2020年、野球界に広がる「新たな景色」
コラム | 2020/7/20 |
7月10日より、プロ野球は有観客での開催となっている。入場者数に上限が定められているものの、スタンドにはプロ野球ファンの姿がみられ、徐々にではあるがこれまで通りの姿を取り戻しつつある。
各スタジアムのスタンドには、多くの親子連れの姿もある。何れもおよそ3分の1にも満たない程度の入場者数となっている中でも、無観客の時期と比べて雰囲気、そして球場を包む空気感は一変した。
■これまでとは一線を画す「観戦スタイル」
現在の有観客開催ガイドラインでは訪れる観客に関する項目もあり、観戦スタイルにもこれまでと大きく異なる応援の形を求める内容が取り決めとなっている。グラウンドの選手へ向けての大声での声援や、ハイタッチなどのファン同士の接触行為など、これまでは当然のように行われてきた行為が原則禁止となり、少なからずストレスを感じる部分も多いかもしれない。
それでも、一般社会、日常生活同様、球場においてもこれらの形が「新様式」と受け入れる必要があるだろう。満員のファンの熱狂が覆っていたスタジアムは当面の間、戻ってくることが難しいことは事実であり、
選手のみならず、親子ファンも含む応援する側も多くの制約を当たり前のこととして、長く共存していく気構えが求められている。
■高校野球、独立リーグでも新しい動きが
野球界において「新たな景色」は、多くの場面で広がりつつある。
高校野球界では特に多くの取り組みが行われてきている。中止となった春・夏の甲子園に代わる大会として、各県による地方大会が、さらには今年の春の選抜出場予定校同士の甲子園交流試合も来月に開催されることとなった。また8月下旬より、プロ志望届を提出する高校生を対象としてNPB・高野連による「合同練習会」が行われることも決定されている。何れも、これまでにはない取り組みであるものの、プロを目指す球児にとっては、これまでとは別の形で能力を発揮できる舞台が整えられることになりそうだ。
また7月13日には、かつてメジャーでもワールドチャンピオンに輝いた田沢純一が日本の独立リーグであるBCリーグ・埼玉武蔵ヒートベアーズ入団が決定した。これは今季の米マイナーリーグ中止を受けて日本の独立リーグ入りとなった背景があり、元メジャーのプレーを目の当たりにできるという、こちらもファンにとってはこれまでにない機会となるはずだ。
2020年を境に、スポーツ界も大きな変化を求められていることは間違いない。そして、それはあらゆる意味を持って、スポーツを観続ける我々ファンにも同じことが当てはまるだろう。(佐藤文孝)