エースで4番だけじゃない!求められる現代の控え投手の重要性
コラム | 2020/6/29 |
6月19日、セ・パ両リーグが今シーズンの開幕を迎えた。ファンにとっても待望のシーズンスタートとなり、しばらくは会場には足を運べないながらもテレビ画面やネットなどを通じて、ゲームを楽しむことができる。選手たちは延期となった影響を感じさせず、投打とも、「プロ」としての技を披露し続けている。
■減りつつある先発完投、増え続ける救援登板
12球団のエースと呼ばれる投手が先発に名を連ねた19日の開幕戦。開幕投手の「常連」でもある巨人、菅野智之や広島の大瀬良大地、パでは初の開幕マウンドに立った東浜巨など、各チームの主力の投手による高いレベルでの投げ合いがみられた。
そして、開幕からの3連戦、それぞれのチームの投手起用には、現代のプロ野球の特徴が大きく表れているようにも感じられた。先発投手で完投したのは開幕戦勝利の広島・大瀬良唯一人で、それ以外のゲームでは12球団、何人ものリリーフ投手がマウンドに立っている。
昨今のプロ野球では、一昔前に比べ、投手の役割がさらに細かく分けられている。リリーフ投手だけでなく、「オープナー」や「ショートスターター」となど、先発投手においても複数の種類に分けられており、「先発完投」を果たす投手は1シーズンに数名程度しか見かけなくなった。逆に救援で登板する投手が増えてきており、リリーフ投手の存在がこれまで以上にクローズアップされてきている。これは、チームの戦術もさることながら、投手の選手寿命を延ばす目的も含まれている。
■少年野球でも控え投手の登板のチャンスが
いつの時代でも投手はチームを引っ張る存在であり、勝敗に大きく直結する存在ともいえる。ただ、その役割が以前とは大きく変化し、何人もの投手によりゲームを作っていくことに変わってきている。そして、その流れはプロのみならず、アマチュアの世界でも同じことが言えそうだ。
プロ野球の投手事情を少年野球の舞台に単純に置き換えることは正しくはないかもしれない。ただ、今年より高校野球も含めた球数制限などの規則改正もあり、確実に、投手の練習・試合においてのスタイルはこれまでと大きく変わってくるはずだ。さらに言うと、「控え投手の重要性」がより強く求められる。
かつて、エースで四番といった、チームの中での運動神経が最も優れたプレーヤーだけが一試合を投げ抜く時代ではなくなり、プロ野球同様、多くの投手に登板の「チャンス」が与えられる機会が増えるのも間違いないだろう。
チームのエースと呼ばれない存在だとしても、控え投手の役割は増えてきていることは確実であり、勝敗に関わらず試合の様々な場面で登板の機会が巡ってくる。投手を志しながらも、現在は控えという立場から抜け出せないでいる少年少女たちは、その時のためにモチベーションを維持し、キッチリと日々の練習をこなしていくことが重要となってくるはずだ。(佐藤文孝)