。〈持ちネタ〉的には文句ないのだが...。
センバツの出来に戻れれば...まだ言っている。セットポジションで、ゆっくりと両腕を下ろし、止めるタイミングをわからなくして、走者のスタート意欲を消し去る技術。へんなとこ、達者なワザを見せて、なんとも玄人受けするヤツだ。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部


きむら そうた 投手
木村 颯太
177cm 78kg/右投右打
佐賀商業高(佐賀)
球速帯 138〜146キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 スライダー/カーブ/チェンジ アップ/スプリット/ツーシーム
コントロール率 57%
投げっぷりが「球道くん」中西清起(元阪神)に似てるなぁと思う。クイックに近いリズムで、どっしりと体重移動してくる力感十分のフォーム。内角を突ける攻撃的投球で、胸元はホップする体感。気合い任せにガンガンくるだけじゃない。5種の変化球のすべてでストライクがとれる器用さは、この投手の大きな〈意外性〉。特に140キロ前半の速球と同じ腕の振りで投げ込むスプリットとチェンジアップは、変化点が近くプロでも使える球筋とみる。全体の〈ゾーン〉がボール2つ下がってくれば。
「OK !」を出したが、プロ志望届を出さなかった。私が好きな投手だから、あえてここに挙げた。試合終盤、球威が落ちてくるところで「高目傾向」が災いし捕まることも。最終回に〈MAX〉が出せるような持久力を、大学4年間でぜひ。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部


とごう しょうせい 投手
戸郷 翔征
186cm 75kg/右投右打
聖心ウルスラ高(宮崎)
球速帯 141〜149キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 スライダー/フォーク/ ツーシーム/シュート
コントロール率 44%
昨夏甲子園で〈2年生〉のこの投手を見た時、肩の故障で消えてしまうのでは...と心配した。思い切り背中方向へ引っぱるテークバック。そこから強引なまでに強烈な腕の振りで、スリークォーターの角度から投げ込む。見ていて怖いようなフォームだが、肩甲骨の可動域が異常に広いのだろう、大きな故障も聞かず今夏の「U18壮行試合」での激投に驚いた。初回途中から緊急救援の5イニング1/3で5安打2失点も9奪三振。「ジャパン」相手に、一歩も引かぬ堂々の勝負根性に惚れた。
表情、態度が「投手」だ。すべての変化球で猛烈に腕が振れるのも魅力。典型的な〈荒れ球〉でもゾーンの中で荒れているから打者は辛い。タイプでいえばDeNA・平良拳太郎。ベース上で激しく動くスライダー、ツーシームは使える。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部


まつい よしや 外野手
松井 義弥
190cm 89kg/右投左打
折尾愛真高(福岡)
50mタイム 6.2秒
スローイング 走塁力
守備力 勝負度胸
パワー 実践力
昨年の6月、ある雑誌の取材でグラウンドの練習に伺った時の〈衝撃〉は忘れられない。打撃練習で両翼96mの右中間フェンスの向こうの土手を次々に超えていく打球は130m級。シートノックでは遊撃と右翼をこなして、「130後半が出ますから...」と監督さんが教えてくれて、ブルペンで投げてもらったら、140キロ前半が続いた。こいつは逸材だ...と思ったのは、それらのプレーがすべて〈サマ〉になっていたから。これだけのサイズがあって、走攻守の動きにぎこちなさや大味感がまるでない。
今夏甲子園での〈再会〉でも、ボディーバランス抜群の送球、走塁とコンパクトなスイングを見せてくれたが、同時に気負い過ぎからバッティングがパニック気味に。マジメ過ぎるぐらいの性格が災いしたのか。プロなら、もっと厚かましくてよい。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部


みやがわ かんし 外野手
宮川 寛志
177cm 70kg/右投左打
奈良大付高(奈良)
50mタイム 6.0秒
スローイング 走塁力
守備力 勝負度胸
パワー 実践力
今夏甲子園、益田東・稲林のスイングスピードにも驚いたが、この選手のバッティングにも強烈に惹かれた。稲林同様、志望届を出していないが、あえてここに挙げる。センター右のゴロのヒットに中堅手が追いつけない。すばらしい打球スピードだ。ファウルでもバットからグリップが離れないのは、タイミングが合っている証拠。そのタイミングのとり方がゆったりと柔らかく、非凡な匂いがする。次の打席、チェンジアップ系に崩されかけながらライトスタンドへ。余裕があったから驚いた。
左腕のスライダーを外に流されても、軸がブレないスイングは見事な技術。捕手がショートバウンドを止めて見失っている隙に三塁を奪うカンの鋭い走塁といい、ライトから走者の三進を阻止できる強肩といい、大学なら即レギュラーで活躍できる。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部


やました こうた 外野手
山下 航汰
176cm 78kg/右投左打
健大高崎高(群馬)
50mタイム 6.3秒
スローイング 走塁力
守備力 勝負度胸
パワー 実践力
昨年の春、この選手のを初めて見た時、「清宮に似てるなぁ...」と思った。後ろから前に大きく振り抜かれるレベルスイングの美しい軌道。打球は高く上がっているのに、振り終わりのグリップの位置は〈肩〉の高さにあって、決して高くない。ボールを存分に叩けている証拠だ。高校通算75弾でも、打者としての本質は「中距離打者」と見る。ファーストストライクをいとも簡単にジャストミートできる精度の高さ。プロで10年3割が打てて、首位打者にもなれる。そこまでの素質の持ち主だ。
バッティングはプロで定位置を獲得できる資質を持つが、一方で「ディフェンス」にどれだけ自分の問題として興味を抱けるか。動けない野手じゃない。走る姿の身のこなしも鮮やかだし、肩も悪くない。懸命に取り組んで〈名手〉にも挑め。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部



わかやま あおと 投手
若山 蒼人
188cm 85kg/右投右打
中部学院大(広島・崇徳高)
球速帯 132〜137キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 スライダー/シンカー
コントロール率 61%
大学2年でアンダーハンドにしたと聞いて驚いた。昨日きょうのアンダーの身のこなしじゃない。足上げから、沈み込みながら しっかり踏み込んで、潜ったままでしなやかに腕を振る。潜れているから両肩の線の延長線上で右腕を振れる。これほどのサイズのアンダーにして、このボディーバランス!てっきり〈もともと〉のアンダーだと決めつけていた。軸足が長くプレートに付いているのが、そのまま「球持ち」に。数字は130キロ前半でも、打者の体感速度は140を超えているはず。間違いなく〈逸材〉だ。
まず、タイプとして稀少価値。瞬発力に持久力...体力アップを図りながらクイックを覚え、勝負球に〈沈む系〉を1つ覚えて、2年目から一軍ローテでもおかしくない。体の左右の切り返し鮮やかな一塁牽制のアクションに抜群の野球センスが光る。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部


ひらかわ ゆうた 投手
平川 祐太
171cm 72kg/右投右打
国際武道大学(東海大浦安高)
球速帯 140〜146キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 スライダー/カーブ/カット ボール/スプリット/シンカー
コントロール率 68%
国際武道大の「三本の矢」とも言われた投手陣三本柱のうちの〈一本〉。上背はなくても、半身の姿勢を保ったまま大きく踏 み込んで、一気に体の左右を切り返す投球フォームには「武田久(日本ハム)だわ...」。思わずつぶやいてしまった。身長はなくても、球筋に〈角度〉を感じる典型。左打者の胸元、ヒザ元の速球で三振が奪え、140キロ前半の速球を見せてスプリットを沈ませ、シンカーを沈ませておいて速球を速く見せ、打者を差し込む。昨秋以降の実戦力アップ著しく、伸びしろも十分。
球種によって腕の角度が微妙に変わる青野善行も面白いし、変化球の制球に長けた伊藤将司(志望届提出)も使い勝手がよさそうだが、ピッチングという「仕事」が出来るのは平川と見る。タイミングを外す緩急を持ち、向かっていく覇気が頼もしい。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部


なかむら としや 投手
中村 稔弥
178cm 84kg/左投左打
亜細亜大学(長崎・清峰高)
球速帯 138〜143キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 スライダー/カットボール/カー ブ/スプリット/チェンジアップ
コントロール率 62%
亜細亜大で12勝(10月17日現在)は〈勲章〉だろう。毎年のようにプロ入りする投手陣の中で、長い期間ローテーションで投 げ続けた事実の積み重ねだ。何よりハートがいい。〈亜細亜〉らしい投手だ。去年まではハートで投げていた印象だったのが、今季は投球に〈根拠〉が見えてきた。スプリットに新兵器のチェンジアップが加わり、打者が待ちにくくなっている。もともと左打者には非常に見づらい軌道だし、クロスファイアーの球筋もきびしい。持ち球の威力で打者を圧倒できるレベルに達した。
マウンドに上がったら、試合が終わるまで降りるつもりはありません!そんな言葉通り、覇気と闘志が投球にみなぎる。走者を背負って、スプリットでファウルを打たせてカウントをとれ、左打者の懐に全力投球で142キロ。〈技術〉の裏付けも。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部


かわせ こうさく 投手
川瀬 航作
182cm 84kg/右投右打
京都学園大学(米子松蔭高)
球速帯 138〜146キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 スライダー/ツーシーム スプリット
コントロール率 52%
左足を後ろに蹴り上げる反動で前に大きくリフトアップ。やや前傾姿勢でインステップし、サイドハンドから豪快に腕を振る。その「インステップ」が、打者にとっては打ちにくい角度になり、本人にはパワーロスになっているような気も。こういう〈個性〉が難しい。球速帯140キロ前半の速球と見分けのつきにくい「高速スプリット」が130キロ後半。速い変化で打ち損じを誘う投球スタイルだ。1イニングのリリーフなら、今の球種を磨けばいいだろう。先発志向なら、打者をのめらせる球種をぜひ1つ。
ここ数年、パタッと出なくなったサイドとアンダー。それが、昨年は専修大・高橋礼(ソフトバンク2位)が出て、今年は東日本国際大・粟津、中部学院大・若山にこの川瀬。「流れ」が出来つつあるのはプロの需要があるから。乗ってみる手だ。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部


いずみ けいすけ 投手
泉 圭輔
188cm 83kg/右投右打
金沢星稜大学(金沢西高)
球速帯 141〜146キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 スライダー/カーブ チェンジアップ
コントロール率 72%
大学で野球を続けるつもりはなかったんです...よかったね、続けていて。間違いなく、「人生」が変わろうとしている。抜群のピッチングセンスは入学時から輝いて、2年からほぼエース格で3年間奮戦しながら、大きな故障もない代わりに、大きな〈勲章〉もまだ手にしていない。「素材」といえば素材だが、素質なら、「東洋」「日体」の次のレベルだ。雨の中の0対0でも、淡々と飄々と、フラットに丁寧に投げ続ける。大学から始めた筋トレで140キロ後半まで上げてきたが、本人、自信の持ち味は「角度」だ。
長い手足を無理なく柔軟にしならせたフォームは将来性抜群。両肩のラインの内側で動作していて故障の心配なし。今はリーグのレベルが味方して、失投を打ち損じの場面も。痛い目にも遭いながらスクスク伸びていくイメージしか浮かばない。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部


ちょう いっせい 捕手
長 壱成
181cm 76kg/右投右打
駒澤大学(智辯和歌山高)
50mタイム 6.5秒
スローイング 走塁力
守備力 勝負度胸
パワー 実践力
あまり話題にならないが、かなり優秀なセンスと身体能力を持った捕手だと思う。守備ワークに長けたプロの素材と見る。シ ートノックの三塁送球、二塁送球がホップして見え、ショートバウンドを吸い上げるように捕球し、そのまま低く伸びる送球で二盗を刺したプレーなど、下半身の柔軟な粘り、捕球→送球のスピードと正確さ共、プロ仕様のスローイングだ。投手が気分よく投げられるための気遣いも心掛けているようで、だんだん「捕手」が面白くなってきているのではないか。光って見える。
一級品の強肩なのに力任せにならない。右手を引いて投げるアクションロスもなく、二塁ベースの上にボールをポンと置けるさりげなさもプロっぽい。プロに進んでもよい捕手だ。守備が上達すれば、捕手は不思議とバッティングも上手くなる。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部


しろがね こうた 投手
白銀 滉大
181cm 76kg/右投右打
駒澤大学(千葉・柏日体高)
球速帯 142〜149キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 スライダー/カットボー ル/ツーシーム
コントロール率 26%
リーグ戦登板は3年生になってから。ほとんどが試合終盤のストッパーだが、サイドハンドから強烈な腕の振りに指のかかり が負けてない日は、打者の胸元にホップしてくるように見える145キロ前後が打者のスイングを圧倒する。速球の軌道でまっすぐに来て、ベース上で変化するカットボールも使えるし、左打者の外にスッと沈むツーシームが投球の幅を広げている。ただ、あれもこれも、〈ストライク〉が入れば...の話。基本、構えたミットには来ない。その荒れ球が結構打ちにくい武器になることも。
ブルペンでは球道が暴れていても、救援のマウンドに上がるとストライクゾーンにガンガン。そんな日もある。練習より本番、並みの打者より強打者...よりテンションが上がる内面なのかも。サイドからの剛球はゾーンに入りさえすれば使える。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部


うるしばら たいせい 投手
漆原 大晟
182cm 83kg/右投右打
新潟医療福祉大学(新潟明訓高)
球速帯 142〜151キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 スライダー/カーブ シュート
コントロール率 37%
絶対的エースとして君臨していた左腕・笠原祥太郎(現・中日)が2年上。偉大な先輩の奮戦ぶり、練習ぶり、成長と苦労...すべて見てきて、学習してきたはずだ。1年秋にリーグ戦で「連続11奪三振」。派手なスタートを切ったわりに、その後、今春までの防御率が4点に近い。確かにイニング単位で投球に波があるし、もっと言えば、打者1人単位で投げるボールの質が変わる。うわっ!と声が出るような140キロ後半もあれば、スッと垂れるのがわかるようなストレートも。そこに妙な魅力がある。
まったくの「素材」である。世間的な身分は「大学生」でも、野球的には「高校生」。そう考えれば、間違いなく能力は高い。今の実戦力では社会人でも〈育成系〉だろう。ならば、プロの食事とトレーニングで鍛え、タテの変化を身につけよう。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部


すなが えつし 投手
須永 悦司
190cm 95kg/右投右打
桐蔭横浜大学(桐蔭学園高)
球速帯 139〜150キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 スライダー/カーブ/ チェンジアップ
コントロール率 56%
〈大器〉だけに、時間をかけてじっくり仕上げた。昨秋から本格的に登板を始めて、今春リーグ戦では「エース格」として奮投。4勝2敗、防御率1.25で「最優秀投手賞」を獲得。長いリーチをくねらせながらゆっくりと踏み出して、なかなかボールを離さない。球持ちがよく、特に右打者の外角低目への速球の角度は一級品。140キロ前半でも空振り三振が奪える〈球筋〉の難しさ。指にかかった時の、腹に響く捕球音に球質の重さが。上体だけの投球、変化球の精度...今の課題がそのまま〈伸びしろ〉だ。
...という前に、名門・JR東日本への進路が内定していた。先発で凡打に打ち取りながら長いイニングっていうより、全力で3人抑えてこい!の方が気合いが入ります。本人そう言うように、剛速球でねじ伏せるリリーフ役に適性がありそうだ。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部


しみず のぼる 投手
清水 昇
180cm 80kg/右投左打
國學院大學(帝京高)
球速帯 138〜150キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 スライダー/カーブ/カットボー ル/チェンジアップ/ツーシーム
コントロール率 69%
きちんと投げられるのに、もう一つ詰めが甘くて〈殻〉を破れないじれったさが抜け、最後の秋に来て、ようやく「エース」 らしくなった。150キロに届いた速球の質が、まず良くなった。投球に〈軸〉ができて、安心して投げている印象。もともと制球力の確かさは一級品。中学時(駿台学園中)で投球を受けたことがあるが、オーバーハンドの中学生でこんなに低目に集められて抜け球のない投手はちょっといない。正直、驚いたものだ。強烈なプロ志向。それがここまで実力を引っぱり上げたのかも。
いつも感心するのは、実戦以外の場面でも全く手を抜かないこと。ダグアウトからはいちばん声が聞こえてくるし、シートノックの球拾いでも常に打球を追う。無類の野球小僧。プロのサバイバルで残るのは、こういう〈オタク〉みたいなヤツだ。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部


おおた ひかる 捕手
太田 光
178cm 77kg/右投右打
大阪商業大学(広陵高)
50mタイム 6.0秒
スローイング 走塁力
守備力 勝負度胸
パワー 実践力
今春までの7季のうち6回のリーグ優勝に、レギュラー捕手として貢献。1年春からの全ての試合で先発マスクをかぶってき た。「経験値」がものを言うポジションだけに、この〈事実〉が大きな武器になるはず。昨年の大学選手権で4三振を食らった天理大の好左腕・森浦大輔(2年)から、今年の大学選手権ではやられたチェンジアップを右方向へ二塁打を2本。きちんと学習して〈手〉を打ってきた。インサイドアウトに徹したスイングスタイル、左腕攻略だけでなく打の基盤として有効だ。
春先から痛めていた右肩が〈故障〉の段階に、今秋リーグ戦は「2番DH」で出場。地肩は問題ないが、以前から気になっているスローイング時の足首、ヒザのこなしの硬さ。「肩投げ」は故障再発の原因にもなり、修正してからのプロでも。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部


あわつ かいと 投手
粟津 凱士
178cm 76kg/右投右打
東日本国際大学(山形・山本学園高)
球速帯 137〜147キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 スライダー/カーブ カットボール/ツーシーム
コントロール率 63%
この球威と打ちにくさなら、リーグ戦で防御率0点台は当然。むしろ、今年の大学選手権で完封を含む13イニング2/3無失点の〈結果〉のほうが実力と見るべきだろう。ゆっくりと踏み込んで来て、そこから猛烈なスピードで腕を振る。フォームの緩急がまず買える。140キロ前後でも、指にかかった時の強さ抜群の速球には〈剛〉が付く。ツーシームでも腕の振りが緩まず、全力投球しているのに両サイドの投げ分けが効いて、速球に放射線状の球筋を作れる。持ち球のレベルは十分プロ級。
〈勝負野球〉は高校で終了のはずだった。理由はどうあれ、続けてよかった。今が一番野球が面白いのではないか。プロでいえば、ヤクルトの抑え役だった高津臣吾、今なら秋吉亮。プロの食事とトレーニングでどんな〈変化〉を見せるのか、楽しみばかりだ。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部


うめつ こうだい 投手
梅津 晃大
187cm 93kg/右投右打
東洋大学(仙台育英高)
球速帯 138〜153キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 スライダー/カーブ カットボール/フォーク
コントロール率 58%
これだけの大器が4年秋に「初勝利」とは。常勝・仙台育英で甲子園登板経験なく、満を持してのはずだった今春も左足首に打球を当てて離脱。事実上、今秋が〈デビュー〉に。前から大きく見えるのは骨格が大きいから。雄大な体躯と、テークバック〜腕の振りが両肩の延長線上で行なえる理にかなった上体のこなしが何よりの将来性。豪快に投げ下ろすスタイルと何となく〈高目傾向〉の投球に、良くも悪くも九州共立大時の大瀬良大地(現広島)が重なる。潜在能力は〈3人〉の中でNo.1。
右肩周りの動きは理想的。これで、前に体重が乗って、グラブサイドの動きが効いてくれば...。ほぼ肩周りだけで投げても常時145キロ前後のパワーは、間違いなくプロでローテ候補だ。1年、2年は本人、指導者お互いに辛抱、その先で笑おう。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部


よねみつ なぎ 遊撃手
米満 凪
170cm 70kg/右投左打
奈良学園大(敦賀気比高)
50mタイム 5.8秒
スローイング 走塁力
守備力 勝負度胸
パワー 実践力
昨年、宮本丈(ヤクルト6位、遊撃手)、村上海斗(巨人7位、外野手)の取材に伺ったグラウンドで、ほんとは彼らを一生懸命見 なければならないのに、当時、二塁を守っていたこの選手の動きが気になった仕方がなかった。今年の大学選手権では1試合4盗塁に右中間弾。早くから「プロ一本!」を表明。東京ドームの試合前のキャッチボールで、ものすごい勢いのビームスローを繰り返していたのも「見せてやる!」の意気込みからに違いない。キラキラッと光って見えて、「やっぱり!」と心躍ったのだが...。
そこからのもうワンプッシュがほしかった。たとえば、今秋リーグ戦での大暴れ。体の近くを速球で突かれると、次の投球にバットを構える姿に〈おじけ〉が見えた。こんなもんじゃない!社会人の熾烈な勝ち抜きで、野球に〈怒り〉の注入を。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部


ささき けん 投手
佐々木 健
178cm 80kg/左投左打
富士大学(青森・木造高)
球速帯 140〜147キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 スライダー/カーブ カットボール/フォーク
コントロール率 67%
「リーグ戦9連覇」、今春は継続の危機だった。エース格の左腕・鈴木天翔(4年・向上)のヒジ故障。そのピンチを救ったのが村上英(4年・宇都宮南)との左右の両輪だった。大学選手権で7イニングのロングリリーフ。左腕独特の大きく割れるカーブに、ストライクゾーンから沈むカット。クロスファイアーの角度が魅力的なのは、腕の振り自体の角度としなりが抜群だから。軸足がリリースの瞬間までプレートにこだわって、最後のケリが効いて溜めた力がすべてボールに乗っかる。筋がいい。
先頭打者を打ち取った直後に四球、すばらしいフォークをきめた後に死球。ピッチングに〈幼さ〉が残るが、狙ったポイントに投げる能力自体は決して悪くない。実戦経験を積めば積むほど、比例して〈実戦力〉も上昇するタイプ。2年目からローテで。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部


いとう ゆきや 二塁手
伊藤裕季也
181cm 90kg/右投右打
立正大学(日大三高)
50mタイム 6.2秒
スローイング 走塁力
守備力 勝負度胸
パワー 実践力
なんだか、頼もしいヤツが現われた。今夏は「侍ジャパン大学代表」のレギュラーとして活躍、甲子園後の「高校ジャパン」 との壮行試合では、ケガをしている足を引きずりながら、大阪桐蔭高・柿木蓮の〈145キロ〉をバックスクリーンへ放り込む「はなむけ」の一発。続く今秋のリーグ戦も、いまだ本調子にない足を気遣いながらも、チャンスに長打のタイムリーの打てる勝負根性。一塁しか...の印象とは異なり、外野の芝生の切れ目で守って、無難に打球を処理する意外性も。「野球上手」だ。
なんだか、落合博満(元ロッテほか)さんのようなムードを感じている。落合さんも、ああ見えて、二塁も三塁も上手かった。投球に逆らわず、自分のイメージする方向へ〈MAX〉の打球をさりげなく飛ばす。故障完治すればプロの対象に。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部


むこやま もとき 外野手
向山 基生
184cm 83kg/右投右打
法政大学(法政大二高)
50mタイム 6.0秒
スローイング 走塁力
守備力 勝負度胸
パワー 実践力
1980年代、彼のお父さんも社会人球界を代表する外野手だった。名門・熊谷組のクリーンアップをつとめた強打の左打者。 その〈DNA〉をかなり色濃く継承している。守備力なら即戦力...というよりも、一軍でもいきなり上位の守備力と見る。前で守れて後ろの打球にも強く、際どい打球を最後まで顏(目)が追えているから〈球際〉が強い。非常に正確なバックサードにバックホーム。柔軟でバランス抜群の身のこなしだから、投げ損じほぼなし。スマートなユニフォーム姿もグラウンドに映える。
足も速い。内野ゴロでも全力疾走、〈行き足〉が鋭い。あれだけ指にかかったロングスローができる瞬発力なら、非力なわけがない。切るようなスイング軌道さえ修正すれば。ボールを〈点〉で捉える形だと、タテの変化全盛のプロは苦しい。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部


しまうち そうたろう 投手
島内颯太郎
180cm 77kg/右投右打
九州共立大学(福岡・光陵高)
球速帯 139〜147キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 スライダー/チェンジ アップ/スプリット
コントロール率 65%
全くの無名校から、〈全国〉の舞台でも強豪チームのエースに。それだけの勝負根性は持っている。「腕の振り」なら出色の存在。ヒジが打者方向へ突き刺さるように繰り出されても、手首はまだ頭の後ろに残ったまま。この「しなり」が145キロ前後のスピード以上の「強さ」を生む。試合前半のすばらしい勢いが、後半に急激にしぼんでしまう「心身の体力不足」はあるが、たとえば1イニング限定で投げさせた時の「爆発力」には、ものすごく興味がある。本格的な野球は大学から。伸びしろの塊だ。
振り抜いた右手の先が、脇の下から背中まで届くほどの腕の振りのわりに、球筋が安定しているのは才能。大腿部とふくらはぎが太く足首が締まっているのは強靭なバネの持ち主。「持久力」よりは「瞬発力」タイプ。後ろの3人の一角を狙え。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部


やまもと たかひろ 投手
山本 隆広
172cm 82kg/右投左打
関西大学(大阪・桜宮高)
球速帯 138〜150キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 スライダー/カーブ/チェンジ アップ/ツーシーム/フォーク
コントロール率 68%
2年時からリーグ戦で「パワーピッチャー」の片鱗を現し、昨秋は強打の近畿大相手にパーフェクトゲームを達成...と順調にレ ベルアップを続けながら、春先につまずいた。阪神二軍とのオープン戦で右ヒジ剥離骨折。絶好の〈就活〉の機会に頑張り過ぎてしまったのか...9月半ばにリーグ戦復帰は「不幸中の幸い」だった。とにかく「野球上手」。万が一、〈投〉に限界があっても、野手で十分見通しが立つだけの総合的な野球センスの持ち主だ。抜群の敏捷性に50m6秒0のバネ。投打共にプレーの勢いが光る。
もちろん、「投手」だ!打者の懐を強烈な速球でえぐって平然としている勝負根性は買いだ。145キロ前後まで戻った速球。〈数字〉 より渾身の腕の振りが戻るかどうか...。フィジカルが回復すれば、腕を振る怖さはヒョイっとクリアできる。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部


まつもと わたる 投手
松本 航
176cm 85kg/右投右打
日本体育大学(明石商業高)
球速帯 139〜154キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 タテのスライダー/カットボール カーブ/スプリット/ツーシーム
コントロール率 72%
この投手の「炎上」を見たことがない。リーグ戦、全国の舞台、ジャパン...どんな状況で見ても、想定通りかそれ以上の投球をやってのける。そのコンスタントさがすでに「プロ」の域だ。先発の立ち上がりから、抑えの効いた速球が150キロ前後。140キロ近いツーシーム、スプリットでサッと勝負し、球数少なくチェンジに持ち込む。クイック、けん制に隙がなく、捕手が構えたミットに70%以上決められる制球能力もプロ級。自在に操れる変化球を3種以上。他の候補にない〈実戦力〉だ。
速球の質が抜群だから、多彩な変化球が実戦力になる。低めの〈高さ〉がわからないほど〈伸び〉を感じる低めの速球。松本ほど、低めの回転がほどけない速球を投げられる投手はいない。いつもフラットなマウンドさばき...新人王候補の一番手。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部


くりばやし りょうじ 投手
栗林 良吏
178cm 80kg/右投右打
名城大学(愛知黎明高)
球速帯 141〜153キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 スライダー/カーブ/カットボール/ ツーシーム/チェンジアップ/フォーク
コントロール率 65%
フォームも変わったが、ピッチングの内容も変わって、最後の秋にグッと台頭。あっさり体を開いて投げていたのが、〈胸〉をなかなか見せなくなった。そのぶん、タメが効いて球持ちもよくなり、リリースでの指のかかりが安定。外を狙った速球がシュート回転して中に...が減少。バチッとボールを切れている。速球の質がよくなってフォークも覚え、この秋は狙って三振を奪える投手にグレードアップ。昨秋までの勝負球・タテのスライダーだって一級品。〈上位〉にふさわしいスキルを獲得し始めている。
春の状態なら「ちょっと待った!」だった。間違いなく上昇カーブにある。今が〈旬〉だ。身長のわりに長いリーチ、高校時は遊撃手としてもマークされた野球上手。「投げる」だけじゃない。フィールディングをはじめ、もっと上手くなれる選手だ。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部


あずま ゆうすけ 投手
東妻 勇輔
170cm 76kg/右投右打
日本体育大学(智辯和歌山高)
球速帯 141〜150キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 スライダー/カットボー ル/スプリット
コントロール率 55%
クール、フラット、コンスタント...の松本航と日体大の2本柱を組むのが、ヒート、最大値...の東妻だ。先発して6回、7回試合を作って...というタイプじゃない。イニングの頭から上がり、ガンガン飛ばしてアウト3つ取ってこい!それで持ち味を発揮するタイプ。猛烈な腕の振りから150キロ近い速球もあるが、速球以上の腕の振りから140キロ前後の高速スライダーとスプリットを、もっと実戦で使ってもよい。課題、宿題いろいろあるが、大学球界屈指のパワーピッチャーではある。
これだけ優秀な持ち球がありながら、割りとあっさりタイミングを合わされるのは、スッと抜いたボールがないから。角度が乏しいタイプだけに詰まらせるだけじゃ限界あり。「遅い系」は意外と難しい。社会人の厳しいトーナメントでもうひと勉強だ。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部


かいの ひろし 投手
甲斐野 央
186cm 81kg/右投左打
東洋大学(東洋大姫路高)
球速帯 143〜159キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 スライダー/カーブ/カットボー ル/ツーシーム/スプリット
コントロール率 63%
今春までの「東都3連覇」に〈守護神〉として貢献。特性が見えたのが、今夏の「日米大学野球選手権」だ。13イニングと1人に24奪三振、防御率ゼロ。振ってくる野球に対する〈威力〉の大きさを証明した。コンスタントに150キロ前後の球速と、カウント球にも勝負球にも使える必殺スプリット。〈速い系〉を投球の軸に、スッと抜いたカーブも挟める。1つだけ注文をつけたいのが、ちょっと猫背のマウンドの立ち姿。胸郭を大きく広げ真上から見下ろすように立てば、それだけで威圧感に。
走者を背負ったセットポジションからも、150キロ台の速球と135キロ前後のスプリットを投げられる投手はアマ球界に甲斐野だけ。時として、代わりばなに連続四球の〈ムラ〉はあるが、速球の猛烈なスピンはスプリット以上の必殺兵器。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部


かみちゃたに たいが 投手
上茶谷大河
181cm 85kg/右投右打
東洋大学(京都学園高)
球速帯 137〜152キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 スライダー/カーブ/カットボー ル/チェンジアップ/スプリット
コントロール率 64%
今春リーグ戦、特に最初の1ヵ月の投球は「すばらしい!」のひと言。背格好、投球フォーム、球種までオリックス・西勇輝そっくりの大奮投。チームを背負って投げる「エース」の矜持をにじませながら、昨年までわずか5イニングのリーグ戦経験とは思えない投げっぷりは見る者の心を揺さぶった。腕を叩きつけるように投げる145キロ前後の速球と、同様の猛烈な腕の振りからスライダー、スプリット、チェンジアップを投げ込み、〈本物〉の緩急で東都の強打者たちをねじ伏せてみせた。
春の大奮闘の〈疲れ〉が、この秋、投球に見え隠れ。そこが心配。春はトップの位置で右手に〈高さ〉があったが、秋はやや低い所から押して投げていないか。打者がビビッておらず捉えられる場面も。それでもなんとかしのぐ〈強さ〉はさすが!
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部


おじま かずや 投手
小島 和哉
175cm 76kg/左投左打
早稲田大学(浦和学院高)
球速帯 135〜146キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 スライダー/カーブ/カットボー ル/ツーシーム/チェンジアップ
コントロール率 66%
東京六大学の「背番号10」。キャプテンナンバーを背負ったエースピッチャーだ。チームの結束に心を配りながら、自分の仕事にも集中して〈必勝〉のマウンドに上がる。これ以上の「人生勉強」はない。打たれた、抑えた...より、今季のこの「経験値」は貴い。今秋、法政敗戦後の立教戦に見せた渾身の完封劇でリーグ戦20勝。節目を抑えられるのも実力の一端だ。音もなくキュッと動くカットボールの変化は鋭くなったが、140キロ後半に達した速球は、まだ実戦で打者を圧倒する迫力にない。
高校ドラ1候補の「最後の姿」を見られる国体を振って、スカウト部長以下4人で見に来ていた球団もいたほど「気になる存在」には違いない。ただ、完封の試合でも姿が大きく見えないし、ボールも大きく見えない。社会人でパワーアップを。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部


たかはし ゆうき 投手
高橋 優貴
178cm 74kg/左投左打
八戸学院大学(東海大菅生高)
球速帯 140〜152キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 スライダー/カーブ/チェンジ アップ/スクリュー/フォーク
コントロール率 61%
持ち球のレベルの高さはすばらしい。左打者からは視界から消える体感のスライダー、右打者の外に沈むスクリューボールに、140キロ近い高速フォーク。この左腕にしか投げられない鋭い角度のクロスファイアーは、140キロ前半でもバットを粉砕できる。いくつもの〈財産〉を駆使して、今秋リーグ戦で富士大・多和田真三郎(現・西武)の「299奪三振」のリーグ記録をクリア。先発だと、セーブした投げ方をしてバランスを崩すことも。三振を奪えるボールを複数持っているのは何よりの強みだ。
1イニング限定なら、1年目の巨人・戸根千明のような剛腕的投球でねじ伏せてくれるのではないか。首を振って投げる場面も減り、いきなり四球...のようなリスクも払拭しつつある。1人や2人出したってよい。〈0〉で抑えるのが仕事だ。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部


しょうずい ゆうや 外野手
正随 優弥
181cm 90kg/右投右打
亜細亜大学(大阪桐蔭高)
50mタイム 6.2秒
スローイング 走塁力
守備力 勝負度胸
パワー 実践力
2年生、3年生の4シーズン、この時のバッティングには魅力があった。〈金属打ち〉のロスの大きなドアスイングから、〈インサイドアウト〉のスイング軌道を身につけて、持ち味のレフト方向への長打力に加えて、ライト方向へのタイムリーを再三放って成果を証明してみせた。この2年間のリーグ戦で、放ったホームランが7弾。忘れられないのは3年秋、国学院大の左腕・山岡投手から奪った左中間上段への放物線は、木のバットでこんなに飛ぶのか...と、驚くよりあきれるような飛距離だった。
その〈剛打〉が、最終学年になって、ちょっとバランスを失っている。見た感じよりずっと、走れて守れて、肩も強い選手。社会人なら遠からずレギュラーを奪える実力者だ。プロの外野手のボーダーは高い。磐石の自信を胸に、2年後に。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部


とくもと けんたろう 外野手
徳本健太朗
177cm 75kg/右投左打
青山学院大学(龍谷大平安高)
50mタイム 5.7秒
スローイング 走塁力
守備力 勝負度胸
パワー 実践力
外野守備力とベースランニングに関しては、辰己涼介(立命館大)に近い実戦力を持った外野手と楽しみにしていたのだが、5月2日、春のリーグ戦中にフェンス激突捕球で足首を骨折して手術。今秋は〈慣らし運転〉として、途中出場や9番でリーグ戦に。返球を受けた内野手がタッチプレーをしやすいようなスローイング、相手野手のアクションロスをどん欲に突いていく走塁。ただの強肩、俊足だけじゃない。「実戦力」の裏づけありで抜群の身体能力を発揮すれば、十分プロの素材なのだが。
ボールを選び過ぎてしまう〈クセ〉はプロでは致命傷に。「災い転じて福...」ではないが、せっかく名門社会人が門戸を開けて待っていてくれるのなら、2年間しっかり〈ワザ〉を磨こう。「勝てる身体能力」に変身した姿を都市対抗で見たい。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部


くすのき けんじろう 外野手
楠 研次郎
180cm 83kg/左投左打
富士大学(東海大相模高)
50mタイム 6.0秒
スローイング 走塁力
守備力 勝負度胸
パワー 実践力
入学直後から即レギュラーに起用され、見るたびに進化してきた事実に、まず頭が下がる。4年8季あれば、調子停滞や故障もあって当然なのに、ここまで4割台を3回、唯一ベストナインを逸した2年春ですら3割2分台をマークしていた「Mr.コンスタント」。スローイング能力、守備範囲は学生球界トップクラスで盗塁もできる。辰己(立命館大)のような激しいプレースタイルじゃないから一見地味に見えるが、過不足のない安心感、破綻のなさは、むしろ1年間長丁場の「プロ向き」と見る。
今季引退の千葉ロッテ・福浦和也選手のような、息の長い、ムラなく打っている頼りになる存在になるんだろうと楽しみにしていたら、早々に東京ガス就職を決めた。彼なりの人生観、世界観があってのことだろう。社会人での動向に注目したい。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部


わたなべ よしあき 遊撃手
渡辺 佳明
179cm 74kg/右投左打
明治大学(横浜高)
50mタイム 6.2秒
スローイング 走塁力
守備力 勝負度胸
パワー 実践力
あまり派手な活躍はしていないようで、実は打線のつなぎ役として、こんなに有機的に機能している選手もいない。この選手の「野球カン」には舌を巻く。フルカウントは投手の方にプレッシャー...それを見抜いて、失投をヒットになるコースに弾き返す。状況を見定め、自分に有利になるような打ち方を選択する。ムダに燃え過ぎない、ムダに力まない。すでに〈プロ仕様〉のバッティングを実践。いつのまにかレギュラーになっている選手だ。
今春、三塁手から遊撃手に。正直、大丈夫かな...?と思った。一塁手が転がすゴロを、腰を二つに折って拾った。うわっ...と思った直後、正面の打球を見事な身のこなしでさばいて見せた。ヒザも足首も、柔軟に機能していた。それ以降、見るたびに守備が上手くなっていく。抜群の「野球カン」だ。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部


あいざわ りょうすけ 外野手
逢澤 峻介
175cm 77kg/右投左打
明治大学(岡山・関西高)
50mタイム 5.8秒
スローイング 走塁力
守備力 勝負度胸
パワー 実践力
2年生でレギュラーになった頃は、ヤンチャな野球に魅力があった。ちょっと前の高山俊(15年阪神1位)にも負けない快足と強肩を誇示するような、時として見せびらかすような「大きな野球」は見ていて痛快でもあった。昨季〈4番〉に抜擢された時は、一生懸命4番らしく打とうと右狙いのオーバースイングになって、バッティングを崩しかけたことも。痛い目にも遭いながら、野球が〈大人〉になってきたら、この選手の実戦力は一気にプロのレベルに上がるはず...。そんな期待値まで、あともうひと息か。
プロのレギュラー外野手は、3割と一級品の守備力が当たり前。あっさり打ち損じ、あっさり送球ミス...は命取りに。激戦トーナメントの社会人で精度アップを。スピードや強さより、高いレベルでは正確さが優先。それを実感してからでも。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部


とんぐう ゆうま 捕手
頓宮 裕馬
183cm 97kg/右投右打
亜細亜大学(岡山理大付高)
50mタイム 6.0秒
スローイング 走塁力
守備力 勝負度胸
パワー 実践力
それまでの〈一発屋〉から、3年春に打が一変。空振りしても体勢が崩れない。変化球でタイミングを外されても、ヒザが割れずに柔軟に反応し、頭が動かないから結構芯で捉えてスタンドまで持っていってしまう。2年時までは見たことのない中堅方向の猛烈なライナーは、深く守っている中堅手が動く間もなくフェンス直撃に。プロ級のパワーに加えて、とっさに柔らかく反応するワザを持つ。〈打つだけ〉のように見えて、相手野手の動きに隙が突いて先へ進める〈機動力〉という意外性も兼備。
山川、中村(西武)、アジャ井上(千葉ロッテ)を追走できる存在。「本塁打王」という高い志を抱いて、プロへ進もう。役割は「バットでチームに貢献」。捕手じゃなくても。「一塁手」としてのスピード反応、肩、器用さも問題なしと見る。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部


たつみ りょうすけ 外野手
辰己 涼介
180cm 74kg/右投左打
立命館大学(兵庫・社高)
50mタイム 5.7秒
スローイング 走塁力
守備力 勝負度胸
パワー 実践力
何度も驚かされた。50m 5秒7の快足でセンター前を二塁打にし、遠投125mの鉄砲肩は、低く伸びたバックホームがミットの面を上に向けて捕りにいった捕手の手首に当たった。飛び抜けた身体能力が野球の能力に〈昇華〉されている。打撃だって、柔軟性と強靭さを兼備した〈天才型〉。そのスリムな体でなんで?...と驚く猛烈なスイングスピードで、2年時の「日米野球」で151キロの速球をバックスクリーンに放り込んだ。見た感じは秋山翔吾(西武)でも、本質は「ミニ・ギーター」だ。
身体能力、野球センスは全く問題なし。チームによっては、今すぐでも外野の一角を奪えて、「1番打者」だって十分あるし、他を大きく引き離して「新人王」。ぜんぜん夢じゃない。あとは〈縁〉。固いご縁に結ばれた球団に進めることを、心から祈る。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部


なかがわ けいた 二塁手
中川 圭太
180cm 75kg/右投右打
東洋大学(PL学園高)
50mタイム 6.2秒
スローイング 走塁力
守備力 勝負度胸
パワー 実践力
「PL」がこんなことになる直前の大阪大会で、「まだこんなに上手いのが残ってたんだ...」と思わず唸ってしまった。当時は、体もプレーもひ弱さが残る〈好選手〉だったが、1球でピシャッとライト前にエンドランをきめる〈野球上手〉。それがここまで大きな存在になろうとは...。今岡みたいになってきた。阪神が強かった頃の二塁手、そしてポイントゲッターだ。「東洋」の偉大な先輩である。守って〈足元〉が強い。右手側の痛烈なゴロを、ボディーバランスを崩さずバックハンドでさばき、一、二塁間の打球をスライディングキャッチで捕らえて一塁に刺すスピードと安定感。右方向への打球が伸びるから、左翼満塁弾も打てる。
選手だとみる。実戦力は非常に高い。飛び抜けたものがないという人もいる。私は〈三拍子〉のバランスがとてもよい
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部


すずき そら 投手
鈴木 天翔
185cm 80kg/左投左打
富士大学(神奈川・向上高)
球速帯 139〜147キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 横スライダー /チェンジアップ
コントロール率 67%
速球勝負できる大型変則サウスポー...昨季はそんな表現をしていた。〈前例〉の少ない興味深いタイプ。140キロ前半のスピードがあって、左打者にはストライクのスライダーにも腰が退ける。スリークォーターの角度から、左打者の足元に沈ませるチェンジアップ。間違いなく〈1位〉と踏んでいたら、この春、ヒジを痛めていったん戦列から離れた。それがよかった。今秋は「復活」の兆しが見える。エンジン全開の時期に比べれば、よくて〈6割〉か。それでも、実戦で140キロ後半が時折り。回復途上だ。
有力左腕が枯渇状態の今年のドラフトだ。おそらく2位か3位で指名されてプロへ進むのだろうが、本当は「もうひと勉強」のいい機会なのでは。ノーステップから二塁走者を刺す絶妙なけん制に加えてクイックも教わり、2年後に〈1位〉で。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部


なかやま しょうた 一塁手
中山 翔太
186cm 90kg/右投右打
法政大学(履正社高)
50mタイム 6.5秒
スローイング 走塁力
守備力 勝負度胸
パワー 実践力
タイミングが合った時の雄大な放物線は、学生球界トップクラスの長距離砲であることは間違いない。右打ちの大砲は稀少価値だが、〈本物〉の大砲になるにはまだ宿題も多い。まず、確かな〈トップ〉を作りたい。トップがとれれば、変化球を追いかけることも減り、自分のゾーンで投球を待ち構えられるはず。振り遅れの空振りを怖れるな!むしろ、ノメった打ち損じを恥じよう。そんなに器用なタイプじゃない。時間をかけて少しずつ覚えていくタイプだろう。時間かけて覚えたことは一生忘れないものだ。
渾身のスイングにヘルメットが飛んで、たとえ凡打でも丸坊主の頭で一塁へ全力疾走。三振に、エラーに、悔しさ、無念さを全身で表現できる開けっぴろげの人柄。時間をかけて根気強く、ファンに長く愛される新井貴浩(広島)みたいな人気者に。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部


やまがみ だいすけ 投手
山上 大輔
182cm 88kg/右投左打
立命館大学(立命館宇治高)
球速帯 140〜147キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 スライダー/カットボー ル/カーブ/スプリット
コントロール率 69%
3年時は春4勝1敗、秋4勝0敗、平均防御率1.30。今春は防御率は2点台も5勝をあげてリーグVに貢献。長い期間、コンスタントな成績をあげてきた事実は、それ自体「実力」だ。すべての球種でストライクがとれ、四球を出さない。変化球でカウントを作って速球を速く見せて打者を差し込む術を持つ。〈派手〉な要素はなくても「勝てる要素」はいくつも。大きなブレのないコントロールと打者のタイミングを外そうとする意識も旺盛で、球威だけに頼らない〈投手〉としての仕事が出来る。
低め速球の質のよさなら日体大・松本航と双璧。加えて、隠し持っている心の〈キバ〉。見た目よりずっと向かっていく気力と覇気を持つ。例えば、大谷智久(千葉ロッテ)...こういう投手が「いつの間にか」投手陣の一角を担っていたりする。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部



わたなべ かずや 捕手
渡辺 和哉(25)
176cm 85kg/右投右打
JR東日本(専修大)
50mタイム 6.5秒
スローイング 走塁力
守備力 勝負度胸
パワー 実践力
大学入学前に右肩関節唇修復手術を受けて、大学時はほとんど〈DH〉で出場。社会人2年目から捕手に戻り、5年間のマス クブランクがあったのに、今季は実にキビキビと何よりイキイキと、「レギュラーマスク」を務めた。もともと高校時から〈鉄砲肩〉の部類。それを振り回すことなく、きちんと丁寧にベース上に〈乗せる〉スローイングができる。大学時から、強靭なリストとヘッドスピードは一級品だ。今は試合の中で、気負いやズレを修正しながら、4打席、5打席の中で〈仕事〉ができる打者に。
ブランクは長かったが、捕手の〈匂い〉が抜けていない。ある意味、〈天性〉の捕手だ。高卒2、3年目の若い投手と組み、決して難しいことを要求しない配球でノビノビ投球させる。たとえば下位を打って本塁打が打てる〈怖さ〉は魅力だ。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部


ばんどう ゆうご 投手
板東 湧梧(23)
180cm 75kg/右投右打
JR東日本(徳島・鳴門高)
球速帯 138〜147キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 カーブ/カットボール チェンジアップ/フォーク
コントロール率 66%
正直、今年あたりそろそろ...ぐらいに考えていた。同じように高校からの入社組の後輩たち、山口裕次郎(大阪桐蔭)、太田龍(れいめい)、西田光汰(大体大浪商)...次々に実戦で台頭してくる中で、はっきりしない投球がこの夏の都市対抗予選まで続いたからだ。それが本戦で一変したのはセガサミー・森脇亮介と同じパターン。およそ5イニングのロングリリーフ。真タテのカーブは空振りが奪えて稀少価値。145キロで内角を突ける技術とチェンジアップの揺れ。3種の緩急と制球力が光る。
何か心に思いを秘めたような投げっぷりだった。予選までは、こんなに決然とした腕の振りじゃなかった。きちんとボールをグラブに隠したフォームの始動が、以降の全身連動をスムースに。高校時からの端正なマスクが〈闘う男〉のそれに変貌。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部


もりわき りょうすけ 投手
森脇 亮介(26)
173cm 67kg/右投右打
セガサミー(日本大)
球速帯 138〜148キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 フォーク / カーブ
コントロール率 65%
バックスピンの効いた快速球に、落差の大きなフォーク。せっかく一級品の持ち球がありながら、昨季まで、いや今夏都市対 抗予選までは、今一つ吹っきれなかったのが、都市対抗の本戦になってドーンと開花。完投しても、終盤まで140キロ後半をキープしながら、速球と同様の強烈な腕の振りからフォークを〈ストライクゾーン〉にきめて2勝をあげ、社会人4年目での急台頭をアピールした。ほぼ、真っすぐとフォークの2球種に絞った潔い投げっぷり。遅れてやって来た〈熱い季節〉をグイッとつかめ。
100球超えたあたりで、一度球道が上ずる。都市対抗でもそのタイミングで下位打者に放り込まれており、猛烈な腕の振りの遠心力に、握力、腕力が負けてしまう場面もあった。1イニング限定の中継ぎが効果的。〈必殺兵器〉は何よりの強みだ。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部


きた りょうた 捕手
喜多 亮太(23)
176cm 73kg/右投右打
セガサミー(敦賀気比高)
50mタイム 6.2秒
スローイング 走塁力
守備力 勝負度胸
パワー 実践力
2人いた年長の捕手が引退とコンバートで、登録の捕手が2人だけに。しかも、2年目捕手・木村天響(宮崎・富島高)の進境が著しい。〈勝負所〉の1年間を緊張感の中でレギュラーマスクをかぶったはず。ハッとするような左投手のショートバウンドを、機敏なフットワークで吸収捕球して、そのまま二塁送球。これまでは見られなかった球際の〈執念〉。進境がそのままプレーに現われている。強肩と柔軟なスローイングは高校時から。徹底して〈勝負球〉で押せるこだわりも自信の現われだ。
プロの140キロ台を強烈に弾き返せるまでの〈瞬発力〉にはなっていないが、ファーストストライクを迷いなく振り抜いていく意欲が芽生えたのは大きな進歩だ。柔軟性と強さは両立しにくい。持ち味の〈しなやかさ〉を武器にプロへ。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部


つじの たけひろ 捕手
辻野 雄大(24)
179cm 80kg/右投左打
ホンダ(白鷗大)
50mタイム 6.0秒
スローイング 走塁力
守備力 勝負度胸
パワー 実践力
1年目の昨季は岡山大会、今季は東京スポニチ大会に四国大会。公式戦で優勝体験を重ねながら、オフには海外試合で貴重な 実戦経験を積んで、見るたびに〈いい匂い〉のする捕手に進化中。多士済々の投手たちとバッテリーを組み、負けられない試合をリードしてきた経験値は、むしろプロのファーム2年間より高い。指をひっかけて外に抜けたスライダーを横っ飛びで捕球し盗塁を刺せる敏捷な守備ワーク。逆に盗塁をできる足を持つ捕手は稀少価値。左中間を三塁打にできる快足の持ち主だ。
今季〈2番〉を打ったのは、攻めのバリエーションを期待されて。小技、進塁打、エンドラン...多様に機能。タイプとしては、巨人・小林誠司に近いだろうか。捕手がいないドラフト。意外に上位で名前を呼ばれる可能性も。実力派の隠し玉だ。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部


きなみ せいや 遊撃手
木浪 聖也(24)
178cm 78kg/右投左打
ホンダ(亜細亜大)
50mタイム 5.9秒
スローイング 走塁力
守備力 勝負度胸
パワー 実践力
「亜細亜」という薬は〈社会人〉になってから効いてくるのか...。卒業した後のステージでぐんと頭角を現わす亜細亜大OBは多い。大学当時はミートの上手い打者だったのが、社会人2年でインパクトの打球音が別人のよう。動きの大き過ぎないタイミングのとり方で、快適に投球を捉え、気分良さそうにスイングしている。踏み込んで一瞬待って変化球を捉える技術。打の一連の動きに、下半身の粘っこい連動がすごく効果的に機能して、同様のメカニズムでフィールディングもそつなくこなす。伸びた!
打球を拾って、即投げられる。当たり前のことができる内野手が、実は今なかなかいない。スーパープレーはしなくても、身のこなしにクセがなく、守備範囲の打球はそつなくアウトにする。プロの〈投手受け〉するタイプの遊撃手とみる。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部


たきなか りょうた 投手
瀧中 瞭太(24)
180cm 88kg/右投右打
ホンダ鈴鹿(龍谷大)
球速帯 141〜152キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 カットボール/カーブ フォーク
コントロール率 63%
腕の振りの運動量はすごかったが、いかにも上体のパワーに頼ったフォーム。大学1年時に右ヒジの手術。再発しないか心配 になるほど強引なフォームだったのが、今季はきっちり〈半身(はんみ)〉の体勢で踏み込み、体重移動が効いた下半身主導のフォームに変わっていた。球持ちがよくなって、コンスタントに145キロ前後の速球で空振りが奪えるようになり、今夏都市対抗では、リリーフの打者8人から〈3連続〉を含む6三振を奪って無失点に。カットボールの鋭い変化が併せワザとして効果的に。
持久力より瞬発力。短時間の中で発揮できる馬力を感じる。110キロ前後のカーブもあるし、フォークでのめらせることも。速球にこだわり過ぎなければ、短いイニングの中継ぎで働ける。ファーストストライクがとれるようになったのが収穫だ。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部


すぎやま かずき 投手
杉山 一樹(21)
192cm 91kg/右投右打
三菱重工広島(駿河総合高)
球速帯 142〜153キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 スライダー/カーブ スプリット
コントロール率 53%
無名の高校生が社会人に進み、理想的な〈ストーリー〉で3年目を迎えた。体作りと社会人球界になじむための最初の2年間。 その間に、体重移動を利用した投球フォームを身につけつつある。まさか「補強」で出てくるとは思わなかった今夏の都市対抗では、リリーフでデビュー。153キロにまで達した剛速球ほぼ一本のピッチング。あれだけの巨体で前に乗って投げてこられると、打者にとってはそれだけで威圧感になる。ドームのあの緊張感と喧騒の中で、平然と投げられたのが何よりの収穫だ。
急ぐことはない。ストライクにはなるが、構えたミットにきめられる制球力はまだだし、長いイニング投げられる心身のスタミナだって、まだ未知数。さらに実戦経験を積んでけん制、クイック...出来ることを増やし、プロへは胸を張って。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部


ぬくみず かい 投手
温水 賀一(24)
179cm 75kg/右投右打
大阪ガス(九州産業大)
球速帯 136〜146キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 スライダー/カットボール/カー ブ/フォーク/チェンジアップ
コントロール率 73%
大学3年で肩を痛めて、4年時に〈投〉を封印。それがよかった。1年目の昨季はリリーフ役としてトーナメントの厳しさを 体感しながら、冬にフォームを改善。体重移動を覚えて球持ちがよくなり、制球力が劇的にアップ。初回から両サイド高低を攻められ、特に低め集中の能力が高く、走者を背負っても持ち球に自信を持って悠然と投げ進む。優勝した今夏都市対抗では、半身で踏み込んできた時の「コントロール率」はほぼ100%。多彩な持ち球すべてでカウントがとれ、クイックの速さも一級品だ。
右打者の外のカットボール、左打者の足元へのチェンジアップ。プロでも使える変化球はいくつもあるが、肝心の速球の〈強さ〉を養って万全の態勢でプロへ進もう。25、6歳でプロなら即戦力でハマらないと。あと1年、さらにパワーアップを。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部


ちかもと こうじ 外野手
近本 光司(24)
170cm 70kg/左投左打
大阪ガス(関西学院大)
50mタイム 5.8秒
スローイング 走塁力
守備力 勝負度胸
パワー 実践力
大学3年で肩、ヒジの故障で投手から外野手に。そこを起点に野球人生が変わる。社会人1年目からレギュラーに定着、2年目の今季は都市対抗で橋戸賞と首位打者を獲得する大活躍で、一気にドラフト候補に台頭した。強肩ではなくても抜群の精度を持つスローイング能力、小柄でも東京ドームの天井に届かんばかりの瞬発力と都市対抗逆転弾の勝負度胸。スタートの技術にオリジナリティを発揮する盗塁技術。リードオフマンタイプの外野手としての能力を満載して、ドラフト指名を待つ。
「社員として手放したくない」とチーム関係者が惜しむほどの人間性。チームリーダーになれる人材だろう。近くで見ると小柄でも、野球自体はパワフル。〈伝説〉の選手になりつつあるが、日本ハムの1番打者で鳴らした島田誠選手が重なる。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部


ながた まさてる 外野手
長田 雅輝(24)
181cm 86kg/右投右打
ジェープロジェクト(北海道東海大)
50mタイム 6.4秒
スローイング 走塁力
守備力 勝負度胸
パワー 実践力
前にも後にも一度しか見たことのない選手。その代わり、ビビッときた。今春の日立大会、初回いきなり6点を先取された直 後、先頭打者としてレフト94mのスタンド中段にライナーでたたき込んだ。渾身のフルスイング。決して感情的なやけくそスイングじゃなかった。むしろ、負けじ魂が凝縮したような「なにくそスイング」。唸ったのは、次の打席だ。フォークの落ち際をとっさに拾って「ワザあり!」の鮮やかセンター前に。いずれも最初のひと振り。「代打男」の資質を見た。
なんてことないレフトライナーを落球する程度の心もとない守備力だ。あくまでも〈バットマン〉として、この名鑑に挙げる。75点平均の〈三拍子ぞろい〉より、実戦ではよほど使える選手だったりするのが、野球の興味深いところだ。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部


しいな じゅん 外野手
椎名 潤(24)
182cm 87kg/右投右打
新日鉄住金広畑(富士大)
50mタイム 6.0秒
スローイング 走塁力
守備力 勝負度胸
パワー 実践力
富士大当時、多和田(現・西武)を見に行った試合のシートノックで、外野からの見事な返球に見入っていた。真上から意識的にスピンをかける腕の振りで、エイッ!の力みがなく、逆にリリースでバチンと切るようなスローで球道が安定。〈プロ仕様〉のスローイングが、さらに精度アップ。驚いたのは、スイングに決然とした思いきりが生まれたこと。滞空時間の長い放物線で、130m級の飛距離。しかも1試合であわや2弾。四球の続いたあとの失投を、1球で仕留める勝負度胸も根づいた。
強肩はプロ入りした瞬間に、12球団トップクラスの仲間入りだろう。足もあるし、打も急上昇。「25人」の中にスッとハマれる球団なら、1年目から結構いい働きができると見る。行き先次第。25歳でファームではモチベーション維持が...。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部


ささがわ こうへい 外野手
笹川 晃平(24)
184cm 83kg/右投右打
東京ガス(東洋大)
50mタイム 6.0秒
スローイング 走塁力
守備力 勝負度胸
パワー 実践力
〈社会人の水〉に慣れる前から、なじむ前から、最初から「不動の4番」で強豪の4番だから当然厳重警戒されて、誘い球中心 の投球に苦労しながら、こちらから見ると、いつも「欲求不満」のバッティングだったように見える。今年だって、春先のスポニチ大会など相手が小手調べだ!と勝負してくる試合では、見事な長打力を発揮。これが夏に近づき、都市対抗予選から本戦になると、全球誘い球、全球変化球...のような攻められ方の中で、やはりかなり苦しんだ。身体能力なら高校時代からお墨付きだ。
「社会人の4番」より、むしろ「プロのクリーンアップ以外」のほうが実力発揮の場になるのでは...。そんな妄想をしている。勝負してさえもらえれば...本人、そんな無念さがあったのでは。「1番センター・笹川」なんて、すごく見てみたい。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部


なばため つばさ 投手
生田目 翼(24)
176cm 84kg/右投右打
日本通運(流通経済大)
球速帯 142〜155キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 カーブ/スライダー カットボール
コントロール率 58%
155キロまで届いた剛速球ほぼ一本で「全国準V」に輝いた大学時。その代わり大事な肩を痛め、社会人1年目は〈養生〉 優先で過ごす。今季の変わり身がすごい。本戦以上の〈修羅場〉といわれる二次予選で完封と8回無失点の快投。東京ドームでの先発では、気負ってボールが中に入ったが、予選で見せてくれた緩急と低めへの意識は、学生当時には見られなかった変身ぶり。それでも、〈剛〉の部分では150キロ近くマークして、スケールダウンにならずに新味をアピールしてみせた。
この剛腕が110キロ前後のカーブに力を借りるとは思わなかった。そこがいい。打者を差し込むことばかり考えていた学生時代。前でのめらせる面白さに気づき、見えている野球の視野が倍にも広がったはず。これで〈沈む系〉を1つ覚えたら...。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部


たかはし ふみのり 投手
高橋 史典(25)
182cm 82kg/右投右打
SUBARU(立正大)
球速帯 142〜149キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 カットボール/スライダー チェンジアップ/スプリット
コントロール率 70%
2年目の昨季から主戦格で都市対抗はじめ大きな大会でも奮投。プロ数球団から調査書も届いていたが指名漏れに。そこからぐっと粘り腰を見せてくれるのか、それともガクッと折れてしまうのか...〈前者〉だった。都市対抗予選の10イニングでわずか1四球(1失点)の安定感の中で11奪三振。さらに〈本戦〉で輝いた。同点の9回からの延長戦4イニング1/3のロングリリーフで7奪三振無四球の渾身の投球を展開。「オレを忘れるな!」。叫びが聞こえるような〈牙〉をむいた熱投だった。

リリーフの初球から140後半を続けられるパワーと、その快速球で両サイドを投げ分けられる技術に一級品のスプリット。ここまでは昨季と変わっていない。加わったのは「闘える心」。決して燃え過ぎず、それでいて腹をくくった投球ができる。


とみやま りょうが 投手
富山 凌雅(21)
178cm 82kg/左投左打
トヨタ自動車(九州国際大付高)
球速帯 137〜141キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 スライダー/チェンジアップ/カーブ
コントロール率 66%
甲子園のマウンド経験こそあっても、絶対的エースでもなかった高校生投手が、「トヨタ」のような強豪に入り、2年目の秋に東京ガス相手に試合後半までノーヒットピッチングというのは、才能以外の何物でもない。相手のすごさがわかっていないのかもしれないが、物怖じせずに堂々と勝負を挑んでいく姿勢は頼もしい。初球がストライクになるし、スライダー、チェンジアップでタイミングを外してファウルを打たせてカウントを作る技術も。何よりの武器は、初速・終速差の小さな速球だ。
クロスファイアーで足元を突かれれば見送りの三振すら奪える圧倒的球威だ。ガンの数字は137、8キロなのに、おそらく145キロ前後の体感速度のはず。元中日・山本昌投手の球筋がそのまま重なる。腕の振りが〈若武者〉だ。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部


ほり まこと 投手
堀 誠(24)
186cm 84kg/右投右打
NTT東日本(立正大)
球速帯 136〜144キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 スライダー/カーブ/チェンジアッ プ/カットボール/ツーシーム
コントロール率 77%
黒木優太(オリックス)と同期の立正大で、この大型右腕の潜在能力が最も魅力的だった。これだけのサイズで、フォームのボディーバランス抜群。長身から投げ下ろすのに、速いボールを投げようとし過ぎない、強く投げようとし過ぎない。自然な連動が生み出す体重移動を利用し、気負わず丹念にコーナーを突く。雄大なスケールも感じるし、腕のしなりが球持ちのよさを生んでリリースが見にくいから〈体感速度〉が速い。多彩な変化球も駆使し、社会人1年目には都市対抗で若獅子賞を獲得した。
リリースの瞬間に、溜めたパワーを全てボールに乗せる技術がある。立て続けに空振りの三振を奪うこともあるが、本質は走者を出してもなかなか失点しないタイプ。変化球の種類も多いだけじゃなくストライクがとれる。貴重な先発型右腕だ。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部


たかはし たくみ 投手
高橋 拓巳(24)
176cm 75kg/左投左打
日本生命(桐蔭横浜大)
球速帯 138〜148キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 スライダー/チェンジアップ/カッ トボール/ツーシーム/スプリット
コントロール率 68%
ピッチングの巧さと制球力は大学時からキラッとしていた。とにかく、打者にひと息つかせるようなボールを投げない。外すボールもゾーンをよぎるようなドキッとさせる技術。スライダー、チェンジアップで追い込んで、一転、速球、速球で差し込んでみせる。その逆も可能だ。今季は〈テクニック〉に速球のスピードが加わった。ニュートラルな腕の振りなのに145キロ前後。持ち味の緩急にさらに厳しさが加わって、一段と手の焼けるサウスポーに。特に左打者にとっての球筋の見にくさも高ポイントだ。
ここに来てチラッと聞こえてきた肩の痛み。スピードが上がって、これまでにない無意識の負担が体にかかっているはずだ。ケアすべきはケアをしっかり。どっちにしても、プロ入りすれば〈即現場〉の期待大。ドンと来い!の体を今のうちに。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部


さいとう ゆきや 投手
齋藤友貴哉(24)
184cm 91kg/右投左打
ホンダ(桐蔭横浜大)
球速帯 143〜150キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 スライダー/カーブ チェンジアップ
コントロール率 55%
やはり今年のドラフト上位候補に推される高橋拓巳(日本生命)と控えだった大学時、ブルペンでの速球のヌッターッと来る粘っこい勢いに目を奪われた。腕の振りの〈円弧〉の大きさが違う。その膨大な〈遠心力〉が、剛速球のものすごいエネルギーを生む。その遠心力に腕力が負けてないうちは、指にかかった140キロ後半の破壊力がバットを粉砕。真横にふっ飛ぶ体感のスライダーとチェンジアップが〈箸休め〉に。球威で勝負!もいいが、ストライク、ボールがはっきりでは試合のテンポに害になる。
緊迫の場面で〈入ってしまう〉ことがある。集中とは違う。捕手のミットしか見えなくなるような瞬間。一生懸命過ぎて高校生のような幼さが顔を出す。あくまでも〈9人〉の中の1人という感覚を忘れずに。「猛球」は社会人No.1なのだから。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部


かつの あきよし 投手
勝野 昌慶(21)
183cm 83kg/右投右打
三菱重工名古屋(土岐商高)
球速帯 142〜151キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 スライダー/カーブ/カット ボール/ツーシーム/フォーク
コントロール率 59%
無名の高校生投手が社会人強豪に進み、1年目の都市対抗から〈先発〉でマウンドへ上がったから驚いた。期待の〈大器〉だ。楽しみにしていたら、昨季は5月の公式戦でヒジを痛めてしまった。そして〈勝負〉の今季、フォームを変えてきた。左足をポンとついたら、そこで猛烈に右腕を振り下ろす。そんな〈強引さ〉が体重移動と入れ替わった。本人、「パワーピッチャー」と自身を位置づけ、あくまでその線を目ざすと意気込む。勝手に動く145キロ前後のクセ球が放射線状に内外角を突く。
投げている時の横顔、マウンド上でのムードとシルエット...巨人・菅野智之投手にすごく似ている。21歳とは思えないふてぶてしいマウンドさばき。変化球に〈必殺兵器〉を1つ、できればタテの変化を覚えたら、「後ろの3人」に適役では。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部


おかの ゆういちろう 投手
岡野祐一郎(24)
180cm 84kg/右投右打
東芝(青山学院大)
球速帯 137〜145キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 スライダー/カーブ チェンジアップ/フォーク
コントロール率 72%
スライダー、フォークの使い分けと制球の達者な試合を作れる投手だった聖光学院当時から、大学2年でスピードが140キロ 後半に急上昇。体のシルエットも別人のように逞しくなって、東芝入社即エース格として奮投。カーブ、チェンジアップを球種に加え、投球の軸にしている「外角低目」にも強さが加わった。タイミングを外そうとする意識、低く集めようとする意識...投手としての天性を強く感じる。守備ワークの一瞬の判断力や、セットで長く持って走者をつり出して刺せる技術も一級品だ。
ジャストミートされた後、打者を追い込んでから、ボールがどんどん低くなる。痛打で走者を出しても、スライダーと速球...2球で追い込める立ち直りの頼もしさ。「剛球150キロ!」、そういうタイプじゃないから地味だが、間違いなく実力者だ。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部


やまのべ かける 二塁手
山野辺 翔(24)
170cm 72kg/右投右打
三菱自動車岡崎(桜美林大)
50mタイム 6.0秒秒
スローイング 走塁力
守備力 勝負度胸
パワー 実践力
桐蔭学園ではなかば控え。地道な努力を懸命に積み重ねてここまで成長。大学で二塁を守っていた頃から、地味でも「いい野 球」をする選手だった。すごいと感動するのは実戦での「とっさ力」。遊撃手が弾いたボールを拾って、前の走者を三塁で刺す。際どい打球に捕球点まで顔がついていく球際の強さ。追い込まれても難しいスライダーに食らいついてライト前に運び、同様の場面で、相手投手の勝負球147キロを外野フェンスまで。初球から完璧なスタートがきれ盗塁できる実戦力も大きな魅力。
小柄だから非力感があったが、失礼しました、今季は公式戦で10弾近い〈力感〉と勝負強さを発揮。都市対抗でも「トヨタの補強選手」という違和感や過剰な緊張感まったく感じさせず、のびのび堂々のプレーぶり。すっかり〈第一人者〉に。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部


つげ せな 捕手
柘植 世那(21)
175cm 77kg/右投右打
ホンダ鈴鹿(健大高崎高)
50mタイム 6.5秒
スローイング 走塁力
守備力 勝負度胸
パワー 実践力
〈先代〉の飯田大裕捕手がプロに進み、2年目で強豪社会人のレギュラーマスクにすっぽりハマった。とてもじゃないが、高校から2年目の新米捕手(失礼!)とは思えない貫禄と風格。都市対抗だって、シートノックの最初から「10年表彰」のような落ち着きが、逆にちょっとイヤだった。ムダに急がない、動かない...今夏都市対抗、ドラフト候補・平尾奎太と組み、〈内容〉が変化球ばっかり...と不評が飛び交う中で、こうも球持ちが浅いと真っすぐをゾーンで使うのは怖いよな...十分に納得だった。
これだけのキャリアとセンスを兼備した捕手を、ファームや控えでは勿体ない。即レギュラーを狙うためにあと1年かけてインサイドアウトのスイング軌道を身につけ、「怖い打者」になってからのプロ入りを。捕手の人材枯渇状態だけに有効活用を。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部


うすい いさむ 投手
臼井 浩(24)
168cm 74kg/右投左打
東京ガス(中央学院大)
球速帯 138〜148キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 タテのスライダー/横スラ イダー/フォーク/カーブ
コントロール率 68%
1年目からエース格として平然と投げたマウンド度胸。ピンチの場面や強打者相手の〈本気モード〉のボールのすごみが抜群 だ。速球以上の猛烈な腕の振りからのスライダー、フォークに、今季は落差の大きなカーブを加えて〈緩急〉のメリハリが一段と効くようになった。今夏都市対抗、トヨタ自動車を向こうに回して2点に抑えて完投、9三振を奪いながら1四球に。チームを背負って投げられるヤツ。この打者なら、こう攻めて、こう打ちとって...読めている落ち着きは〈2年目〉とは思えない。
170cm前後の右腕でプロで成功している投手の〈共通項〉は、生きた速球と意外な角度、そして大きなものを倒そうとする無類の闘争心だ。すべて揃っているうえに、両サイドを出し入れできる技術を持っているのは、貴重な〈ポイント〉に。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部


ほった あきら 投手
堀田 晃(24)
180cm 83kg/右投右打
西濃運輸(大阪学院大)
球速帯 142〜148キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 スライダー/チェンジアップ
コントロール率 66%
昨季、1年目のシーズンを通した活躍もさることながら、今季にかけて長い期間コンスタントに実力発揮した事実。さらに、今夏都市対抗予選で強敵ぞろいの「東海」で先発の24イニングを自責点1に抑えた事実。本戦では、気負って力んでフワフワ投げていたが、普通なら〈炎上〉のある状況で、先発の4イニングをなんとか2点にしのいで後につないだ。果敢に向かっていく覇気のすばらしさ。145キロ前後の速球にとタテのスライダーとチェンジアップ。3種類だが、その〈3種〉が生きている。
チームでは先発で投げてきたが、この投手をたとえば1イニング限定で投げさせた時の〈爆発力〉を活用したい。長いイニングのペース配分より、「目の前の3人、やっつけてこい!」...そんなミッションの方が燃えられるタイプと見ている。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部


ひらお けいた 投手
平尾 奎太(24)
188cm 85kg/左投左打
ホンダ鈴鹿(同志社大)
球速帯 138〜143キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 タテのスライダー/横スライ ダー/チェンジアップ/カーブ
コントロール率 53%
実は、今季の社会人投手で、最も期待していた投手が吉川峻平(元パナソニック)とこの左腕。これだけのサイズを持つサウ スポーで変化球の制球力が高く、低めに丹念に投げられる投手は珍しく、特に右打者の外角チェンジアップ、左打者へのクロスファイアーとスライダーと角度と制球は〈即戦力!〉の根拠だった。それが、今季はどこかバランスを崩している。タメの効いた踏み込みをしていたのが、あっさり〈胸〉を見せて投げているので、球持ちが浅く変化球が早く曲がっている。試練の2年目に。
ほんとのところ、社会人から野球人生が始まった投手だろう。そういう意味では、「実力」が安定するまでに、さらに時間と勉強が必要なのかもしれない。困った時に速球で勝負できるような〈体感速度〉を身につけたい。打ちにくい左腕に。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部


さかもと こうしろう 投手
坂本光士郎(24)
181cm 74kg/左投左打
新日鉄住金広畑(日本文理大)
球速帯 141〜148キロ けん制・
守備
緩 急 実践力
球 種 スライダー/チェンジ アップ/ツーシーム
コントロール率 54%
昨春入社直後から夏前までは、「今ドラフトがあったら間違いなく上位」と〈みんな〉が口を揃えて推したほどの球威とピッ チングの勢いだったが、補強で出場した都市対抗のリリーフで打ち込まれて、今春まで長く混迷が続いた。ようやくこの秋口から、本来の速球の〈強さ〉を取り戻し、オープン戦でも登板のたびにスカウトたちが集結。立ち上がりの力みと制球のパラつきは相変わらずだが、バランスがきまった時の145キロ前後のクロスファイアー。これを投げられる左腕はそうはいない。
確かに今年のドラフトは「左腕枯渇」の状況だし持ち球の優秀さも一級品だが、まだ〈未知数〉が多すぎる。プロでは中継ぎかもしれないが、それでも社会人で試合終盤まで飛ばせるぐらいの体力は必要だ。あと1年、辛抱と勝負のあと1年を。
文:安倍昌彦、写真提供:ホームラン編集部



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